6話

「ふわぁ。おはよう、シイナ」

 私はのびをしながらメイドのシイナにあいさつをした。今日は快晴、気分が上がるわ!

「おはよう。さあ、朝食はできているわ。早く着替えてっ冷めちゃうわ」 

 そう言い残し、シイナは部屋を出ていってしまった。

 

 食事中、私はシイナとお喋りをしていた。「本当に、ほんっとーにっ、ソフィアが仕えている吸血鬼さんは危険じゃないのよね?」

 あ、圧がつよいっ。なんだかとても………ま、まぶしいわ。

「もちろんよ、私を信じてっ!」

 ふふんっ…と私は胸を張った。

「はぁ、そこまで言うなら…わかったわよ。でもっ、私があなたをここまで引き留めるのは…あなたが心配だから。それとっ、なにかあったら私を頼ること、いい?」

 はうっ。な、なんてやさしいんだろう…と私が感動しているとシイナが──

「…は、はいっ。もうこの話は終わりよ」

 と言い、てきぱきと片付け始めた……


「はい。じゃあこれお昼。夕食までは帰ってくること、無理はしない。わかった?」

 そう言ってシイナはお昼ご飯が入っているであろうバスケットを渡してくれた。

「はいはい、もう何回も聞いたからわかってるわよ。…じゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい。ソフィア…」

 ふう、もーうっ…。シイナってば、心配性なんだからぁ、急いで行かないとっ。今日は大掃除ねぇ。と、私はその時まではのんきに考えていた……。


「失礼しまーす。ルナ、いる?」

 私はそーっと扉をあけルナに話しかけた。

 ルナは昨日と同じように膝を抱えてうずくまっていたが、顔を上げてすぐに返事をしてくれた。

「いるよ。き、今日も来てくれたんだ。えへへ、ありがとうソフィア…」

 かわいいっ。……じゃ、なくて。私はこのままでもいいけど、お風呂くらいは…ねぇ。

 そこまで考えて私はいったん手を止め、ルナの方を振り向いて本題を告げる。

「ルナ。一度、私の部屋に来ない?」

「ごめんね、それは出来ないよ。もちろん、ソフィアが僕のためにがんばろうとしてくれているのはわかっているし、ソフィアたち人間の好みだってわかってる……」

 ルナは立ち上がり、私の目をしっかりと見つめて……

「それに、僕が醜い嫌われ者だってことも」

 そう告げた時のルナの声は震えていて、今にも消えてしまいそうな……とても、小さな声だった。 

「もう、今日は帰って、帰ってよ……1人にして」

 言い終わるとルナは私の背中を軽く押した。でも、私は急なことで反応できなくて…転んで頭をおもいっきりぶつけてしまった。

「……え?」 





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