第5話 ギルト登録

 冒険者ギルドの入口をくぐる。

 中は冒険者達で溢れかえっていた。

 みんな強そうだ。


 記入台の椅子に腰かけた。

 そして、カキヨムを使う。


 新しい通知がある。

 『エピソードに応援 第1話』から『エピソードに応援 第4話』までの新しい表示は、7人だ。

 通知はこれだけだ。

 くそっ、悲しい。

 応援があるだけましなのか。


 今のカキヨムでの成績は。

 フォロワー17。

 ☆24。

 ♡33/3。

 獲得PV25。

 累計PV123。

 1リワード獲得。


 リワードは貯めておこう。


 まずは冒険者ギルドで登録だ。


「いつから、冒険者ギルドは子供の遊び場になったんだ。おっぱい臭くてかなわねぇ」


 カウンターの方に歩いて行くと、頭がはげていて、でっぷり太った男がそう言った。


 見ている冒険者がゲラゲラと笑う。

 俺を挑発しているのはみえみえだ。

 こういう輩はあれに限る。


「俺の事を言っているのか?」

「驚いた、赤ん坊が言葉を喋ったぜ」


 ゲラゲラと見物人の冒険者が笑う。


「弱い犬程良く吠える」

「何だと!」

「掛かって来い」

「酒代で勘弁してやろうと思ったが、腕の1本は覚悟しておくんだな」

「さっさと来い」


 男は拳を振りかぶり突進してきた。

 俺は冷静に腰に付けた袋から唐辛子の粉を取り出して投げた。


 唐辛子の粉は男の顔面に当たり。


「ぐわっ、やりやがったな。くそっ、目が開けてられん」


 男は目を擦った。

 俺が男の顔面を殴ったところ、男はふらついて倒れる。


 ここで面白い事。

 小便を男に引っ掛けたら受けるだろうか。

 駄目だ。

 そこまで出来ない。

 俺だって分別はある。


 記帳台で書類を書いている男がいたので、ペンとインクを借りた。

 顔に落書きしたいが、なんて書こう。

 太っているから、あれだな。

 倒れている男の額に『肉』と書いた。

 何だか受けたような気がする。


「やりますわね」


 駆け出しと思われる女の子から声を掛けられた。

 女の子は金髪で縦ロールの髪型をしている。

 変わった髪型だな。

 めんどくさくないのだろうか。

 体型は皮鎧を着ているので分からない。

 細い剣を吊るしているから剣士なのだと思う。


「モンスターが畑に近寄って来たら、かまさないとカモだと思われる。それと一緒さ」

「そうですわね」

「酒代をせびられたら、死活問題という事もある。命が掛かっているんだ」

「それは恐ろしいですわ。死に物狂いの敵は手強いですから」

「例え死ななくても、汗水流して稼いだ金を取られるのは我慢できない。あの男は放っておいて良いのか」


「あいつには良い薬ですわ。喧嘩売る相手を間違ったのですね。わたくし、オリビアと申します」

「バードだ。俺、登録があるから行くけど。今度一緒に飲もう」

「ええ、待っていましてよ」


 カウンターに行き登録だ。


「登録したい」

「用紙にご記入をお願いします」


 名前とスキルと特技を書く欄がある。

 俺は『バード』と『カキヨム』を書いた。

 特技は?


 自慢じゃないが、村では農作業しかやった事がない。

 剣も使えないし、魔法スキルも持ってない。

 ここでなんて書くかで人生が決まるような気がする。


 出来ないじゃないんだ。

 やるんだ。

 何を?


 特技『神』。

 これしかないと思った。


 俺は受付嬢に用紙を出した。


「ぷっ、あなたって面白いのね。特技に神と書いた人は初めてみたわ。神様が化けているとでも言うの?」


 受付嬢が吹き出して、面白がった。


「平民出の元農民だけど、俺の可能性は神様並みだと思っている」

「可能性に賭けろと言うのね」

「何にでもなれる可能性があるんだ。誰も否定できない。ここで俺が神だと宣言したら、俺は神だ。滑稽だとしてもな」

「なるほどね。さっさと登録を済ませましょうか、未来の神様」


 魔道具らしき物を出された。

 手の平を置く所がある。

 俺は手を静かに置いた。


 銀色のカードが吐き出された。

 カードには名前とFランクと書いてある。

 そして円が書いてある。

 俺はカードを手に取った。


「カードにはその人の波長が登録してあります。カードの円に触ると赤く光ります。他人には使えないので、覚えておいて下さい」

「カードは何で出来ているの?」

「モンスターです」

「えっ」

「登録の魔道具はダンジョンコアを改造して作ってあります。ダンジョンがモンスターを生み出すのは知ってますよね」

「知っている」

「カードはゴーレムの一種です。折ると死にますのでご用心を。少しぐらいの傷なら自動的に修復されます。再発行は金貨1枚になりますので、故意に傷つけたりしないようにして下さい」


 ギルドカードが生き物だと初めて知った。

 俺の使い魔扱いなのかな。

 ギルドカードが可愛く見えてきた。

 後で傷が付かないように、カバーを作ってやろう。


 名前も付けてやらないと。


「ギルカ、お前の名前はギルカだ」

「ぷっ、ギルドカードに名前を付けた人は初めてよ」


 受付嬢にまた笑われた。

 受けを取るためにしたわけじゃない。

 俺の為に働いてくれる相棒だからな。

 名前ぐらい与えてやっても良い。


 ここまでの事を『第5話 ギルド登録』というエピソードタイトルで記した。

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