第14話うねり⑨


「千罰・大幻刃!!!」


神狩との融合により能力を持った千罰を振るう。

刀身は数百mまで伸び目に見える限りのモンスターの体を両断した。

辺り一面は血の海となり異臭が立ち込める。


「流石にこれだけ殺せば後続も消えたと見ていいだろうな。こいつらが来た場所を見ても何もいない……殿の役目はこれでよし。

 栞達と合流するとするか、これだけ時間を稼げば目標地点に到着くらいはしてるはず」


武器同士の融合を解除

耳飾りに戻し装着する。


「それにしてもピンポイント過ぎる襲撃だったな。普通のダンジョンならここまで集団で襲う事はありえない。虫系は別だがこんな狼や鳥とかの哺乳類をモチーフにしたモンスターが数百匹も集まるのは前代未聞だ。

 最悪数百匹いるのはここでは前提としてそれらが脇目もふらずに私達に襲って来たのは自分の意志と言うより命令されたように見える……」


モンスターが来た方向を睨む。


「もしかしたら思ったより上位の存在が受肉したか??」


可能性は考えた分だけある。

その中でも考えたく無いものがあるとすればダンジョンがこの世に生まれて人々が口を開き言葉を紡ぐ事によって生まれたダンジョンというの受肉。


下手に御伽噺の存在が魔力を得て受肉するより遥かに厄介だ!

御伽噺の受肉は忘れられたりして存在が消えたりするがダンジョンは今が最盛期と言っても良い環境にある。

一種の信仰に近い


「そりゃあ……2時間も絶えずモンスターを生み出し続ける力を持つ。問題なのはこれが天然か人工的に生み出されたか……だ。

 もしこれが仮定・異神教の仕業だと仮定すると私も本気にならないと取り返しがつかなくなる。だがもし天然物ならば……ふふ利用出来るっ!」


万を超える死体が転がる大地をあとに栞達のいる目標地点へと歩き始めた。





「いや〜ここにはモンスターがいなくて助かりましたね!!」


「時々遠目に見ても分かるくらいデカい剣が振り下ろされるのを見ると愛崎さんのお母様がやったのでしょうなぁ」


ズズッ


湯気のたつコーヒーを飲む音が聞こえる。

ダンジョンの中にしては悠長に見えるがこの姿は市民にとって逆に安心感を与えている為私は口を出さない。


「テントの設営場所も想像以上に良い場所に出来た。モンスターが襲って来てもかなり楽に対処出来る」


「この立地だと必ず崖を登るが偶然合った通り道を通らないとまともに来れないからな」


「それより今後の方針は?ここままだとかなり拙いよ?食糧は無限あるわけじゃない、勿論水もね。

 最悪水は現地で調達するにしてもそのまま飲め細菌が怖い。サバイバルをするのならここら辺は何とかしないと脱水症状になって死にかねない」


「確かに念の為の安全な食糧、水の確保は急務か……この山に食糧や水がないか探索するか?今日一日はここの野宿するとして明日からの事も考えると探索はハンター2、3人でするべきだ。異論は?」


「立地的にもモンスターの対処は簡単だしもし戦闘になっても音をわざと大きくすれば離れたとしても気付くでしょ?」


「ふむ、それなら私と……愛崎さん、蘇芳すおうさんと石丸さんで行きましょう」


ハンターの1人である有田が何故か?と問う。


「前衛故に力がありもしもの対処と愛崎さんよお母様の事を考えると知識もあるように思える。そこを見越してだ。

 蘇芳さんは探索に向いた魔法が得意と聞いた。主に探知、感知、回復等々器用貧乏とも取れるが万能だとも言える」


「どうも」


 「石丸さんは言わずもがな亜空間バックだ」


「1行紹介……そして地味に始めて名前を呼ばれた気がする」


「そしてAハンター姫路としてのプライド、提案者が行かないと格好がつかないと言うのが本音そして……ダンジョン外の植物な食物が成っていたら私に任せて下さい。見極め得意なんで」


「納得、すぐ探索に向かおう。市民の護衛をやる斎藤さんに探索に行くって伝えて来るよ」


「分かった」


立ち上がり少し離れた位置にいる斎藤さん達に話しかける。


「今から私達は念の為の食糧、水分の確保、もしくは場所の把握に行って来ます。その間の市民の護衛は任せます」


「気を付けて下さい愛崎さん。ここはイレギュラーなダンジョン、何が起こるか分からないと彼らにも伝えておいて下さい」


「分かりました。お母さんも少ししたらここに到着すると思うから護衛に加わってもらって下さい」


「ありがとうございます」


「それでは」


仮の拠点を後にして姫路さん達の場所に戻る。


「それではここから護衛に戻る人達と探索に戻る人達に分かれる!有田達は警戒を忘れず、愛崎さんのお母様が戻った時に説明役をしてくれ!

 他の者も市民を守る事を忘れずに行こう!」


「「おう!!!」」


「それじゃあ行くぞみんな!」


姫路さんが先頭を歩き山の中へと歩き始める。

有田さん達も斎藤さんの所に戻って行った。


ダンジョン内でのサバイバルなんて何度も経験してるから焦りは無いけどイレギュラーな分気を引き締めないといけない。


パンパン!


頬を叩く


「どうしました?」


「頬を叩いて気を引き締めました」


「なるほど頼もしい限り」


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