第164話
”やあ^^“
”みてるー^^“
”みてるかー^^“
”みてるー^^“
”やあ^^“
”みてるー?^^“
”みえてるかなー?^^“
”二人とも見えてるー?^^“
”やあ^^”
“誰がチーターだって?^^”
”みてるー?^^“
“^^”
“^^”
“みてるー?^^”
どうやら俺の配信にたどり着いたらしい二人。
俺の配信の同接の多さに驚くチャットが届いた瞬間に、一斉にチャット欄が「みてるー?^^」とおそらく現在進行形で俺の配信を見ているであろう二人に反応する。
先ほどまで俺をチーター呼ばわりし、通報までしかねない勢いだった二人は途端にしおらしくなる。
味方1:めっちゃ有名な配信者じゃないですか…
味方2:そう言うことなら言ってくださいよ…
自分:いや…なんかすみません。チーターじゃないって証明したかったので。
味方1:ゲーム配信で同接30万人ってすごいですね…みたことないです
味方2:プロの方ですか…?
自分:いや、プロじゃないです…普段は他のジャンルで配信してて…
味方1:何かの企画とかですか…?
味方2:マジですごいっす……あの、フレンド申請送っときましたんでよかったら…
どうやらチーターではないかという疑惑は完全に晴れたようだ。
流石にこの人数に見られながらチートを使う大胆な配信者はいないだろうと考えたらしい。
こんな大人数の前でチートを使えば、確実にバレるだろうし、人気も失う。
そんなバカなことをする配信者はいないからおそらく俺は白だと判断してくれたようだ。
実際俺は一切チートを使っていないし、信じてもらえてよかった。
できれば配信者であることは明かしたくなかったんだが……背に腹は変えられなかった。
二人は三十万人に見られている緊張からか、途端にぎこちなくなり、敬語を使い出した。
自分:すみません。今後もこのゲームやるかはわかんないんで…フレンドにはなれないです
味方2:あっ、そうっすか…
味方1:あのー…マジで普段もこのゲームで人集めてるんですか?ゲーム配信自分よく見るんですけど、こんな同接集めてるのカロ藤糸屯一さんぐらいしか見たことなくて…
自分:普段はダンジョン配信してますね
味方1:やっぱり!!どっかで聞いたことあると思ったんすよ…ダンジョン配信者の神木拓也さんなんですか…?
自分:はい。そうです
味方2:神木拓也ってよくあのモンスターと戦うクリップが流れてくる…?え、神木拓也のゲーム実況チャンネルって……マジでそうなの?ゲーム実況とかやってたんですか…?
自分:今日初めて見たんです。視聴者アンケートでこのゲームやることになって…
味方1:マジですげぇ…
味方2:あの…さっきはチーターとか疑って本当にすみませんでした…
自分:別に全然大丈夫ですよ。それだけ強かったってことなら嬉しいです
俺は二人に対してそうチャットを打った上で、視聴者に釘も刺しておく。
「この二人のこと、荒らしたらだめだからな?」
“おけ”
“わかった”
“勘弁してやる”
“謝ったなら許す”
“謝ったなら許すわ”
“謝ったから許す”
“謝ったし許すべ”
“謝ったから許すわ”
“謝罪したなら許す”
“謝ったし勘弁するわ”
“はいよ”
“通報しようかと思ったけど大将がそう言うなら…”
“すでにTwitterのアカウント特定してたけど、謝ったから許すわ”
“特定早すぎだろw w w”
“アカウントに凸しようと思ったけど、謝ったし許すわ”
“以後気をつけろなー?^^強いってだけでチーター認定やめろなー?^^”
すでに特定班がこの二人のSNSまで特定してしまったらしい。
このままだと血の気の多い一部の視聴者が荒らしに行きかねなかったため、俺は絶対にこの二人を荒らしてはいけないと視聴者に釘を刺す。
視聴者は、俺がこの二人を荒らすなと命令すると「謝ったから許す」「謝罪したから勘弁してやる」と俺を一瞬チーター呼ばわりしかけた二人を許したようだった。
パパパパパパ!!!
「うおっ!?敵めっちゃ後ろからきてる!?」
味方1:うわ、敵きました!!!
味方2:どうします!?敵来ましたよ!?
悠長に二人とそんなやりとりをしていたせいだろう。
いきなり背後で銃声が響くとともに、一パーティー三人が俺たちに奇襲攻撃を仕掛けてきた。
俺たちはアーマーをガリガリ削られながら、一旦物陰に隠れる。
二人は、俺がそれなりに規模の大きい配信者だとわかったからか、自分の判断でパーティーを壊滅させたりして叩かれるのを恐れて俺に「次どうします?」「逃げます戦いますか?指示に従います」と俺に指示を仰いでくる。
俺はぐるりと周囲を見渡して、近くに横長の建物があるのを見つけた。
自分:あそこに一旦入って、アーマー回復したりして耐性をたてなおしましょう。あそこは長い一方通行の通路なので敵を迎え撃ちやすいです
味方1:了解っす
味方2:わかりました。ついていきます
自分:先に行っててください。俺ここで撃ちながら食い止めておくんで
味方1:マジっすか!?
味方2:頑張ってください
俺はそう言って味方を先に行かせて自分だけその岩陰に残り、こちらに迫ってくる敵に向けて発砲する。
一直線にこちらに向かってきていた敵が、俺の発報によって動きを鈍らせる。
その隙に、味方二人が背後の建物の中へと逃げ込んだ。
俺も頃合いを見て二人の後を追い、建物の中に入る。
味方1:こっからどうします!?
味方2:何かアイテム入りますか?
建物の中に先に入っていた二人が、逃げ込んできた俺に指示を仰いでくる。
すでに二人はアーマーの回復を済ませているようだった。
俺は足りないアイテムを二人からもらいながら、次の指示を出す。
自分:グレネードだけもらっていいですか?
味方1:了解です
味方2:どうぞ。回復はいりますか?
自分:回復はいいです。もうすぐ敵がここにくると思うんで、二人で迎え撃ってもらっていいですか。この通路を下がりながら、入ってきた敵を撃ってできるだけダメージを稼いでください
味方1:了解っす
味方2:わかりました…あの、神木さんはどうするんですか?
自分:俺は先にこの建物を出てぐるっと回って敵の背後をとります。そのまま挟み撃ちにしましょう
味方1:わ、わかりました…
味方2:神木さんがくるまで頑張って耐えます…
自分:頼みます
二人に指示を出し、グレネードだけもらってから、俺は建物の出口を目指して進み出した。
二人は一方通行の通路の両端に立って、建物の入り口に向かって銃を構える。
もうすぐ敵がやってくるだろう。
二人には出来るだけ建物内に入ってくる敵に対して時間とダメージを稼いでもらう。
その間に俺がぐるっとマップを回って敵の背後に回り込み挟み撃ちをする作戦だ。
うまくいけば、奇襲攻撃をしてきた敵を逆に返り討ちにして全滅させることが出来るだろう。
自分:頑張って耐えてください。最速で回ってくるんで
味方1:が、がんばります…
味方2:神木さんも…他のパーティーに見つからないように頑張ってください…
俺は二人がなるべく多くの時間を稼いでくれるように祈りながら、最速で建物を離れ敵パーティーに悟られないようにぐるりと回って背後をとるルートを進んでいくのだった。
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