第14話 いつのまにか「お兄ちゃん」なっていた(2)


*

かつて暖かい家があった、俺。

——一人でその世界に生きるまで。

両親は遠洋視察中、そのいた客船が不幸にも座礁して沈没した。船の中には生きてきた人がいて、この事件の「奇跡」と呼ばれていた。

しかし、俺の両親はずっと音信不通で……。

「死んだ……」

その瞬間、世界は暗くなったような気がした。


数日後、本橋私立高校の生徒になりた。当時は、すべてのことにうんざりしていた。

食堂で食事をしたり、図書館で勉強したり、教室棟の外で休んだり……すべては、俺だけが成し遂げた。

——孤独、寂しい。


……気づいたのはだけだったようだ。


「これ以上退廃的になってはいけない、君!」

終業のベルが鳴った後、ぼんやりと机から立ち上がり、目の前の人をじっと見つめていた。

「あなたは誰ですか……?」と不可解に尋ね、また机の上に腹ばいになりたいと言った。

細い腕が突然人のところに伸びて、俺の動きを止めた。

「私はこのクラスの班長です!」

春禾は自分の長い髪を軽く撫でて、威厳を持って俺を見つめて、唇がすぼまっていた。

「そして、これから私を『千野さん』と呼ぶべきです——」

「――はいはい、千野さん」

なるべく丁寧な口調で硬直して話すと、眠気がどんどん押し寄せてきて、彼女を速やかにそばから離したいと思っていた。

「しばらく邪魔しないでくれませんか」

その手をそっと離そうとしたが、体は微動だにしなかった。

「だめだ!」班長は立ち去るつもりはないようで、質問したような口調で言った。

「それでは率直に言いるわ。涛堂さんは最近ずっと落ち込んでいて、きっといくつかのことが悩ませているのではないでしょうか……」

眠気はたちまち消えてしまった。何日も心の中に溜まった孤独は、この時すでに怒りに変わっていた。


椅子から急に立ち上がった。

「俺の私事は管理する必要はない!」

怒りは猛獣のように降り注ぎ、誰も止められない。「これからは俺にこんな話をしなくてもいい、千·野·さん!!」

投げかけた後、大股に歩き、旋風のように教室を飛び出し、呆然とした春禾だけを残した。


その後、驚かせたのは、春禾はほとんど毎日探しに来て、しかも話す時の語気は依然としてそんなにしっかりしていたことだ。

しかし、彼女の人情を受け取らず、彼女と大げんかをしたり、まっすぐにそばを走ったりした。


今思えば、当時の俺は、とても愚かだった……

……身近に家族のように接してくれた人がいて、俺の世界を元のカラフルな姿に変えようと努力していたのに、彼女を無視していた……。


でも、神様はまたチャンスを与えてくれた。家族とよく知らないでよく知っている家族に、家族を大切にすることができる。

円卓のそばにある木製の椅子に寄りかかり、周りの古風な置物を見て、世界のすべてがそんなに温かくて美しいと改めて感じた。

そっと目を閉じた……

縁から引かれるような感覚が伝わってきた。


「……お兄ちゃん」

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