第148話


“結局謎解き全然してねぇw”

”もう第三層突破かよw“

“ここまでマジで謎解きしてないやんけw”

”ミステリーダンジョンに潜ったはずなのに、ミステリー要素ゼロなんですが…“

”やってることがいつものダンジョン探索と変わらんw w w“

”罠に反応するってなんだよw“

“マジで大将の動き、某有名配管工ゲームのRTAなんだよな…”

“大将の配信見てると、今までこのダンジョンに潜って必死に謎解きしてた連中がなんだっったのかと思ってしまう”

”過去にこのダンジョンに潜ったことある連中が今神木の配信見てたら、あwほ wく wさ wってなってるやろな“

“みんな忘れてるけど、このダンジョン未攻略だからな…?多分神木、今前人未到の領域に踏み込んでるからな?“

“神木拓也最強!神木拓也最強!神木拓也最強!”



第三層を踏破した俺は、第四層へと足を踏み入れる。


チャット欄はまだ、先ほどの第三層を駆け抜けて踏破したことで盛り上がっているようだ。


中にはまるでゲーム画面を見ているようだったという視聴者までいる。


確かにいろんな罠を飛んだり跳ねたり〇〇〇んだりしながら進んでいく様は、客観的に見てみるとゲームみたいに映るかもしれない。


まぁゲームと違って残機とかないからこっちは結構必死なんだけどな。


まぁそれはともかく、俺は第三層の出口から緩やかな通路を下り、第四層へとやってきた。



「お、あれは…?」



第四層には罠らしきものは見当たらなかった。


扉や障害物、解くための謎なども存在しない。


あるのは広い空間のど真ん中に鎮座した巨大な扉だった。


この光景、何度も見たことがある。


おそらくこの扉の先の部屋は……



「ボス部屋?かな」



“ボス部屋きたぁああああああああ”

“ファッ!?もうボス部屋!?”

“クリア目前やん”

“うおおおおおおおおおおおおおおお”

“どりゃあああああああああああ”

”盛り上がってきたぁあああああああああ“

”ボス部屋も謎解き?“

”ボス部屋早くね…?“

”ミステリーダンジョンは全部で四層の構造だったのか“

“ボス部屋も謎解き…?”

”まぁここまで普通に謎といて進んできたら、やっとボス部屋か!って感じなんやろな。大将がチートすぎて全然達成感ないけど“

“全部の謎といてここまできたとしたら多分どんな学者チームでも一週間以上はかかるやろな”

”ボス部屋の謎もどうせ壊すんやしさっさと神拳と神斬ブッパして帰るべ^^“

”大将早くボス部屋の謎壊して帰ろー^^“



おそらくボス部屋の扉を前にして、視聴者たちはにわかに興奮し始める。


中にはさっさと中に入って謎を壊して地上に帰ろうという気が早い視聴者もいる。



「うーん…なんか…」



チラリと俺は腕時計に目を移す。


潜ってから大体三時間ぐらいが経過していた。


これまでの深層ソロ探索と比べて圧倒的に短い時間でボス部屋に辿り着いてしまった。


正直言うと物足りない。


モンスターとの戦闘も一切なかったからだ。


おかしい。


一応ここって未攻略ダンジョンだよな?



「謎解きちゃんとできなくてすみません…」



多分正攻法でこのダンジョンに挑んでれば、ここに辿り着いた時の達成感というのもまた違ってきたのだろう。


俺が頭が悪いばっかりに、ここまで謎を全て破壊して無理やり突破してきてしまった。


そのことに俺はなんだか申し訳なさを感じてしまう。



”なんか謝ってらw“

“クリアすればなんでもええやろw w w”

“いや、どんな方法であれ未攻略ダンジョンを攻略するのは偉業やろw“

“いや、まだボス部屋に何があるかわからんやんwクリアした気になるの早すぎやろw”

“ボス部屋っつってもモンスターいないんだろ?ちょっとつまらないよな”

“ミステリーダンジョンだからやっぱりボス部屋にもモンスターはいない感じか”

“正直ちょっと物足りなかったよな。やっぱり神木には普通にモンスターが出てくるダンジョンの方が合っていると思う”

”モンスターとの戦闘が一切なくても同接100万超えるのいいねw“



「とりあえずボス部屋に入ります……多分謎解き今回も無理だと思うけど…」



ここまでの謎解きで俺が自力で解けたものは一個もない。


唯一第二層で視聴者に手を借りて一つだけ謎を解いたのだが、結局その後の謎は視聴者と協力しても解けずじまいだった。


そんな俺がミステリーダンジョンボス部屋の謎を解けるとは思えない。


多分これまで通り普通に謎を力技で突破してクリアすることになると思うが……まぁどんな方法であれ踏破は踏破なのでよしとしよう。



「それではボス部屋に入ります…」



ミステリーダンジョンなので、ボス部屋にボスモンスターがいると言うこともないだろう。


そうたかを括って、俺はリラックスした気持ちで、ボス部屋の中へ足を踏み入れる。


大きな扉は、俺が近づくとゴゴゴという重々しい音と主に一人でに開いた。



『ォオ……ナンダ…ニンゲンガ……キタノカ……?』




「…!?」



”ファッ!?“

”えっ!?”

“なんですと!?”

“!?”

“…っ!?“

”わあ!?“

“わぁ!?”

“なんかいる!?”

“誰!?”

“なんか聞こえたんだが!?”

“モンスター!?”

“ボスモンスター!?なんで!?”

“モンスターきたぁあああああああああ”

“面白くなってきたぁああああああああ“





〜あとがき〜


現在サポーター限定記事の方で『バズる前の神木拓也 第2話』が公開中です。


こちらは、本編と合わせて毎日投稿していく予定です。


サポーター加入すれば、一日2話分の神木拓也のエピソードがお楽しみいただけます。











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