第17話 ダンジョン突入

地下へと続く石階段を踏みしめて降りていく。

一層に到着すると、そこには沢山の冒険者と露店や宿屋があった。

周りを見渡しても魔法学校の生徒はいないようで、わりと装備の揃っている冒険者が多い。

ちなみに俺の防具はというと、アルムさんが仕立ててくれた服が、ミスリルの糸を仕込んだ物理攻撃にも魔術の攻撃にも強い逸品なのである。

それでもやはり側から見ればただの服なので、周りの冒険者たちの目を集めているのがわかる。


「とりあえず、長く潜るつもりはないから昼食用の食料だけ買って行こうか」


『そうだな、魔物を食べると言う選択肢もあるが?』


「いや、やめておくよ」


そう話しながら露店へと向かう。


「なんだ兄ちゃん、あんたもここの飯目当てか?」


「どう言うことだ?」


「いやぁ、とてもこれからダンジョンに潜るような装備に見えなくてなぁ。ダンジョンの露店の飯はうまいって評判だからそれを目当てに来たのかと思ったんだよ。この層は安全だし割とそういうやつがいるからな」


「いや、俺は今からダンジョンに潜るんだよ。それで、昼食が欲しいんだ。なんかいいのあるか?」


「昼食?なんだ、その後は魔物でもとって食うのか?」


「いや、魔物はあんまりな…」


「そうかそうか、えーっと…一週間分くらいでいいか?」


「いや、だから昼食だけ…」


「お前そんなすぐに帰って来れると思ってるのか?ダンジョンってもんは潜るのにも帰ってくるのにも時間がかかるもんだぞ?」


まあ、俺には転移の指輪があるのですぐに帰って来れるのだが。


「それでもとりあえず昼食だけ頼む」


「わーったよ、じゃあ一個で500クラムだ」


「はいよ」


「おう、丁度受け取ったぜ。あんがとよ!また贔屓にしてくれ!」


「わかった」


そう言って露店を離れる。


『ちなみのその飯は、魔物だぞ』


「ええっ!?まあいいか、せっかく弁当になってるからなんかの機会だと思って食べてみよう」


そうして俺は魔物のうろつくダンジョン二層へと向かった。

このダンジョン、不思議なもので一層はそこまで広くないと思ったが二層からはかなり広そうである。


『お前、探知系の能力がないだろう』


「確かにそうだけど、なんか解決法があるのか?」


『このダンジョンにはそれを解決してくれる魔物がいる。キラーバットだ』


「ほうほう。で、コウモリなんかどこにもいないが?」


『お前見えてないのか?あそこに黒いものがぶら下がってるだろ』


「えっ!?あれなのか!俺はてっきり蜘蛛系の魔物に吊り下げられた死体とかかと思ったよ」


『そんなわけはないだろう。このダンジョンに蜘蛛系の魔物は出ないはずだ。ほら、準備しろ。来るぞ』


俺に気づいたキラーバット達がこちらに飛んでくる。

それをヴァインスで受け流して振り返る。

が、後ろにはキラーバットは飛んでいなかった。


「あれ?受け流したと思ったんだけどな。感触もなかったし幻覚だったか?」


『地面を見てみろ』


「え?ってえぇ!?」


そこには真っ二つになっているキラーバットの姿があった。


『こりゃ核は潰れたな』


「やっちまったよ…ってかこいつの切れ味どうなってんだ…」


『これがミスリルか…とんでもない切れ味だな』


その後キラーバットを何体か倒すことで、やっと核を手に入れることができた。


「切れ味が鋭いのはいいけどさ、もうちょっと操りやすくしたいよな。なんか方法はないものか…」


そう考えながら下層へ進んで行った。


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