第弐話「異世界からの来訪者」
悲鳴が飛び交う教室内、1人の男子生徒が驚愕の声を上げる。
「何だアイツは!」
突如青く光る穴の中から人影が現れた。見慣れない奇抜な格好をした男……そいつは屍を跨ぎながら、校舎側に向かってくる。
生徒達が動揺しだした。
校内アナウンスが流れる。
「学校内に外部の者が侵入しました。生徒達は先生方の指示に従って避難してください…」
教師たちも何が起こったか理解できていないようだが、緊急事態なのは間違いないと判断したのだろう。教師たちは生徒を避難用裏階段へと促す。
「慎太…ダークネス君も早く行こうよ!」
「ククク…遂に来たか。健人、お前は先に行け。俺はやるぜ。」
「何馬鹿なこと言ってんだよ!緊急事態なんだぞ!ふざけるのもいい加減にしろ!」
慎太郎は健人の呼び掛けにも応えずまだ窓の外を覗いている。そして突然こう叫んだ。
「我は
……男は、目線を変えた。そして殺意に満ちた眼でこちらを見た。
「ひぃぃぃ!あいつ絶対ヤバいって!早く逃げよう!」
「……来るぞ」
「え?」
ダッッ!
男は地面を蹴りあげて跳び上がり
バリーン!
窓ガラスを突き破って3階にある教室に入ってきた。
「嘘だろ……?」
後ろを見るととっくに教師と生徒の姿は避難を終えて消えていた。今この教室にいるのは、慎太郎と健人、そして謎の男だけだった。
男は静かに2人を見つめていた……長い硬直状態が続く。
その静寂を破るように、ガシャンという大きな音と悲鳴が聞こえた。
男が椅子を蹴りあげたのだ。健人は恐怖にその場に座り込む。突如慎太郎は右手を振り上げ叫ぶ。
「我と戦おうと言うのか!漆黒の炎に包まれながら自身の選択を恨むことになるだろう!」
男はもう1つ椅子を蹴りあげ、それが健人の傍に落下する。男の右手にはいつの間にか剣が握られていた。慎太郎の方に視線を向け、1歩踏み出す。
「慎太郎君!」
「漆黒の炎よ!我の深紅の大鎌を、殺意の火炎で包み込め!」
その時、健人の目には信じられない物が映った。それはこの世界の仕組みを根底から覆すような……慎太郎の右手が光に包まれ、そこに突然、巨大な鎌が現れた。
慎太郎も驚いた様な顔をしたが、すぐに微笑み叫んだ。
「奥義-
黒い炎が鎌を包む……
「深淵の闇に堕ちて死ね!」
……健人はただ慎太郎と男の戦いを呆然と見ていた。鎌と剣が何度も交わり、高い金属音を立てる。何故こんな事になったのかを理解できないまま座っていた。
数分後、慎太郎の鎌が男の脇腹を切り裂いた。男は苦しそうな断末魔を上げ、床に倒れた。蒼い血液が地面を染める。
「立て健人。帰ろう。」
慎太郎が差し出した右手を、健人は弱々しく握り締めた。
to be continued…
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