エピソード3.カタクリに桔梗を
舞宙登場
舞台裏に向かって話しながら出てくる
ホス狂は舞台裏にいる誰かがやる
ホス狂「ねぇーマヒロくんどこ行くの?もっとシャンパン入れるよ?一緒にいてよ!!」
舞「ごめんね、ちょっと内勤の子と話して来るからいい子で待ってて?シャンパンは戻ったら入れてほしいな、ありがとう」
言い終わったらふらふらと歩く
舞「はは、飲みすぎたかな…まずいか、も、う…」
舞宙、物影でえずく
えずいたあと、肩で息する
もあちゃん、セリフを言いながら登場
も「どーも。大変そうね」
舞「もあちゃん…!?」
も「久しぶり」
暗い雰囲気だった舞宙、一気に明るくなる
(作り笑いっぽい感じ)
舞「久しぶり」
も「最近、あんまり会わなくなったわね」
舞「そうだね。寂しかった?」
も「馬鹿言わないで」
沈黙が流れ、気まずくなる
も「…あんた、最近はちゃんと寝れてる?前仕事忙しくて寝れてなかったでしょ」
舞「あぁ…二時間くらいなら…寝れてるよ」
も「みじかっ」
舞「大丈夫だよ。今は仕事じゃなくて、エナドリ飲んでるから寝れないだけなんだ」
も(呆れたように笑いながら)「うわやば…。お酒にエナドリ中毒って…それにあんたたばこも吸ってたよね?…オワってんじゃん」
舞「エナドリ片手の君に言われても、説得力ないなぁ」
も「勘違いしないでくれる?これエナドリじゃないし。中身は普通のりんごジュースよ」
舞「入れ替えてるの?なんでそんなこと」
も「だって、こっちの方が〜見た目!可愛いでしょ?」
舞「はは。見た目の話だったか。…たしかにね。服装のピンクと相まって…すごく、可愛い」
すごく可愛い、は舞宙のガチ本音。
エナドリの缶ではなく、もあ自身が可愛い。
ガチトーンで、慈しむように言う
も「でしょ!?でしょでしょ〜!!ほんとピンクって可愛いの〜!!……って、話逸らさないでよ!もあはとにかく、寝ろって言いたいの!」
舞「……もあちゃんってさ、なんでそんなに俺のこと心配してくれんの?」
も「え?」
舞「もあちゃんが好きなのは、傑でしょ。ダメだよ、どんな男にも優しくしてちゃ。勘違いしちゃうよ?」
↑ここもガチ本音。
舞宙はもあが好き。でももあは傑を好きなのを知っているからこそ、思わせぶりが辛い。
それを遠回しに伝える感じで
も「そりゃ、目の前にボロボロが男がいたら心配もするわよ」
舞「心配ありがとう。嬉しいよ」
もあ、舞宙と顔が触れるくらい近くまでくる
も「…胡散臭い笑顔」
舞「そう見えてるならごめんね。君が可愛いから緊張しちゃって」
舞宙、もあを押し退けて遠ざかる
も「…嘘ばっかり」
舞「嘘なんて言ってないよ」
も「……もうよく分かんない、あんたのこと」
舞宙、黙ってもあを見つめる
少し間を置く
舞「……もあちゃんはさ、こんな時間に何してたの?普段から夜の街にいるようには思えないけど」
も「いつもなら、もうこの時間はホテルにいるのよ」
舞「ホテル?」
も「そうよ。まぁ気にしないで、もうずっとそんな生活だから」
舞「……。…あぁ、そうなんだ」
も「あーあ、お月様があんな西にあるの見たことない。………スグル様の、キゾクの処分が決まったでしょ?スグル様、もう出発されてると思うの。きっとこの辺通るだろうからさ、待ち伏せして行くの止めてやろうと思って」
舞「あはは、なるほど。計算してるんだね」
も「…あんたはまだ仕事なんでしょ」
舞「うん。アフターもあるし、まだまだ夜は終わらないや」
も「そ。大変ね、店終わっても客と出かけるとか」
傑登場
傑「おや…」
も「あ、スグル様ぁ!♡」
舞「傑!」
傑「もあクンに舞宙…お前仕事中だろう、何してるんだ」
舞「うん、でもヘルプの子に代わってもらってるから平気」
傑「そうか」
も「スグル様ぁ、もしかして今から向かわれるんですかぁ…?」
傑「あ、あぁ…うん」
舞「もう会えないんだな」
傑「別に困ることはないだろ」
舞「はは、案外そんなことないかもよ?」
もあちゃんを見る
も「なんで行っちゃうんですか、スグル様…。まだ…まだもあと結婚式挙げてないじゃないですか!!」
傑「式の前にそもそも結婚してないのだよ…」
舞「あの二人は?どうしたの」
傑「逃げるよう言った」
舞「お前は?」
傑「ボクはキゾクだ。逃げられなどしない」
舞「死ぬかもってのに、やけ、にれい、せ、ゲホッ」(咳き込む)
も「ちょっと、あんた大丈夫?」
舞「うん、酒飲みすぎただけ」
傑「あんまり飲みすぎるなよ、体調崩してたんじゃ仕事にも影響出るぞ」
舞「うん、そうだね。……なぁ傑」
傑「なんだ」
舞「美晴さんに挨拶はしたの?」
傑「…あぁ……。まだ…」
舞「どうして?短期間だけでも変人のお前の相手してくれたんだから…挨拶くらいするのが礼儀だろ」
傑「分かってるさ、それくらい。でも…ボクたちは、友じゃない、から」
も「は?」
傑「彼女に言われたんだよ」
傑「ボクが強く迫りすぎていたから/
/舞「あー嫌われちゃったんだ?」
傑、黙る
舞「あーあ、せっかくいい子なのに、美晴さん。あんな子が離れてくなんて、お前よほどのことしたんだろ。反省しろよ」
傑「それは、もちろん」
も「スグル様っ!!」
傑「もあくん?」
も「え、え…?友じゃないって、なんですか?スグル様、あの女とは糸で結ばれてるとかなんとか言ってましたよね?あれ、もあがどんだけ羨ましかったと思ってるんですか」
舞「もあちゃん…」
も「こんなに前からスグル様のことが大好きなもあだってそんなこと言ってもらってないのに、ポッと出の女が言われてたんですよ?もあは…すごいすごい羨ましかった。でも、スグル様のことだから…あの女に何か特別なものがあるんじゃないかって思っていろいろ考えたんです」
傑「キミ…」
もあちゃん、傑の胸ぐらを掴む
も「…それなのに!!もあにここまで考えさせておいて、友達じゃないとか!!今更何言ってんのよ!!!」
舞「ちょっと…!」
傑「もあクン…」
もあちゃん、舞宙に手を離させられる
も「……そうやって名前呼ばれたとき、どれほどもあが喜ぶか分かってるんですか…」
間
も「スグル様が自分から言ったんじゃないことは分かってます。でも…なんでそれ間に受けてるんですか!!馬鹿みたいなことしないでよ!!!!」
もあちゃん、震えながら走ってはける
舞宙、少しだけ追う
二人きりになった傑と舞宙。
沈黙。
舞「なぁ」
傑「…なんだ」
舞「…ごめん」
傑「え」
舞「俺…また、あんたらのこと、救えないな」
傑「…先祖様のことか?」
舞「……あの時の、罪滅ぼしがしたかった。後悔が消えなくて…今度、あんたらが危なくなったら、その時は絶対助けるって決めた。なのに…結果はこれだ」
傑「(ため息)お前らしくないことを言うな。気持ち悪い」
舞宙「これでも真面目なんだけどな、俺」
傑「お前の人生は無限なんだろ。だったら助けられる人間と助けられない人間がいるのは当たり前だ。そんなことにいちいち縛られていたら大変だぞ」
舞「傑…」
傑「すまない、もっと早く言えればよかったな」
舞「いや、平気。ありがと。…じゃあ俺はそろそろ店に戻るよ」
傑「あぁ」
舞「…友じゃなくたって挨拶はしてけよ」
舞宙、はける
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