第8話・走れユウキ
走って走って走って街まで走る。
ひたすらに走る。
勇者の紋章によって手に入れたほぼ無限に近いと言っても過言ではない体力を持ってしてひらすらに走る。
そうやって走りながらこれからのことを考える。
これからのことといっても割とすぐのことだ、具体的には数時間後の夜になった後のことだ。
いくら無限に近い体力があるとはいえ、足の速さ自体はまだ人間のレベルだ。
いつも使ってる馬より少し遅い程度だ。
夜になった真っ暗になり、一応申し訳程度に月明かりはあるが、基本的に視界は非常に悪いのでそんな中走ったら確実にこけるし、魔物に襲われたらひとたまりもない、冗談抜きでゴブリンに奇襲されて殺されかねない。
それくらい夜というのは危険な世界であった。
だから無限の体力を信じて更にスピードを上げて何とか暗くなる前に街まで向かうか、一旦何処か安全な場所で夜を明かすかの二択を今迫られている。
走りながら暫く悩んだ後、俺は後者を選択した。
一旦何処か安全な場所、具体的には木の上の大きな枝の所に簡易ハンモックを作って寝るという選択肢だ。
ここら一帯に出てくる魔物で木に登る魔物はいない、木に登る動物はいるが、動物はこちら側が何か仕掛けない限りは襲ってこないので問題はない。
そうと決めたら俺は取り敢えずまだ太陽が昇って明るいので走り出す。
走って走って走って走る。
途中お腹が減ったので木に生えている実や保存食を食べてお腹を満たす。
お腹を満たし終えたらまた走る。
走って走って走って走ってひたすらに走る。
そうしてずっと走っていると少し日が沈んて来た。
「少し早い気はするが今日はもう寝て、朝日が出るとともに街に向かって走るか」
そう結論を出したら、よさげな木を見繕って、枝と枝の先を縄で結び、葉っぱをサクッとまとめて補強して、簡易ハンモックを木の上に作って寝転がる。
強度はかなり高く、しっかりと安定していた。
ハンモックに軽く揺られながら、目を瞑る。
今日あれだけの出来事があったから絶対に簡単には寝れないだろうと思っていたが、体も心も疲れ切っていたのか、あっという間に寝てしまっていた。
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