第40話 レア対サージュオーク
大きな槍が稲妻のように飛んできた。槍はレアの肩をかすめて、オークの体を貫いた。レアの肩からは血がしたたり落ちる。
「レア、大丈夫かぁ」
「大丈夫よ。でもサミュエル、サージュオークが動き出したわ」
大きな槍を投げつけたのはサージュオークである。
「レア、どうする?」
「先にオークをやるわよ。幸いにもサージュオークの投げた槍が腹部に貫通して動きが止まっているわ」
レアはオークに駆け寄り魔核に銃口を押し当てて魔弾を発射しオークを仕留めにかかる。
『バン』 『バン』 『バン』
レアが一体目のオークを仕留めている間に、サミュエルはもう一体のオークに近づき左右に動きながら魔弾を発射する。しかし、オークの攻撃を避けるので精一杯で、魔弾は魔核に命中しない。
「サミュエル!来るわよ」
「問題ない」
後方からパンジャマンの足が飛んできた。サミュエルはしゃがんで避ける。パンジャマンの足はオークの顔面に直撃し、オークがふらつきだす。
「よし、今がチャンスだ」
「ダメよ。次が来るわ」
サミュエルがオークとの距離を縮めた瞬間に、次は弾丸のように岩が飛んできた。
『バン』
レアが魔弾を発射し岩を破壊した。
「俺がヘイトを稼ぐぜ」
オレリアンはサージュオークに向かって魔弾を発射する。しかし、距離も10mほど離れているので、サージュオークは相手にしない。
「みんな逃げて!僕が・・・僕が悪いんだ」
ポールは立ち上がり、サージュオークに向かって突進する。
「バカ野郎!何をしている」
オレリアンはポールの腕をつかむが、ポールは腕を上げてオレリアンの腕を引き離す。
一方、サージュオークが投げたパンジャマンの足を顔面にくらったオークがフラフラとしている隙に、サミュエルがもう一体のオークを仕留めた。
「こんなことになるなんて思ってなかったんだよ。僕が悪いんだ。僕のせいだ」
ポールは叫びながらサージュオークに近づいて行く。一方、サージュオークは、自分が投げた物体が仲間に直撃して、ニヤニヤと楽しそう笑いながら、パンジャマンの足をかぶりつき仲間がやられる光景を見ながら食事を楽しんでいる。
「僕が相手になってやる」
ポールはサージュオークとの距離を射程圏内の5mに入った瞬間、ポールが宙に舞った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
サージュオークは、ポールが近づいた瞬間に腕を大きく振って竜巻を発生させた。竜巻に巻き込まれたポールは宙を舞ったのである。
ポールは宙を舞った後に地面に叩きつけられた瞬間、すでにサージュオークはポールの目の前に居た。サージュオークは大木のような大きな腕を振り上げて、ハンマーのようにポールの頭を叩きつける。
「ポール!」
オレリアンは、無我夢中で走り出しポールの腕をつかみ引っ張る。
『ズドーーン』
サージュオークが殴りつけた地面は、大きな亀裂が入り音を立てて崩れ出す。直径10m範囲の地面は砕けてしまいクレータのような穴ぼこが出来上がる。オレリアンとポールは穴ぼこに引きずり込まれるように落ちて行く。
穴ぼこの中心にはサージュオーク、そして、足元には転がり落ちたオレリアンとポール。サージュオークは両手を大きく広げて二人を鷲掴みしようとする。
『バン』 『バン』 『バン』 『バン』
レアとサミュエルはクレーターの裾に立ち、レザーバンダナで保護している魔核に魔弾を発射する。
『バン』 『バン』 『バン』 『バン』 『バン』
レアとサミュエルは間髪入れずに魔弾を全て発射して、レアは全弾レザーバンダナに命中させた。サミュエルも3発の魔弾を命中させてレザーバンダナを破壊した。
頭に集中砲火をくらったサージュオークは、ジャンプをしてクレーターからすぐに抜け出し、両手を大きく振って、巨大な竜巻を発生させた。
レアとサミュエルは竜巻に飲み込まれて10mほど上空に吹き飛ばされて、そのまま地面に落下する。サミュエルは背中から地面に叩きつけられ意識を失った。一方、レアは宙がえりをして着地に成功する。
サージュオークは、地面に叩きつけられたサミュエルに向かって走り出す。
「させないわよ」
レアがピョンピョンと跳ねながら魔弾をレザーアーマーで保護されている首の繋目を攻撃する。しかし、レアの攻撃を嫌ったサージュオークは、獲物をレアに切り替えた。
「みんな意識はある?わたしがヘイト稼ぐから逃げるのよ」
レアは大声で叫びながらジグザクに移動しなら魔弾を発射する。サージュオークは両手で魔核を防ぎながらじわりじわりとレアに詰め寄って来る。
『バン』 『バン』
オレリアンは穴ぼこから這い上がって来て、サージュオークの首の繋目を狙って魔弾を発射した。
「棒立ちはダメよ」
レアが叫ぶと同時にサージュオークはくるっと後ろを向いて、両手を振りかざして大きな竜巻を発生させた。
「あなたの相手は私よ!」
レアは振り返ったサージュオークの首の繋目に向かって魔弾を発射するが、サージュオークは再びくるっと回ってレアの方を向いて両手でガードする。オレリアンは10m程宙に舞い上がってそのまま落下する。
レアは再びジグザク移動しながら、サージュオークに的を絞らせないように素早く移動して、揺さぶりかけながら魔弾を発射する。しかし、サージュオークは魔核をガードして防御を固めて動かない。レアは、サージュオークの周りを円を描くように移動して、レザーアーマーで保護している首の繋目を集中して狙う。レアの正確無比な攻撃により、首元のレザーアーマーに亀裂が入る。
「さぁ!どちらを守るのかしら?」
レアは魔弾を補充しながらサージュオークの周りを円を描くように動きつつ、さらにしゃがみをいれてサージュオークを翻弄する。
「グオォォォォ」
サージュオークは、おたけびを上げてレアから離れると、竜巻によって地面に叩き落とされたオレリアンに向かってジャンプをして踏み潰そうとした。
「させないわ」
レアは疾風のごとく駆け出してスライディンをする。
『グチャ』
おどろおどろしい鈍い音がした。
「レア―――」
意識を取り戻したサミュエルが見た光景は、サージュオークによって右腕を潰されたレアの痛々しい姿であった。
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