第4話

雄哉が特別支援学校を卒業して四年の月日が経った。ボッチャで上を目指すことを決めた雄哉は、地元の会社に就職して仕事をしながら、週末は、日本ボッチャ協会が主催するボッチャの大会に参加する、という日々が続いていた。しかし、卒業後に初めて参加した大会では三位という好成績を残したものの、これはまぐれだったのか、その後の大会ではいい結果を残せず。車いすサッカーをやっていた時にも心が折れかけた時期があったが、今度はボッチャで心が折れかけていた。


「もう、ボッチャもやめてしまおうか・・・」


そう思っていた時に参加したボッチャ大会、雄哉は一人の男性に出会った。

その男性は同い年ぐらいで、雄哉と同じくボッチャで結果が中々出ず、悩んでいた。

雄哉は思い切って話しかけてみた。


「あの・・・」

 後ろからの雄哉の声に気付いた男性は、振り返って尋ねた。

「何ですか?」

「自分は杉山雄哉と言います。以前から大会であなたの姿を拝見していました。」


 するとその男性も、名前を教えてくださった。

「私は廣井峻希と言います。私も以前からあなたの姿を拝見しておりました。宜しくお願い致します。」


 雄哉の思い切りから出会った二人。いずれこの二人がボッチャをする上で、特別な関係となることをまだ誰も知るよしはなかった。

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