第14話 大天使ラファエル

「よし、今日は1限から皆が楽しみにしていたであろう使い魔の授業を行う!」


クラス中から歓声が聞こえる。


「エルマイトは…、それが使い魔でいいか?」


「問題ないです」


「そうか、じゃあ他の奴ら。はじめてくぞー」


「まずはー?えーと、リチャード!」


「俺の出番か!つえーの召喚してやるぜ!」


「この魔法陣に手を当てろ、彼らと会話するんだ」


そうして儀式が終わり、彼の隣に現れたのは小さなレッサーワイバーンだった。


「レッサーワイバーン、学生でこれとはなかなかやるじゃないか。みんな、リチャードに拍手!」


「はっ、やっぱり俺ほどになるとこれくらい簡単よ!」


そう言ってみんなの中に戻っていく。

その後も次々と召喚が進んでいく。

マルク、ミナも終わり次はクレアの番だった。


「私の使い魔さん!来てください!」


そうクレアが祈ると一際大きい光を放ち、そこに現れたのは二対の翼を持つ天使だった。


『よろしくね、私の主人マスター。私はラファエルって言うの』


『あ、あいつなんで…!』


彼女の姿を見てからメフィストの様子がおかしくなった。

何か因果でもあるのだろうか。


『あら、あそこにいるのは…。まあいいわ、よろしくね』


「よ、よろしくお願いします…」


『そう畏まらなくていいのよ、私の主人マスターなんだから』


「おい、メルサイト…大丈夫か?なんともないのか?」


そう先生が心配する。


「え、ええ。何も問題はないですけど…」


「そうか、それならいいんだが…二対の翼ってことは大天使だよな…」


『もしかして小さくなったりしたほうがいいかしら、そこの悪魔のようにね』


「小さくなれるんですか!?ってファウストさんのこと知ってるんですか?」


『ファウスト…まあいいわ、奴はそう名乗っているのね』


そうしてラファエルは小さい天使の姿になった。

そんな会話を聞いてメフィストはなぜか青くなっていた。

他の生徒たちは見たことがあるような魂の抜けた顔をしていた。

その授業が終わると、クレアが話しかけてきた。


「あの、ラファエルさんがファウストさんと話したがってるんですけど…」


「ん?ああ、いいけど」


『な、なんで勝手に許可を出した!!』


「いや、まあいいだろ」


『なんか後ろめたいことでもあるのかしら?

?』


『貴様っ、こんなところで私の名を言っていいと思ってるのか!』


『大丈夫、もうすでに結界内よ』


『少し安心はしたが、なぜ貴様が出てくる』


『この子にちょっと興味が湧いて…ね?』


そう言ってクレアを指差す。

そしてラファエルは最初のように大天使の姿に戻った。


『貴方も本当の大きさになりなさいよ、ほら』


そうせかされメフィストも竜のような見た目をした一対の角を持つ悪魔の姿になった。


「こうやってメフィストの姿を見るのは何気に初めてだな」


『ん?まあ確かにこの姿になったことはなかったな』


クレアはすでに何が何だかわからず呆けていた。


『それで、あんたはなんで使い魔なんかになってるの?』


『使い魔?それは違うな。教えてやろう、この少年こそが新たな核術師だ』


『あら、核術師なんて久々に見るわね。ということは貴方がエルマイト家の当代かしら?』


「まあ、そういうことになりますね…」


『そうなれば確かに、メフィストとおおっぴらに名乗るのは少々リスキーね』


『だからファウストと名乗っている』


『そう、納得したわ。それじゃ、クレアをよろしくね。核術師さん』


そういってラファエルは元の小さな天使の姿に戻った。

クレアは何があったのか分かっていなかったようなので後でゆっくり説明してあげようと思う。

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