子供はいらんです。
谷合一基生
第1話 いつもの昼
皆で楽しくグランドでサッカーをした昼休憩。終了のチャイムが鳴って、次の始めのチャイムが鳴るまでに、僕らはまだサッカーをしたいというこの場では誰もが共感する思いと共にグランドを去っていく。グランドから校舎の方向へと向かう坂の頂上付近でふと後ろを振り返ると、まだ名残惜しそうに一部の男子がお互いにリフティングをしながらゆっくりと坂を上ってくる。その中にレン君もいる。
また怒られるかもと僕は思った。先週の昼休憩には、チャイムが鳴ってもレン君達はサッカーを止めずに案の定昼の掃除と次の授業に遅れ、校舎とは別にある特別棟の理科室の前で先生に怒られた。昼過ぎには中に陽が届かなくなる特別棟の暗がりの中の先生の怖い顔はよく覚えている。僕もそこにいたからだ。サッカーをしていた男子達は連帯責任といって呼び出されたのだ。それまでにも何度かあったが、校内放送で「昼休憩にサッカーをしていた五年生の男子は来なさい」と呼び出された時にはいつもちょとした犯人探しというか、関係者探しが五年二組の中で行われる。僕は逃げようとしていると皆に思われるのが嫌だから、いつも自分から立ち上がって男子が集まっているところに行く。それは時に教室の扉の前、時には掃除の後の職員室の前。その時は理科室の外にあるトイレの前だった。先生の怒鳴り声を聞いている時、僕はあくまでも巻き込まれているんだという気持ちがしてレン君達にイライラしてくる。いつか仕返ししてやろうとさえ思ったこともあった。
ただほうきを振り回して遊んだだけの昼の掃除が終わり、次のチャイムまでに、今日は体育館に行かないといけない。何をするのか分からないけど、五年生は全員集合するようにと担任の先生に言われている。放送でも言っている。
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