第15話 いつのまにか「お兄ちゃん」なっていた(3)


「どうしたの、ユトニ?」

目を覚まして、振り向いて微笑んで彼女に向かった。

「共同登録委員会から……お兄ちゃんがそこにいるという情報が入ってきた……」

ユトニはそばに身を縮め、俺の腕に体を軽く斜めに寄せ、目を優しく見つめてくれた。

「……じゃあ、お兄ちゃんはどんな職業を手に入れたの?」

手は思わず震えて、引っ込もうとした。


「解放者」

腕の柔らかさがすぐに消え、ユトニは突然立ち上がった。

彼女の目には驚きの光が光っているのが見える。「お兄ちゃんは……解放者?!」

ユトニは興奮して俺に近づいてきて、顔にほんのりと赤みが浮かんだ。

「解放者は極めて珍しい職業だ!」

「うん」とうなずいた。

なぜかユトニをからかそうとして、聞き返すような口調で彼女に言った。

「ということは、ユットニーは俺の能力を信じてくれないのか?」

頭を下げたが、目はこっそり上を向いて、彼女の反応を観察していた。

「いえいえ、そんなことはないわ!」

無邪気な妹は簡単にだまされた。急いで首を横に振って、顔が急に赤くなった。

「私の心の中で、お兄ちゃんは永遠に最高だわ」「もちろんわかってるよ」

顔を上げると、思わず笑ってしまった。

兄になるのはいい感じたな~心の中で楽しく思っている。

(もし俺が現実世界に妹がいたら、毎分毎秒楽しく幸せな時間になると信じている!)

ユトニは俺を見て正常に戻り、自分もほっとした。突然振り向いて、後ろのテーブルの上から紫色のものを持ってきた。

「お兄ちゃん、こんなに長く走り回って、さぞお疲れになったでしょう」

木コップを俺の手に渡した。

「これは私が調製した薬剤だ。疲れを癒すことができるから、今飲み続けましょう」

「た……確かに?」

驚いたことに、コップの中に泡が立っているのを見て、不明な液体全体が煙を放っている。

「う……っ」

顔を上げると、妹の目にやんちゃな光が光っているように見えて、彼女はとても肯定的にうなずいた。「……わかった。心配してくれてありがとう」

両手を震わせながらその液体を持ち上げ、唇の端に沿ってカップが止まり、また急に止まった。


『未知のものには、慎重に……』

両手を腰に当て、厳しい目で俺を見つめている春禾が頭に浮かんだ。

(そうだなぁ。彼女の言うとおりだ)

急速に考えている。

(でも、この薬を持ってきてくれたのは、妹だったんだよ……)

そう思うと、春禾のイメージはまた急速に消えてしまった。

「お兄ちゃん?」

「ん……ん?」


ふと現実に戻ると、妹がかすかに頭を傾け、不可解な目で俺を見ていた。何をしようかと思った。唇を開き、紫の液体に一気に流し込んだ。

液体が食道をかすめて……全身が乾燥して熱くなるのを感じる。

もしかしたら、これは薬を飲むと人体が正常に反応するのではないかと思いる。

突然この火で焼いたような感じが消えて、代わりに、フワフワした感じがして……触覚が効かなくなったような……脳が空になったようで、体は体の殻だけが残っているようだ。

ふわふわした羽のように、椅子に落ちてきた。


何も考えなくていい、この感覚はなんていいんだろう……そのまま夢の中へ……。

まぶたはゆっくりと下がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る