第22話 シグマの強さ
アミルの強さも確認できたところで次はもう1人の転入生のシグマが戦う番だ。
「シグマとやりたい奴はいるかー?」
「俺がやる!」
そういって立候補したのはマルクだった。
「俺の相手はお前か、よろしくな」
「こっちこそよろしくな」
そうして戦いが始まった。
シグマが使うのは双剣。
対してマルクは槍で戦うようだった。
「【身体強化・剛】!王国軍式槍術、
マルクは身体強化をかけ、槍使いとは思えない重い一撃を繰り出していく。
「なかなかいい攻撃だな」
シグマはそれを見切りながら軽々と避けていく。
「こっちも魔術を使わせてもらおう」
そういってシグマは双剣の片方を逆手持ちにし、詠唱を始める。
「双極に別れしその姿を顕現せよ!白剣アルファ!黒剣オメガ!」
彼の両手に現れたのは白と黒の双剣だった。
「あれは…!先天属性の召喚術にのみ見られる武器召喚!」
クレアがそう言って驚いている。
「武器召喚?それに属性ごとの召喚術なんてあんのか?」
「あります!属性ごとの召喚術はかなりその属性を極めていないとできないことなんですよ!」
「ほーん、そうなのか」
『今やってみるのはどうだ?』
「そんな簡単にできるもんなのか?」
『武器の名前をお前はもうすでに知っているはずだ。安心しろ』
俺は後ろに手を回し、小声で詠唱した。
詠唱する時に自然とどうすれば良いのかわかった。
「その炎をこの手に顕現せよ、炎剣サラマンディア」
すると剣の柄が俺の手の上に現れたのを感じた。
こっそり後ろを向くと、そこには赤々と燃える炎を噴き出す剣があった。
「お、おい!これどうやってしまうんだよ!」
そう焦っている間にも戦いは進む。
シグマの連撃はマルクを追い詰めて行った。
「やるなお前…っ、」
「お前だってよくもこの攻撃を耐えるものだ。」
マルクが少し押し返す。
そのまま正面での戦いを避け、死角からの奇襲に移る。
「王国軍式槍術、
壁を蹴って槍に回転を加えながらシグマに突撃する。
シグマはアルファをマルクに向けて唱える。
「その光よ、全てを弾き飛ばせ」
するとアルファが光り輝き、マルクは吹き飛ばされた。
「ひゃー、俺の負けだ。」
そうマルクが言い、ついに決着がついた。
「顕現終了」
そうシグマが唱えると手に持っていた剣が模造剣に戻ったので俺もすかさず、
「け、顕現終了」
と小声で唱えることでことなきを得た。
ほんとに俺もあれができると知られていたらどうなっていたことか…。
召喚術は魔術と同じ性質なんだろうか。
「2人ともすげえ…なんて強さだ」
「こんなのが2人も増えんのかよ…」
「お前らの心配事はわかってるぞー、こいつらも特待生だ。」
「「「よかったぁ〜。」」」
やはり新しい転入生が入ってくると、心配するのはみんなそこなんだな。
そうして授業は終わるかと思ったその時だった。
「アルター・エルマイトってのはいるかぁ〜?」
演習場の入り口に2年の制服を着た別のクラスの生徒が立っていた。
「それは俺だが?」
「おうおう、そうかそうか。お前かぁ、ちょっと決闘してくんねえかな」
「なんでだ?俺はあんたと知り合いだったか?」
「いいや違うなぁ〜。でもよぉ、こっちにはやってもらわなきゃいけねえ理由があるんだぁ」
「すまないが、この後も授業があるんだ。放課後にしてもらってもいいか?」
「いやいやアルトくん!本当に行くんですか!?あの人が誰で何がしたいのかもわからないんですよ!?」
「俺の強さを知ってるだろう?心配するな」
「わ、わかりました…。でも気をつけてくださいね?」
「そのつもりだよ」
こうして俺は謎の生徒と出会い、輝かしい学校生活に不穏な風が吹き始めた。
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