第1話 行方不明事件の裏に隠された罠(1)

*

「昨夜、神戸地区で同時に複数の行方不明事件が発生しましたが、行方不明の原因は不明です。行方不明者のリストは次の通りです…」

テレビの点滅し続ける光が俺の顔に映った。

もともと国際ニュースを真剣に聞いていたが、突然出てきたローカルニュースが気持ちをいらいらさせた。

不満そうに文句を言いながら、テレビを消した。

時計を見てみるともう遅くなった。口にパンをくわえて急いで出かける。


朝の町はいつものように静かだ。青い空が私の気和らげてくれた。

「今日は大切な日だ」

ここまで考えてまた足を速めた。


校門に来ると、騒がしい声が耳に飛び込んできた。

みんなの足について、ゆっくりと掲示板の前に入って、その上で名前を探した。

「ここに ···」

D組で名前を見つけた。少し頭を下げると、もう一人の名前が目に入った。

——千野 春禾ちの はるあや

「また彼女だ!これが運命なのだろうか」

無力と興奮の気持ちを抱いて、思わず声を出した。

「何の運命だか?ああ、またあなたに会った、慕也ぼや君」

なじみのある声が後ろから聞こえてきて、すぐに肩がひどくぶつかった。

「上を見て、俺たちはまた同じ組に分かれた。これがあなたの言う運命なのか」

振り返ってみると、太った姿が目の前に現れた。

義村よしむら、そうではない···」


肩を並べて教室に入った。ほとんどのクラスメートは既に知らない顔をしている。

しかし···

涛堂とどうさん、ちょっと来てください」

また聞き慣れない声だ。ゆっくりと振り向いた。

春禾は休暇を過ぎて、様子があまり変わっていない。

柔順な紫色の長髪が後ろに漂っていて、体には強いオーラがあるようだ。彼女は真面目な大きな目で私を見つめていたが、口はこの時しっかり握っていた。

この顔は誰もが彼女を見て緊張している。

老班長ろうはんちょう、あなたは俺に何をしてほしいのだか」

慌てずに言った。

落ち着いたのは、高一の時に彼女はほとんど毎日私に向かっていたからだ。

この表情を見ると、もちろん怖くない。

「私は何度も言ったので、「千野さん」と呼んでください」

彼女は俺が冗談を言っていると思っているようで、唇に笑いが現れ、白い歯が現れた。

彼女が笑った時はまだきれいだった。

彼女の笑顔はすぐに厳粛に変わった。

「屋上まで一緒に行ってくれ」

俺は急に緊張した。上の階に行くように言われたのは俺を脅迫しようとしているのではないだろうか。

「用事があったら先に行って、二人でゆっくり話して···」

助けを求める目で義村をちらっと見たが、彼はその言葉を振り切って逃げてしまった。

「わかった…お供しましょう」

絶望的に言った。


最上階は空いている。春禾のすぐそばで、こっそり彼女を狙った。困惑させたのは、彼女の目に不安がにじみ出たことだ。

「朝のニュース見ましたか?もし見ていたら、昨夜起きた行方不明事件を知っていただろう」

「俺···俺は真剣に見ていない。でもこれは俺たち二人と何の関係があるか」

正直に言った。

彼女は俺の迷いの目を見て、深く息を吸って、決心したかのように言った。

「私の兄、千野凛智ちの りんちは、行方不明者リストにも含まれている」

「えっ?!」

思わず叫んで、急いで両手で彼女の肩をつかんだ。

「お兄さんも行方不明になったの?手がかりはあるの?いつ行方不明になったの?」

「そんなに私の家のことを心配しなくてもいいし、それに···」

彼女の目は俺の手に移り、顔がほんのり赤くなった。

「すみません」

両手を置いたが、まだ彼女を急いだ目で見ていた。

焦っているのを見て、彼女の顔はもっと赤くなった。

「実は…私も知らない。彼のそばにいなかったからだ」

彼女の頭は次第に低くなり、また急に持ち上がった。

「そして、ここ数日気をつけなければならない。新聞記事の事件の場所は、あなたの家の近くにあることに気づいたので……」

彼女は話を終わらなかった。

「はい、はい、心配してくれてありがとう、「千野さん」。」

振り向いて、階段の口に向かって歩いて、手を勝手に振った。

「授業のベルが鳴ったから、早く教室に帰りましょう」

「ちょっと待って!」


授業ではいつものように苦しんでいた。頭がいつの間にか机の上に貼ってある。窓の外のまだ晴れた空を眺めていると、今朝のニュース記事が頭に浮かんできた。

寝姿を調整していたが、ふと前の2列に座っていた春禾が俺を見つめていたのを発見し、俺の不可解な目に出会ってまた振り向いて、顔がほんのり赤くなった。

「老班長は休みを過ぎて、俺に対する態度が改善されたようですね」

黙って思うと、心の中にかすかな喜びがあった。





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