第10話 カビトリ聖池から放つ光(1)
*
場所のわからない部屋で、二人は話をしている。
かすかな光が彼らの顔を明るくしたり暗くしたりして、ただでさえ暗い部屋では非常に恐怖に見えた。
「情報はあるか」
ろうそくの明かりの右側に座っていた人がこう尋ねた。彼は厚い毛皮のマントを身につけて、吐いた息が冷たい空気の中で白い蒸気に凝縮した。
「うん」
もう一人は明らかに入ってきたばかりの人が簡単に答えた。少し震えて、服で自分をもっときつく巻いた。
「ジャルラ統領府には、王国議会が皇帝陛下からの命令を手足に動かした疑いがある」
「それは確かなことだ」
一人目は揺れるロウソクの光を見つめ、鼻腔から冷ややかに口ずさむ。
「あなたも朝のリーダーの話を聞いたでしょう。『反撃するつもりはありません』、王国議会の臆病な人だけがこのような決定を下すのだぞ」
「もう一つニュースがある」
もう一人は話に出ずに言い続けた。
「ウィブラス家の誰かがウェキ村の近くで行方不明になった」
「衰えゆく家族だ」
一人目は辛辣に言った。
「彼らの家族の人々は、王国上院での権勢はますます微々たるものになっているそうだ」
「これだけ」
もう一人は黙って彼のコメントを聞いて、突然立ち上がって、まっすぐ入り口に向かって歩いて行った。
「言葉に気をつけて、デリシャク。これでは府内を統べる者に弱みを握られる」
「待って」
デリシャクも立ち上がり、ロウソクの光の下で大きな黒い影を照らしていた。
「明日、ボデナの家族の人をやっつけに行くんだ。へへ……忘れてない?」
彼の口元は獰猛な笑みを絞り出した。
もう一人の声は凍りついたようだ。
彼は返事をしなかったので、黙ってドアを閉めた。
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