第19話うねり①④
ハンター達の「実質無免許と変わらんやんけ!」的な視線を無かった事にして会話を続けた。
「では取り敢えず範囲攻撃持ちかつ高起動の2人とより高起動な3人は決定だ。
他にはそうだな。鬼塚の左の……そうお前だ、お前の名前は?」
ガタイの良い男が狼狽える。
「お、俺の名前は
「ぐぅぅっ……!」
何人か下を向いた。
良いガタイしているのに弱気な態度と可愛らしい名前が程よくミスマッチ……うん!気に入った!
「ふふふ!あぁ、いやすまん笑うのは失礼だな!だが茅ヶ崎お前はその恵まれた肉体があるのだからもう少し自信を持って立て!
一応聞くがランクは?」
「Eランクです」
「嘘つけぇ?!もっと言ってるだろう?!……あぁなるほどその臆病というか自信のなさがランクの低さの原因か」
図星を突かれたのか下を向いてしまう。
何かこういう自信の無さが実力に直結する奴は問題が解決すると爆発的に伸びる傾向にあるからな嫌でも連れてく。
恐らくここが茅ヶ崎の人生の分水嶺。
栞を育てて以降誰も育ててないからな……コイツも育ててみるか。
「茅ヶ崎雅私を見ろ」
「は、はい」
「私は栞を育てた。そしてお前をハンターとして育てたくなったからメンバーに入れこれ決定な」
「は、え、いやいやいやいやいや!!俺は確かにガタイの良い自信はありますけどハンターボス攻略に参加するには役不足───」
「勉強をせずに頭の良くなる奴はおらん。それと同じように挑まなければ破れない殻もあるんだよ茅ヶ崎雅。良いか?やれ。
お前が欲しいと思うバフを全力で要求しろ。叶えてやる今はEランクの実力でもバフだけでAランクの景色見せてやる。Aランクという職場見学だな」
「が、頑張ります」
「そして野々上凛華の右のお前名前とランクは?」
「
「思ったよりCランクが集まってたんだな。しかし解せない。範囲攻撃を持っていないCランクは殲滅力が無い分ランクが上がり難い傾向にある。だが野々上同様B、Cと高い。何故機動力に自信が無い?
「私は基本的にドロップした魔導具を使い身体能力や魔法の補助をガッチガチにして戦います。魔導具の補助と人から貰う強化の感覚は違うんで上手く動けるどころか戦える自信がないんです。
今日は見回りの非番だったので最低限の能力しか出せないんです。それでもCランクとしての実力はあるとあう程度です」
この発言で私含め全員が「アレ?充分では?という顔」をした。
理由を考えれば職人気質というかハンターとしての仕事にプライドを持ってるからこそだと言える。
常に全力で挑みたい
その心意気は素晴らしい、だが不足はいつか経験する。
今日を境に常に自分から全力を整えて挑むだけじゃなく不足の状態の自分に万全の敵が来る事も想定しなきゃならないな。
何か気に食わんからこいつも採用で。なりふり構わず戦ってみろ。
「そのすかした態度が気に入らん。高ランクにいる自負があるのなら積極的に立候補するくらいはして欲しかったよお前メンバー決定な」
「はい。……え?」
外されると思ったのか意外そうな声を溢した。
今はハンターとして例外級と呼ばれたりもするSランクの栞も最初は常に不足だった。
何ならSランクになって自身の不足は解消されたと言える。
栞は常に今ある最善をこなした結果がSランクなのだからコイツも見習って欲しいものだな。
ボスの討伐でな!!
「取り敢えずメンバーは私、栞、鬼塚、金木、野々上、茅ヶ崎、小野田とこのダンジョンに入った時に率先してリーダーを買って出た……そう言えば名前知らないな?」
「あっ知らないんでしたね。私の名前は
「ランクは?」
「皆の後にいうと自慢みたくなってしまいますがAランクです」
おぉ!挨拶の仕方が本当に自慢っぽい……ってみんなの反応的に知ってたのか。
私が知ってる高ランクのハンターは海外含め政府との契約を知ってる者達だけだ。
うーん。栞に何か言われるのも困るから勉強がてら人を覚えるのも悪くないか。
ダンジョンから帰ってた書店に売ってるダンジョン関連の雑誌でも買うか。
「今日はもう解散して休め、そして明日は今言ったメンバーで私がボスと思われるモンスターがいる場所まで案内する!そこで情報を集め次の日にボス討伐を敢行する!
今から出来るだけ最善の準備をしろ!勝てる戦いで死ぬなんてダサい事は起こさないようにな!解散!」
そう言い私は1番最初にテントから出る。
栞もついて来た。
「あっ愛崎さん……とお母様。良ければこれを」
石丸と言ったか?
何だこの袋一応受け取るが……やや重めか?
「これは?お母様の身長だとやや手狭かも知れませんが2人分のテントです。親子ですしお2人とも女性なので」
こやつ何故か紳士的で優しいのに名前覚えつらいの何なんだろうな。
影の薄さか?
「ありがとう。だが私は私でテントを用意しているんだ。これを見ろ」
右手人差し指の指輪を見せる。
「これは?」
「これは1つだけとはいえどんな大きさ重さも無視して指輪として持ち運べる亜空間バックの限定タイプだ」
「うっそでしょ?!?!一体どれほどしたんです……いや値段を聞くのは失礼でしたね」
「気にするな。たったの8億だ」
「ぶふぉぉお!!」
「お母さんそれそんなにしたの?」
「やりようによっては数十の物を1個として認識するしなバックの予備としての性能としても充分かつ場所取らないし微かだが回復効果と身体能力強化もかかっているんだ高くて当然だ」
「……なるほどその中にテントが入っていると」
「だから悪いがテントは受け取らん。お前の誠実さに対して失礼かつ恥ずかしい思いをさせたな。後日何か礼をするので栞に連絡してくれ」
「いや!!いや!!!大丈夫!」
「おっと?私に恥をかかせるのか?」
「〜〜〜〜!!!中々意地悪ですねお母様は!」
「ははっ許せ!それとその誠実さに免じて私を名前で呼ぶ事を許す。私の名前はアリエス・ブリス・ユースティティスだ。気軽にアリエスと呼べ」
「そんっ……恐れっ多っ!!!」
「ふはっ!言葉になってないぞ??」
手を振り石丸に背を向け歩き出した。
少し騒がしくなったが聞かなかった事にする。
「栞ダンジョンの中だが久しぶりに一緒に寝るか?」
「…………はい」
「よし来た!この嬉しさは共有しないとな!」
手を空に翳し魔法を発動させる。
結界に守られている範囲だけだが内部から見えていた赤い空が満点の星空に変わった。
「視覚的な癒しも必要だろう?」
「蛮族みたいな生き方に反してロマンチストですねっ」
「ある意味蛮族だからこそロマンチストだとも言えるな!」
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