第198話


”どりゃあああああああああああ“

”うおおおおおおおおおおおおおおお“

”きたああああああああああああああ“

“倒したあああああああああああああああ”

“よーーーーーーーーーーーし”

”よーーーーーーーし“

”よーーーーーーーーーーーーーーし”

“神木拓也最強!神木拓也最強!神木拓也最強!”

“神拳どりゃああああああああああ”

“よっしゃああああああああああああ”



¥50,000

神木拓也最強^^



¥30,000

どりゃああああああああああああ



¥20,000

新種討伐記念スパチャ



¥10,000

相変わらず倒し方えぐいっすw

とりあえずご祝儀ここにおいときますね



チャット欄に怒涛のようにコメントが投下され、スパチャが投げられまくる。


一万円以上のスパチャ…いわゆる赤スパでチャット欄が埋まり、画面が真っ赤に染まる。


「ふぅ」


地底竜を倒した俺は額の汗を拭った。


力技だったが、なんとかダンジョンの中に潜んでいた地底竜を炙り出して、神拳で倒すことに成功した。


地底竜は、神拳をまともにくらい、跡形もなく消失した。


後に残された半分の頭のない胴体は、そのまま死体としてダンジョンの床に飲み込まれて消えていった。


戦闘勝利。


また1匹、俺は新種の深層モンスターの討伐に成功したのだ。



「倒しました……結構面倒な相手でしたけど……なんとか倒せました。どうだったでしょうか?」



俺はスパチャラッシュがある程度落ち着くのを待ってから視聴者の反応を確認する。



(だいぶ盛り上がっているな…)



地底竜との対戦は視聴者的にかなりお気に召したらしい。


同接も爆増し現在380万人。


もう少しで400万人の大台に乗りそうなところまで伸びていた。


やはり派手な見た目や特殊な攻撃パターンを持つモンスターとの戦闘は一気に同接が伸びるな。


特に今回の地底竜に関しては、ダンジョンの中に潜り、天井や地面などからいきなり攻撃してくるという特殊な性質を持っていたために、視聴者的にとても新鮮だったらしい。


ちょっとゴリ押しすぎたかなと思った俺の地底竜の追い詰め方も、神木拓也らしいということで好評だった。



「とりあえずこれで深層第四層は攻略ですかね……これから第五層に潜っていきたいと思います」



地底竜を追い詰めるために俺は階層端までやってきていた。


気づけば、第五層の入り口が目の前にある。


直感でしかないのだが、もうそろそろ深層の最終地点に近づいてきている気がする。


ダンジョン深層というのは、ほとんどの場合、構成する階層自体は非常に少ないため、そろそろボス部屋に辿り着いてもおかしくはない。


「それでは……第五層に潜っていきたいと思います」


もしかしたら次の階層にボス部屋があるかもしれない、なんて思いながら、俺は視聴者の余韻冷めやらぬうちに第五層へと足を踏み入れるのだった。



= = = = = = = = = =



「お、これは…」


果たして、そろそろ終わりが近いかもしれないといった俺の予想は正しかった。


深層第五層に入って半時間ほど。


俺は一切モンスターと存在せず、そのまま通路を進んでいくと、目の前に急に巨大な扉が現れた。


この巨大な扉には見覚えがある。



「ついに、か」



俺は扉を前に一度立ち止まり、思わずそう呟いた。


ここまでの深層モンスターとの戦闘が、頭の中で蘇ってくる。



“ボス部屋きたあああああああああ’

”きたああああああああああああ“

”ボス部屋だぁあああああああああああ“

”えええええええまじかあああああああ“

”え、もうボス部屋!?“

”ラスボスきたあああああああああああ“

”うおおおおおおおおおおおおおおお“

“最終決戦!!!”

“ここ超えたら未攻略ダンジョンソロ攻略達成だぞぉおおおおおおおお”

”マジでクリアしそうで草“

”ついにかああああああ!?!?“

”いけるのか!?マジでいけるのか!?“

”やべぇ…また伝説の生き証人になっちまうよ;;“

”いけええええええええ神木ぃいいいいい“

”めっちゃ緊張してきた;;“

”ついにここまできたか……“

”マジで応援してる“

”同接えっっっっっっっぐ“

”同接400万人超えたああああ!?!?“

”これマジで攻略したら、日本記録どころじゃないぞ。多分世界記録だぞ“

“未攻略ダンジョンを高校生がソロで攻略したら、普通に世界のダンジョン探索史に残る偉業だぞ!?”

“これマジで攻略したら明日のニュースは神木一色だな”



「お、同接400万人行ってる…」



気づけば同接が400万人を突破していた。


ボス部屋を前にして、続々と視聴者が集まってきているようだった。



(これはボスが強かったら500万人いくな……)



前回もボスとの対戦の間の同接の伸びは凄まじかった。


俺はもしこの先にいるボスモンスターが、相当強ければ、十分同接500万人の大台も見えてくるなとそんなことを思った。



¥50,000

神木;;ついにこんなところまで来たんだな;;



¥30,000

後一歩だぞ神木;;

マジで頑張れ;;



¥10,000

興味始めたにわかですが、投げさせてもらいます。

マジで頑張ってください応援してます




¥40,000

大将。あんたならいける。マジで応援してるぞ



¥50,000

おい神木。

今ダンジョンの外はたいへんなことになってるぞ。

お前を応援する視聴者が集まってお祭り騒ぎだ。



¥30,000

神木!!!今ダンジョンの外からお前を応援してるぞ!!!

声は届かないかもしれないけど、ダンジョンの外はお前への声援で満ちてるぞ!!!!

ちなみに外はこんな感じだ

↓リンク




とうとう今日のこの未攻略ダンジョンソロ探索配信が、最終盤に差し掛かってきたということで、視聴者たちが、まだボス戦が始まってもいないのにスパチャを投げてくる。


ここまでいたら神木を信じると、俺を応援してくれる古参勢。


そして今日俺を知って配信をみ始めたが、本当に応援しているとスパチャで気持ちを伝えてくれる新規視聴者。


とにかくいろんな人が俺の配信を応援してくれているようだった。



「え、今ダンジョンの外に集まってくれてるんですか?」



何人かの視聴者がスパチャで、今ダンジョンの外がお祭り騒ぎだと教えてくれた。


どうやら俺を応援する視聴者たちが集まって、声援を送ってくれているらしい。


リンクがあったので踏んでみると、本当に俺が現在潜っているダンジョンの目の前で、たくさんの群衆が集まっている様子が配信されていた。



『お、神木だ!!!』

『神木拓也だ!!!』

『神木拓也頑張れええええええ』

『神木後一歩だぁああああああ』

『神木伝説を見せてくれええええええ』

『頑張れ大将ぉおおおおおお』

『神木拓也最強!神木拓也最強!神木拓也最強ぉおおおおお!!!』

『お前ならいけるぞ神木ぃいいい!!!』

『後一歩だ神木ぃいいいいい!!!』



「うお、すげ……みんな応援してくれてる。ありがたいなぁ…」



映像は偽物には見えなかった。


どうやら本当に今現在俺の潜っているダンジョンの周りにたくさんの視聴者たちが駆けつけて、声援を送ってくれているらしい。



”うおおおおおおおおおおお“

”なんだこの熱い流れ;;“

”もう絶対にクリアするしかないなぁあ!?“

”みんな見てるぞ神木ぃいいいいいいい“

”俺も今ダンジョンの目の前にいるぞ神木ぃいいいいいい“

”うおおおおおおおおおおおおおお“

”どりゃああああああああああああ“

”きたきたきたきたきたきた“

”盛り上がってきたああああああああ“

”みんな;;“

“なんだこの感動的な流れ;;”

“やべぇ;;もう泣きそう;;”

“マジで頑張れ神木。応援してる”

“大将、伝説を俺らに見してくれ;;”

“神木拓也最強!神木拓也最強!神木拓也最強!”



ダンジョンの周りに集まった視聴者の映像に反応して、チャット欄でも視聴者がさらに盛り上がる。


かつてない一体感が配信に漂っていた。


みんな画面越しで、直接顔を合わせたわけでもないのに、みんなの気持ちが一つになっているのが伝わってくる。



(配信をやってて良かったと思える1番の瞬間だよな…)



俺はこんな大勢の視聴者に支えられてダンジョン配信をできる環境につくづく感謝しながら、いよいよボス部屋の扉に手をかける。



「皆さん応援ありがとうございます。必ず勝つので見ていてください。では、これからボス部屋に入りたいと思います」


俺は必ず勝つと視聴者に約束し、かつてない自信と共に、ボス部屋の扉に手をかけた。

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