第151話
“こっっっっわ”
“怖すぎw”
”怖いねぇ…w“
“死ぬのはどっちなんだい?”
”じゃあもう最初っから戦いで良くないか?“
”謎解きとかいう茶番いいからさっさと殺し合うべ^^“
”神木の強さも知らずに…“
”こいつ性格あんまり良くなさそう“
“こいつ普通に性格悪いやろ”
”早くわからすべ^^”
“この犬早くわからして手懐けべ^^”
”実際こいつ戦闘力どんなもんなん?“
”ここまでいうってことは図体だけってことはないよね?戦闘の方でもなんか能力持ってたりすんの?“
”まぁもしかしたら謎解けるかもしれないし、とりあえず謎解きしてみよう“
スフィンクスがニヤニヤ笑いながら見下ろしてくる。
謎が解けなければ殺す、と言った後に俺の反応を見ているようだった。
なんだろう。
このモンスターは確かに人の言葉が喋れるほどに賢いのかもしれないけど、あんまり性格は良くなさそうではある。
俺ごときに謎が解けるはずもないし、ましてや戦闘で勝てる可能性など万に一つもないと思っていそうだ。
…まぁどう思われていようとかまわない。
俺がやることは一つ。
このミステリーダンジョンをクリアすること。
そのために謎解きが必要なんだったら挑戦するし、解けずにこのスフィンクスと戦うことになったら、普通に倒すまでだ。
「それで、謎なぞは?」
俺はスフィンクスにとりあえず謎なぞを尋ねてみる。
『ククク……解けるはずもないが…まぁいい。出してやろう。謎謎を。もし本当に解けたら、ここから出してやるとも。ああ、私は約束を守るさ。たとえ取るに足らない下等生物との約束でもね』
スフィンクスは心底俺を見下したようなことを言った後に、いよいよなぞなぞを出題した。
『朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。この生き物はなんだ?』
「あ、それなんだっけ……」
ミステリーダンジョン最後のなぞなぞというから身構えていたが、果たして問題はめちゃくちゃ聞き覚えのある有名なやつだった。
だが……俺は自分の記憶力を恨む。
「聞いたことあるはずなんだけど…」
思い出せない。
確かにこの問題は聞いたことがあるし、答えも知っていると思うのだが、答えを忘れてしまった。
『ククク…制限時間は5分としようか…さあ、存分に考えろ…』
ニヤニヤ笑いながら見下ろしてくるスフィンクスの前で、俺は頭を抱える。
”人間“
”人間“
“人”
“人間だろ”
“人間じゃね?”
”これめっちゃ有名なやつやん。人間“
”簡単すぎる。人間“
”人間でしょ答え“
”赤ちゃんの頃ははいはいだから4本足。大人になったら立って歩くから二本足。年取ったら杖つくから3本足。人間やね“
”神木、人間だって“
”あれ…?まさか大将、答え忘れてるw“
”うせやろwこの程度も解けないのかよ神木w“
”大将流石にこの問題はわかるよね…?“
チャット欄ではおそらく視聴者は答えを導き出したはずだ。
俺はカンニングをしようとチラリとチャット欄に目を移そうとする。
『おい…道具の力は借りるな。自分一人の力で考えろ』
スフィンクスがギロリと俺を睨んできた。
俺は慌てて視線を戻す。
「マジでなんだっけ…聞いたことがある気がするんだけど…朝は4本足、昼間二本足、夜は3本足……えーっと……」
俺は記憶を思い起こそうと頭を抱える。
『制限時間後30秒だぞ〜』
スフィンクスがそんなことを言ってくる。
俺は悩みに悩んだ末……
「あ…!」
とうとう答えを思い出した。
「人間!!!!」
『む……』
スフィンクスがしまったという顔になる。
その表情を見て俺は正解であることを確信する。
そうだ。
この問題の答えは人間だ。
朝4本足、というのはハイハイで進む赤ちゃんの頃をさしている。
そして昼二本足は大人になった頃のことを指している。
そして夜3本足は、老人になり、杖をついて歩く様を表している。
よって答えは人間。
これが正解なはずだ。
『せ、正解だ……』
スフィンクスが悔しげに言った。
”うぉおおおおおおおおおおおお“
”きたあああああああああああああ“
“どりゃあああああああああああああ”
”よっしゃああああああああああああ“
”よーーーーーーーーーし“
”よーーーーし“
”よーーーーーーーーーーーーし“
”神木拓也最強!神木拓也最強!神木拓也最強!“
”思い出したか!!!!“
”ナイスぅううううううううう“
“やりますねぇ”
“最後の最後自力で解いたか。っぱ大将よ”
「よし…!」
俺はガッツポーズを取る。
問題が案外簡単で本当に助かった。
ここまで全然謎を解かずにきてしまったが、最後の最後で自力で謎を解くことができた。
これは汚名返上しただろう。
これで俺はミステリーダンジョンを自分の知恵でクリアし、踏破したことになる。
これなら誰も文句は言えないはずだ。
「えーっと…出口はどこですか?」
正解したらボス部屋から出してもらえるという約
束だった。
俺はスフィンクスにボス部屋の出口を尋ねる。
次の瞬間、スフィンクスの口元が大きく歪んだ。
『出口?なんの話だ?』
「え…」
スフィンクスがニヤニヤ笑いながら俺を見下ろしている。
『まだ問題は残っているぞ?』
「え、まだあるんですか!?」
てっきり一問だけと思っていた俺は思わず大きな声を出してしまう。
というか今の完全に一問だけの流れだっただろ。
『私は問題は一問だけとは言ってないが?』
「…」
『さあ、次の問題だ』
「ちょ、ちょっと待ってください……問題は何問あるんですか?」
『ククク……』
スフィンクスが俺を見下したような笑いを浮かべながら言った。
『さあ?何問だろうなぁ?それはお前にはわからない。私の裁量次第といったところか…』
「…」
“うわ、せっっっこ”
“せっっっっこ”
“せこすぎ”
“ずっっっっっっっっる”
“ずるすぎ”
“なんだこいつ”
“騙したな”
”インチキやん“
”屁理屈やん“
”負け惜しみかな?“
”性格わっっっっっる“
”性格悪すぎ“
”キモ。なんだこいつ“
”おいこいつもう殺そうぜ?“
”生かされていたのは自分だったことに早く気づかせよう“
“これわざと勘違いさせただろ”
“殺すべ^^”
”消すべ^^“
”切り刻むべ^^“
まさかの展開にチャット欄で視聴者たちが「せこい」「性格悪い」「わざと勘違いを誘発した」などと怒る中、俺は自らの中で沸々と湧き起こる怒りを感じていた。
せっかく自力で問題を解いて脱出できたと思ったのに……
『さぁて、次の問題だぁ。答えられなきゃお前を殺してしまうぞ?ククク……』
「もういいや」
『む?』
「神拳」
ブゥウウウウウウウン!!!!
『ナッ!?!?』
目の前に黒の奔流が出現した。
スフィンクスが驚きに目を見開いた。
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