第4話 大道芸

 冒険者ギルドに着いたので、通知をみる。


 『エピソードに応援 第1話』から『エピソードに応援 第3話』までの新しい表示は、9人だ。


 続いて『第3話 初めてのリワード - バードの人生』とあって、それからコメントがある。

 『応援してくれて、ありがとう』と返しておいた。


 『作品に☆レビュー』の新しい表示は、1人で、☆の数は現在24だ。

 レベル24か。

 序盤はレベルが上がり易いと聞いたけど、カキヨムにも当てはまるらしい。


 レビューしてもらったのが、最初が5人で、次が3人、そして今が1人。

 くそっ、成長が止まる兆しか。

 こんな所で立ち止まれない。

 冒険の方向が間違っているのか。

 でも踏み出した以上、故郷に錦を飾らないと。


 今のカキヨムでの成績は。

 フォロワー17。

 ☆24。

 ♡26/3。

 獲得PV35。

 累計PV98。


 1リワード獲得の表示がある。

 日付が変わってないのに獲得するんだな。

 どうやら神の世界とは時間の流れが違うらしい。


 広告表示41でアドスコア37だ。

 1リワードじゃ1円玉以外には、何も貰えない。

 安いの食べ物はと念じると、10リワードでお菓子がある。

 一番安いお菓子も交換できないのか。


 ここら辺で一番安い菓子は山菜の茎だ。

 ほのかに甘いが、一束銅貨3枚といったところ。

 それと10リワードが同等。


 1円玉からして、おかしかったんだよな。

 未知の金属という事を抜かせば、銅貨みたいな物だ。

 くそっ、騙された。


 やっぱり、がっくりだ、カキヨム。

 ♡も☆も力になるけど、他のスキルでも代用できる。


 1日苦労して手にしたのが1リワード?

 俺は他人の作品を見ていないのに気づいた。


 みて見ると凄い。

 簡単に計算して1日に10万PV稼いでいる作品もある。

 結局、努力が足りないという事か。


 いや、おかしいのは俺じゃないカキヨムの読者だ。

 近況ノートに『カクヨムおかしい』とタイトルを入れて、『俺のと他の作品はそんなに変わらないのに、こんなに差がでるのはおかしい。リワード稼げなさすぎ』と書き込んだ。


 コメントが帰ってきた。

 『タイトルとあらすじを工夫してみたらどうですか。まだやれる事はあるはずです。』とある。


 通行人にあんな事やこんな事をしたら、PV伸びるのかな。

 新たなコメントも来た。


 『題材で流行るかどうか決まります。流行っている題材で書きましょう。』とある。


 小説の指南をしている作品があって読んでみると、エタるのも自由。

 駄目な作品は打ち切ってとっとと先に行きましょうとある。


 尻尾を巻いて田舎に帰れというのか。

 俺は何にもやってないのに気づいた。

 ピエロになっても成り上がるんだ。


 俺はなけなしの1リワードを1円玉にした。

 そしてある事を試してみた。

 思った通りだ。


「さあさあ、お立合い! 怪奇、水に浮く硬貨だよ! これを見なきゃ損だ! 一生の思い出になるよ!」


 俺は冒険者ギルドの脇で人を呼び始めた。

 田舎から持ってきたカップには水筒から水が注いである。

 それを目の前に置いて座った。


 呼び込みを続けると人が20人ぐらい集まった。


「浮かす硬貨はこれだ。触ってみるかい」


 1円玉を観客に触らせた。


「軽い硬貨だな。でも金属だ」

「俺にも触らせてくれ」


 観客の何人かが1円玉を触って確かめる。


「じゃあやるよ。上手く浮けば拍手喝采。駄目だったらご愛嬌ということで」


 俺は1円玉をそっと水に浮かべた。

 軽く油も塗っておいたから、そのせいもあって良く水に浮く。


「はっ、いつもより長く浮いております。おめでとうございます。おめでとうございます。本人は沈むのでないかと、ひやひやしております」


 観客は拍手喝采だ。


「さあ、この1円玉。いくらなら買う? 一番高い値を付けた人に譲りましょう」

「銀貨1枚」

「銀貨2枚」

「銀貨5枚だ」

「銀貨8枚」

「銀貨10枚」


 良いぞ、もっと上がれ。


「銀貨20枚」

「銀貨21枚」

「銀貨25枚」

「銀貨25枚と銅貨1枚」


 二人の客がせり始めた。


「銀貨26枚」

「銀貨50枚よ」


 横から身なりの良い女の観客が、いきなり値を吊り上げた。

 誰も後に続かない。


「では銀貨50枚という事で」


 観客は散っていき、女との話し合いになった。


「これ何で出来ているの?」

「分からないんだ。買わないなら、他所に行ってくれ」


「買うわよ。お土産にちょうど良いから」


 女から、金を貰った。

 やった銀貨50枚。

 やり方次第では1リワードが銀貨50枚にもなる。


 これで当分働かずに済む。

 でも何かしないと、リワードが貰えないんだよな。

 これでPVは伸びるだろうか。

 うんっ、面白いか?

 自問自答する。


 ありきたりだな。

 こんなのじゃ駄目だ。

 さっきの女とキスして一夜を共にするぐらいじゃないと。


 どうやら俺には才能がないようだ。

 面白い事など出来ない。

 元農民だものな。


 ここまでの事を『第4話 大道芸』というエピソードタイトルで記した。

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