いずれ最高のクラス転移!~クラス全員超マイナーゲーム(名作!)の世界に転移したんだが、俺だけぼっちで10回もこの世界を救ってきたんで、片手間にざまぁしつつハイスペ女子を知識チートでエスコートします~

新田竜

第1話 ぼっち男子(時岡 尚春)の正体!

 俺、時岡ときおか 尚春なおはるは完全体の陰キャぼっち男子である。

 とある理由で、頻繁に学校を休んでいた俺の不在に気づいた2年G組のクラスメイトは一人もいなかったんだから、完全体を名乗っても何ら問題はないだろう。


 

 そして、あれは俺が再び高校に通うようになってから48日目の世界史の授業中、ギリシャかローマかその辺りの話を社会科教師がしていた時だった。


 その50代前半くらいの白髪しらが じりの男性教諭が板書ばんしょするために黒板の方を向いた瞬間、教室の四つの壁がまるで昔見たコントのセットみたいにバタンと外側に倒れて(それと同時にその男性教諭はどこかへ消えてしまった!)、突然広大な紫色の草原が四方に現れたのである。


 そりゃ、もうみんなめちゃくちゃ驚いていた。


「なんだよっ、これっ?」


「なんで紫? なんか超気持ち悪いんだけどっ!」


「てか、先生どこいったっ?」


「もしかしてドッキリっ?」


 

 でも、そんな中、俺だけはこう思っていたのである。


 ――ああ、この世界ね。知ってる、知ってる。


 というのも、さっき話した高校を休んでいた期間、俺はこの世界に無理やり召喚しょうかんされ、計10年かけて(このゲーム世界の10年は現実世界の10日!)この世界を10回も救っていたのだ(召喚されるたびにこのゲーム世界はなんと100年、時が進んでいた! つまり俺の活躍期間は飛び飛びでおよそ1000年!)。つまり、俺は原作ゲームはもちろん、このリアルなゲーム世界でもなのだ。


 そんなわけでたった一人だけ異世界転移10年選手(1000年選手?)のガチの異世界ヲタクの俺は、さらにこうも思っていたのだった。


 ――いいの? 俺・・・・・・この世界じゃマジですごいけど!


 そう思いながら誰にもバレないように、「ステータス・オープン」とつぶやくように言うと、俺にとってはお馴染なじみのこんな文字と数値が目の前に現れた。


【トキオカ・ナオハル】

冒険者レベル 999

職業 最上級勇者[最上級職]

HP 9852

MP 8956

攻撃 9998

防御 9999

力  9541 

俊敏 7846

炎属性魔術   SS

氷属性魔術   SS

水属性魔術   SS

雷属性魔術   SS

地属性魔術   SS

樹属性魔術   SS

闇属性魔術   S

幻術系魔術   SS

回復系魔術   SS

補助系魔術   SS

勇者特殊魔術  SS

空間魔術    SS

解除魔術    SS

剣術      SS

武術      SS

武具習熟度   SS

特殊能力 【全方位ステータス・オープン】

     【連続攻撃(4回)】

     【盗賊シーフの心得】

     【心の声(送受信)】

     【大魔導書[出現][解読][加筆修正]】

     【転生の儀式[コネコ][コドラゴン]】

     【素朴なキャンプセット】

     【高級ホテル建設】

     【武器、防具の合成、創造】

     【執事猫じい召喚】

 


 おっしゃっ!


 


 それにしても自分でも恐ろしくなるほどの完全無双仕様の数値!


 悲しいかな1世界を救うとどうしたってこんな数値になってしまうのだった。


 そういう意味ではこの数値は俺の孤独の産物でもあるのだ。


 そしてさらに悲しいことに、クラスメイト達にはこの文字と数値は見えないらしかった。


 と言うか、そんなようなことを俺がしている間、俺以外のクラスメイト達は俺のことなんて完全に無視してほとんど錯乱さくらん状態で口々にいろんなことを叫んだりしていたのだ。

 だが、天からこんなおっさんの声が聞こえてくるとみんな激コワの生活指導の先生が現れた時みたいに急に静かになった。


「君たちは大量召喚された勇者候補生だ。たったひとりで世界と相対あいたいする孤高の勇者ほど美しい存在はないが、パーティーを組んで行動する方が無難だろう。ただし最大4人までだ! だが旅の中で出会ったこの世界の者なら何人でも仲間にしてもかまわん! では、勇者候補生達よ、健闘を祈る!」


 なんて勝手なアナウンスだろうか!


 でもこれが超マイナーでマニア中のマニアしか知らない幻の傑作ロールプレイングゲーム『サーザントピアス』のオープニングなのだ。


 そうなのである!


 この異世界はおそらくはゲームマニアの俺以外のクラスメイトは誰も知らない超マイナーロールプレイングゲームのゲーム世界なのである。 

 ちなみに俺はこのゲームの大ファンでクリアしたのは10回だが、自分でも、もうわからなくなるくらい長い時間プレイしてきていた。だって、このゲームは一人で勝手に冒険して強くなることもできるし、もちろん天の声のおっさんが言ったように出会った冒険者と自由にパーティーを組むこともできるし、冒険者学校に入って知識を得てから冒険に出ることもできるし、この世界にたくさんあるキルドに入って活動することもできるし、帝都エンバルスの英雄軍に入隊して立身出世を目指しながら世界を救うこともできるのだ。なのでぼっちの俺にはこのゲームで出会う仲間こそが真の友だったわけだ。

 しかし、俺はぼっちをひどくこじらせているから、実際にこのリアルなゲーム世界に召喚された10回全てでパーティーも組まず、冒険者学校にも入学せず、ギルドにも入らず、もちろん英雄軍にも入隊せずに、ぼっちでこの世界を救ってしまったのである。


 それで毎回序盤どれだけ苦労したことか(無情にもステータスは毎回リセットされていたのだが、10回目に世界を救った時の褒美として今度召喚された時はステータスを引き継げるようにしてもらったのだ)!


 だから、やっとステータスを引き継げるようになった11回目(今回でついに本家のゲームより、このリアルなゲーム世界の方を多く救うことになってしまいそうだ)はたぶん楽勝だから、このリアルなゲーム世界をおもいっきり楽しむためにパーティーも組みたいし、そのパーティーのみんなで冒険者学校にも入学したいし、ギルドにも入りたいし、英雄軍にも入隊してみたいのだ。


 まあ、話を戻すと、そんな天の声のおっさんの実にあっさりとしたアナウンスが終わると、クラスメイト達は再び騒がしくなったのだった。



         ⚫

 


(パーティーなんか別に組みたくねえよ。それよりこのスマホ使えるようにしてくれよ! この世界を配信したら軽く同接どうせつ100万越えるだろ!)



         ⚫



「パーティー4人までだってよ!」


「じゃあ、やっぱ、男子だけで組んだ方がよくねぇ?」


「だよな? 女子は絶対足手まといになるもんな!」


「だな! 強くなればきっとこっちの女にモテモテになるんだから女子なんか必要ねぇよ!」


 1軍の男子達(ちなみに俺は言うまでもなく3軍にも入れてない正真正銘のぼっち!)が偉そうにそんなことを言い出す。


 すると、クラスのマドンナ的存在の乗崎じょうさき麗夏れいかがその男子達に静かに歩み寄って行ったのだった。



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第1話を最後までお読みくださりありがとうございます!


もしちょっとでも「なんかおもしろそう!」「これは期待できるかも!」と思っていただけましたら、最新話の後に☆☆☆評価をしていただけるとめちゃくちゃうれしいです!

作品フォローもぜひお願い致します!

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