第6話 初討伐

 依頼の掲示板を見るふりをして、カキヨムを使う。


 新しい通知がある。

 『エピソードに応援 第1話』から『エピソードに応援 第5話』までの新しい表示は、5人だ。

 通知はこれだけだ。

 田舎に帰りたくなった。


 今のカキヨムでの成績は。

 フォロワー17。

 ☆24。

 ♡38/3。

 獲得PV19。

 累計PV142。


 カキヨムはもう良いだろう。

 掲示板には注意事項が書いてある。

 常時依頼は受注手続きが要りません。

 討伐を行って、討伐部位を持ち帰って下さいとある。


 今できそうなのはゴブリン討伐だな。

 換金部位の魔石が銅貨10枚で、討伐報酬が銅貨13枚だ。

 討伐部位は右耳。


 さあ、困ったぞ。

 ゴブリン退治に行きたいが自信がない。

 唐辛子の粉に頼るしかないか。


 せめてトラばさみがあればな。

 1つ銀貨10枚はするだろう。

 金はある。

 だが、特注になるだろうから、すぐには手に入らない。


 それに荷車がないと重くて罠を運ぶのが大変だ。


「お困りのご様子ですわね」


 オリビアが話し掛けてきた。

 まだいたのか。

 俺に気があるって事じゃないよな。

 でも知り合いもいないし、頼らせてもらおう。


「うん、ゴブリン退治に行きたいんだけど自信がない」

「一緒に行ってあげてもよろしくてよ。報酬は半々ですわ」

「じゃあよろしく」


 やっぱり気があるんじゃないかな。

 オリビアと城壁の外の畑に行く。

 二人でゴブリンを待つ。


 しばらく経って畑の野菜を食べにゴブリンが現れた。

 駆け寄りながら、唐辛子の粉を投げる。

 当たった。

 ゴブリンは顔をかきむしる。

 俺は棍棒を持った腕を鉈で叩いたところ、ゴブリンの腕が両断されて落ちた。

 オリビアが剣をゴブリンの喉に突き入れて、戦闘が終わる。

 上手くいったな。


 俺って、もしかして強い。

 いやいや、ゴブリンぐらいではいい気になれない。


 オリビアとぎこちなくハイタッチを交わす。

 ゴブリンから魔石を抜いて、耳を削ぐ。

 銅貨23枚の儲けだ。


 唐辛子の粉が残り少ないので、土で代用する事にした。


 次のゴブリンが来る。

 俺は土を投げた。

 躱された。

 ゴブリンがせせら笑う。

 馬鹿にしやがって。


 俺はゴブリンに近寄り鉈を振るう。

 くっ、間合いが遠かったか。

 ゴブリンが少し後退。

 そして、棍棒で俺の腕を叩いた。


「くっ」


 鉈を落としてしまった。

 拾う隙は与えてくれないだろうな。

 俺はゴブリンの足に蹴りを放った。

 ゴブリンが少しぐらつく。


 オリビアはその隙を見逃さなかった。

 剣をゴブリンの喉に突き入れた。


 オリビアが上手くやったので助かったが、危ないところだ。

 剣のリーチが羨ましい。

 鉈は刃渡りが20センチぐらいしかないから、どうしても接近戦になる。

 気を付けないと。

 強くなった気でいたから、そのせいだな。


 宿に一泊するには10匹は討伐しないといけない。


 それと面白い事をしないと。

 ゴブリン討伐で面白い事は何だ。

 次のゴブリンが来た時に、俺はオリビアのスカートをめくろうとした。


 鞘を喉に突き入れられた。


「今度やったら殺しますわよ」

「ごほっ、ごほっ、も、もうじまぜん」


 ゴブリンはあっけにとられている。

 俺は腹いせとばかりにゴブリンの首に鉈を打ち込んだ。

 緑色の血が噴き上がる。

 うわ、もろに掛かったぞ。


「天罰ですわ」

「さっきのお詫びに、俺の恥ずかしい場所を見るか?」

「えっ何をおっしゃるのですか。あなたがそんな人だったとは知りませんでしたわ。見損ないました」

「伸びた鼻毛。これが俺の恥ずかしい場所。こうして息を吐くとなびくだろう」

「ほほほっ、笑わせないで下さいまし」


「さっきは悪かったよ。スカートめくりは最低だな」

「分かればよろしいのです」

「ゴブリン討伐で意表を突くやり方ってある?」


「あなたがゴブリンにキスでもしてみたらいかが? きっとゴブリンも呆けるでしょう」

「やってみる」

「えっ」


 次のゴブリンが来たので、自分の手に音を立ててキスをして、投げキッスをした。


 ゴブリンは怒って突進。

 落とし穴に落ちた。


 片足を取られたゴブリンの額を鉈でかち割る。

 上手くいった。


 トラばさみが無いので、ゴブリンを待つ間に、落とし穴を掘っただけだ。

 農具は農家に借りた。

 ゴブリンをやると言ったら快く貸してくれたのだ。


 それからは順調だった。

 落とし穴は上手く作動したよ。

 15匹討伐を行いギルドに戻る。


 カウンターでゴブリンの耳と魔石を出す。


「ゴブリン15匹で、銀貨3枚と銅貨45枚になります」


 二人で分けて、俺のこの日の収入は、銀貨1枚と、銅貨72枚の儲けになった。


 宿には銀貨1枚で泊まれるから、食費を引いてもまあまあだ。

 痛む腕をさすりながら、宿を目指して歩く。

 オリビアと飲みたかったが、腕が痛むのでやめる事にした。


 ここまでの事を『第6話 初討伐』というエピソードタイトルで記した。

 ☆が欲しい。

 これがあれば強くなれる。

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