第2話 始まり・目覚め

 五時間目は体育館に集まって、五年生皆で特別な先生の話を聞く。僕ら二組は昼の掃除からばらばらに体育館に集まってくる。

 僕が体育館に着くと、同じクラスの男子数人が体育館の肋木で遊んでいた。一人が梯子のない、肋木の頂点から上がってきたもう一人を落とすという繰り返し。全然面白くない。僕はあぁいうのに混じるのはうんざりだ。高学年のやることじゃない。

 それをぼーっと見ているうちに、入口から五年一組が担任の先生に連れられて入ってきた。僕の小学校の五年生は二クラスしか?ない。

引き連れられた五年一組の中を順番に探す。ななちゃんの姿を。列の中盤にさなちゃんは前のもう一人と話しながら体育館に入ってきた。僕は同じ場所を共有するだけでも、それだけでこの特別授業の苦痛を今日も乗り越えられるだろうと思った。

 僕はすぐにスカートの下のななちゃんの脚を見た。それはこんがり焼けた肌で、

まるで鶏肉のような、そしてきれいな弓のような膨らみ方をしたふくらはぎを。それを見ていると最近では、心の奥から自分では抑えられない衝動が湧いてくるような気がする。しかし僕はこの気持ちが何なのか分からない。ただななちゃんの脚を見ることしかできないのだ。脚の上に続くものを想像したりもする。同じような色で続いているのだろうか。

 五年一組が入り終えたところで、肋木で遊んでいた男子は遊ぶのをを止め、ほとんどが集まった五年二組の不完全な列に並んで座る。

 一組が入り終えた時点から、数十秒後にレン君達が急いだ様子で走って入ってくる。毎回のことだ。レン君達はふざけたように笑っている。

 先生たちも沢山集まっている。それだけ大切な授業なのだろうと僕は思った。

たまに先生の授業を他の多くの先生が見に来るというのはあるのでそういうのだと思った。

 何やら入り口近くの先生たちに挨拶をされて、年配近い女の人が入ってきた。今日の先生だろう。その人が舞台に上がり、マイクの前に立ったところで五時間目の号令がかかる。その人は元保健室の先生だという。

 ステージ上のスライドには『よく理解して正しく行う性教育』と書いてある。

何の事だかさっぱり分からない。

 その先生が「今日は皆がこれから大人になるにつれて知っておいて欲しい事について話します。」と言って、次のスライドにいくと、そこには男性と女性の裸の絵が大きく映った。

 五年生のみんなが少しどよめいた。僕は少し恥ずかしくなって周りを見ると困惑している人もいれば、ケラケラ笑っている人もいる。ふとななちゃんの方を見ると、ななちゃんは不思議そうに苦笑いを浮かべている。話が進んでいくが、僕の中には何かモヤモヤした気持ちがあった。

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子供はいらんです。 谷合一基生 @yutakanioukasurukessya

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