その日、私は龍に喰われた。

第三章 万年凍結焦土〜グレイス・エルフ

ある手記による記録〜II

〈これまでの登場人物〉

○メリア・アルストロ：この物語の主人公。義兄を殺されたことから魔王に復讐心を抱く。魔法属性は雷。

○風晴涼華：この物語の主人公。シェーン・ヴェルトに迷い込み、その肉体を龍に喰われる。魔法属性は炎。

○ネリネ：元熱砂の騎士。かつてメリアの面倒を見ていた。高度な槍の技術を持ち、防戦を得意とする。魔法属性は水。

○モミジ：砂漠に封印されていた龍種と、ある女性の魂を同時に持つ。一章での決戦後、一行に協力を決意。魔法属性は光。

〈あらすじ〉

　魔王による支配が千年続く、剣と魔法の残酷な世界——シェーン・ヴェルト。

　魔王の名の下に集った九つの悪鬼が一人、精霊王ノームを討伐した後の話。協力者ファルセットとの別れを済ませた一行は、次なる悪鬼を倒すため、氷雪の女王が支配する極寒の焦土へと乗り込んだ。

　獣が闊歩する荒れ果てた土地は、かつての大戦が支払った代償の果て。

　閉ざされた氷の世界を切り拓くため、新たな戦いの幕が上がる。悲痛な叫びは、決して終わらぬ冬の底に。