8話 ???視点

 すみません。少しグロいかもです。ご注意下さい……

◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ここはソフィアとかいう女の感情の中…。とても暗くて真っ黒、そんな感情がここにいる限り私の中に無限に流れてくる。正直とても気分が悪い……。

「ねぇ、姉さん。早く出ましょうよ。私……いや、フラン気分が悪いわ」

「はあ、フラン。我慢してよ、せっかくきたんだから弱味の一つでも見つけないと……」

 いやだったけどそれもそうね、と思って私はうなずいた。

「……ん?姉さん。あれ、あれっ。ひ、人。人」

 私は必死に姉さんに訴える。だって、だって。一人の男が…フランたちを、睨んでいたから。

 目が合うと男は不適に笑い、フランたちに近いてきた。

 な、なんなの…さっきまで平気だったのに急に苦しくなってきた。

「姉さんなんとかしてよ、フランの姉さんでしょ…」

 すがるようにフランは姉さんを見た。すると姉さんは……

「今回だけよ、フラン…」

 と、言うとフランをかばうように前に立ってくれた。そして…

「あなた、一体誰なのよ。妹が怖がっているのだけども…」

 姉さんが問うと、男はフランたちの前に立って……

「俺か?俺はな、ソフィアの記憶そのものであり、ソフィアの兄だよ。名前は忘れた」

 意味のわからないことを言い出した。本当に、何を言っているのかしら。

「は…?あ。い、いえ。これは失礼しました。私はこの子とルナ、ソフィアさんが仕えている吸血鬼の姉の、ルーと申します」

 姉さんは頭を下げる。なんで、なんでこんなやつに……いいじゃん、行こうよ。

 私は姉さんの手を引いた、けど……

「フランっ…いいからあんたもあいさつしなさい」

「………で。なんでよ、それはフランが決めることでしょ…ねぇ、なんか言ってよ…姉さんっ」

 涙が出てきた。最後に泣いたのは…いつだったっけ?でも、今はそんなことはどうでもいい。

 そもそもフランはなんで泣いているんだっけ?わからない…わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないっ……フランは、怖いのかもしれない。フランは、悔しいのかもしれない。フランが……弱いからかもしれない。

 もしかしたら、全部なのかもしれない…?

 誰か教えて……?姉さん、兄さん。誰でもいい、いいから…う、うぅ。

 涙が止まらない。フランは、無力だわ……

「はっ。ずいぶんかわいげのないやつだな、それでいて無力だ…」

 男はフランをバカにしてきた。けど、いい返す気にはなれなかった…だって、全部事実なんだもの。もう全部、どうでもよくなっ…「っ…。フラン、フラン。いったいどうしたの?」

「いたっ…やめてよ姉さん」

 姉さんがフランの肩をがしっと掴んできたからびっくりして声をあげてしまった。

「どうしたのっ。あの男のせい?なら…」

 姉さんがなにかをいいかけたとき……

「はあ、お前ら。もういいわ………とっとと消えろよ」

「「…え?」」

「いたっ」

 まずお腹を殴られた。苦しい…一度止まった涙がまた溢れてきた。

「あはははは。次は何がいい、特別に選ばせてやるよ。俺はいま、機嫌がいいんだ…」

 痛くて痛くて声が出ない。悔しい……。


 その後のことはよく覚えていない。けど、四肢をもがれ、ハラワタをえぐられた………気がする。

「…怖い」

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