エピソード4.藤と竜胆

美晴登場


美「助ける…助けない…助ける…助けない…うーん……」


後ろから走ってもあちゃん登場


も「ちょっと!!」


美「もあちゃん!?」


も「何してんのあんた!!」


美「え?」


も「あの人に…友じゃないって言ったって聞いたわよ!ふざけないでくれる!?」


美「な、なんで知って…」


も「……スグル様、相当心に来てる」


美「え…!?」


も「もあのスグル様になんて顔させてんのよ…!スグル様にはずっと笑って馬鹿しててもらわなきゃ…あの笑顔を見せてくれなきゃ困るのに…!!最っ低!!」


もあ、美晴を突き飛ばす


美「そんな…なんで…。なんでばっかりにそんな事言うの!?」


も「…は?」(めちゃくちゃキレてる感じで)


美「もあちゃんは、傑さんが好きだから、かばいたいのかもしれないけど、あの人だって…!あの人だって悪いんだよ!?」


も「スグル様に非なんてないわ。ふざけるのもいい加減にしなさ/


/美「違う!!!あの人は…私の好きな人たちを!傑さんの先祖さんみたいな、かっこいいキゾクのことを馬鹿にした!!だから私怒ったんだよ!?憧れを馬鹿にされたから!!」


も「そんなこと聞いてるんじゃないわよ!!第一、スグル様から謝罪を受けたんじゃないの!?あの人は悪いことをしたって自覚したら絶対に謝るはずよ!どんなときだって、感謝と謝罪だけは忘れない人なんだから!」


美「それは…!……受けた、けど……。でも…許せなかった」


も「…あんた、本っ当にクズなのね。……呆れた」


美「え…?」


も「許す許さない以前に、一回でも謝った人間と、一回も謝らなかった人間、どっちが最悪なのか、そのくらい、あんたの頭でだって分かるでしょ?」


沈黙。

美晴は何も言えずに考えている。


美「……あの、もあちゃん。……傑さんたちって、助けに行けないのかな」


も「は?」


美「私…謝る。謝らなきゃいけない。だから、助けに行きたい!」


も「助けるって…簡単なことじゃないわよ。樹海まで行こうっての?」


美「樹海?」


も「処刑場の樹海よ」


美「あ、ああ、うん!」


も「スグル様は、樹海に連れ込まれて…そこで死を待つだけよ」


美「もあちゃん…?」


も「助けに行く理由が謝罪のためとか、情けなさすぎる。どこまで落ちぶれてんのあんた」


美「うう…」


も「愛してるからとか、人の命は大切だからとか、もっとまともな理由だって嘘つくこともできたでしょ。バカ正直。………まぁ、そんなとこが気に入られたのかもね」


美「え?」


も「なんでもないわ。…じゃあね。このことは生涯後悔して、一生反省しなきゃ許さないから」


美「え、ちょ、待ってよ」


も「もあは、あんたに怒鳴りたかっただけだから。…忙しいからもう行く」


もあ、はけようとする


美「も、もあちゃん!!聞いて!!」


美晴、叫んで引き止める


も「何よ!!!」


はけようとしていたもあ、振り返らずに足だけ止め、イラ立って返事する


美「もあちゃんは…助けにいかないの?」


も「…は?」


美「あの…えっと…ごめ/


/も「そんなの、当たり前じゃない!」


美「え…?」


も「もあは、処分決定が報道されてからずっとその計画を練ってた!」


美「そ、そうだったんだ…!じゃあさ、一緒に行こうよ」


も「誰があんたなんかと…!」


美「お願いもあちゃん!私、皆さんを助けたいの!でも一人じゃ何も分からないから!誰かと協力したくて!!我儘なのは分かってる、あー、でも!ほら!あ、あの、ほら、えっと、さ、三人寄れば文殊の知恵って言うじゃん!?ね!!」


も「(ため息)…三人って…二人しかいないじゃない」


美「え、あ、たしかに…」


?「ねぇ」


二人、振り返る


舞「俺も、一緒に行っていいかな」


↓同時

美「舞宙さん!」

も「片栗舞宙…」


舞「必ず力になると約束するよ」


も「…あんた、スグル様の友達なんでしょ。…元から行くつもりなのかと思ってたけど」


舞「そのつもりだったけど…正直迷ってた。でもちゃんと覚悟したんだ」


も「そう」


美「文殊の知恵完成だぁ〜!!」


美晴、もあと舞宙と腕を組む


も「まさかほんとにこうなるとはね」


もあ、腕を振り払う


舞「文殊?」


美「それで、もし出られなかったらなんですけど…」


舞「そこは安心して。脱出は俺がさせるよ」


も「え?」


舞「まだ残ってたんだ。使ってない魔法具。俺自体に魔法能力はないけど、これがあれば魔法が使える」


美「すごい!!」


も「魔法具って…なんでそんなの持ってんのよ」


舞「あー…そっか。もあちゃんには言ってなかったよね。…実は俺、魔法族なんだ」


も「え、うそ」


舞「黙っててごめんね…?」


も「魔法使いって…は、はぁぁぁあ…!?そういうことは早く言いなさいよ!!」


舞「ごめんごめん…。と、まぁそういうことだから魔法の力で脱出できると思う」


美「了解です!舞宙さんありがとうございます!じゃあ魔法具で脱出しましょう!」


も「なーんか、結局一緒に行くことになってるのね」


美「あ、ごめん…」


も「(ため息)…まぁいいわ。今回はあんたの後ろを歩いてあげる。その代わり、もあの足手まといになったら許さないわよ」


美「うん!ありがとう!それじゃ、傑さんたちを助けに行くわけですが!入ったところでどうやって傑さんたちを見つけようかなって。樹海って広いよね?」


も「ま、それはスグル様のGPSで大丈夫でしょ」


↓同時

美「え??」

舞「おぉ…」


も「ほら!!もあのスグル様を助けに行くわよ!!」


美「う、うん!!それじゃー!!出発しましょー!!」


美晴、もあの手をとって走る


も「ちょっと!」


もあ、美晴、舞宙、はける


葵3人衆、登場

舞台裏から声で

「葵傑!藤宮紗希!竜胆ほのか!以上、受刑者三名!そのまま前進!」


一切の装飾品を外している。傑は帽子のみ、刀や地図は身に着けない。


傑、竜胆、藤宮の順で一列になり、舞台上をぐるぐると歩く

途中でこけたりしてもいい


何週かした後、舞台中央で止まる


傑「ふむ…ここでどれだけ耐えられるか、か」


藤「そうですね…」


傑「ダメ元で辺りを探索してみるのもいいが、体力の温存も大事だね。どうしようか?」


藤「…主様、冷静ですね。怖くないのですか」


傑「…怖くないと言えば嘘になる。けれど、こんな状況まで来てしまった以上、そうも言ってられないのだよ」


藤「私は今、こんな状況になっていてもなお、貴方様に生きてほしいと…また三人で生きていきたいと…そう、思っています」


竜胆、すごく頷く


少し諦めも入っているように笑って

傑「はは、そうか。では、まだ踏ん張らなければならないね」


藤宮、うつむいて黙る


傑「それでは、何かないか探そうか。僕たち三人、生きるために、ね」


藤「…はい!」

竜胆、嬉しそうに頷く

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