第2話 荷馬車の上で

 出立の朝だ。


 通知をみる。

 『あなたの作品をフォロー』の表示に、10人の名前がある。


 チャリンと音がした。

 見ると銀貨10枚が落ちている。

 えっと、フォローが増えたので貰えたという認識で合ってるよな。

 ありがとうフォローしてくれた人達。

 持ち金の銀貨2枚と合わせて銀貨12枚。

 これで宿に10日ぐらい泊まれる。

 少し余裕が出来た。


 『エピソードに応援 第1話』の表示は、6人だ。

 こっちはどんな効果なのか分からない。

 分からないけど、きっと良いことがあるんだ。


 ♡は応援だから、誰かが応援しててくれる。

 心強い事だ。

 例え効果が無くても、戦えるような気がしてきた。


 『エピソードに応援コメント』という通知がある。

 続いて『第1話 スキルを授かる - バードの人生』とあって、それからコメントがある。

 返答を書かないといけないみたいだ。

 『ありがとうございます』と返しておいた。


 誰かに気にしてもらうのは嬉しい事だ。

 注目を浴びている気分だ。

 なんとも嬉しい。


 通知に青い☆マークがあって、作品にレビューと表示されていた。

 これは謎だ。


 『作品に☆レビュー』の表示は、5人だ。

 ☆の数は13ある。


 何だか体に力がみなぎっているようだ。

 ベッドを持ち上げてみた。

 軽々と持ち上がる。

 どれぐらいか分からないが、強化されていた。


 噂に聞いたレベルアップ・スキルに似た現象だ。

 ♡の力なのか、☆の力なのか分からないが、ありがとう。


 そして、リワードを付与しましたとある。

 付与を念じると0リワードの表示がある。


 えー、なんだかリワードと言うのが貰えないらしい。

 頑張りが足らないらしい。

 ない物は仕方ない。


 昨日のカキヨムでの成績は。

 フォロワー10。

 ☆13。

 ♡6/1。

 PV15。


 PVが少ないのか、多いのかは分からないが、少ないのだろうな。


「バード、辛くなったらいつでも帰って来ていいのよ」

「まあ、何だ。怪我をしないように頑張れ」

「俺にはお前が少し羨ましい。次男だったらと思った日もある」


 母さん、父さん、そして兄貴、俺は行くよ。

 荷馬車に上で俺は手を振り続けた。


 ふぅ、手持ちの武器は鉈。

 これだって手に入れるのに苦労した。

 銀貨8枚もしたんだぜ。

 村の鍛冶屋さんにはかなり無理を言った。


 防具は皮を縫い付けたシャツ。

 補強してあるけど、モンスターに対抗するには少し弱い。

 皮鎧は安いので銀貨20枚はする。


 銅貨1枚でパンが一個買える。

 それが100枚で銀貨だ。

 銀貨100枚で金貨なんだが、村では見た事がない。


 カキヨム・スキルをもっと使いこなさないといけないのかな。

 横の方にある文字をみた。


 ダッシュボード、小説、コレクション、近況ノート、読者からの反応、カクヨムリワード、サポーターとある。

 関係ありそうなのはカクヨムリワードだな。

 念じると、広告表示PVとアドスコアとギフトの表示がある。

 そして青い棒が2本。

 棒の所を念じると、『2023年1月13日:13PV』とある。

 広告表示PVというのを表しているらしい。

 もう一本の棒は『2023年1月13日:11だ』

 こちらはアドスコアだろう。

 目減りしているのは、きっと税金みたいな物だな。


 この年数は聖歴と違うけど、たぶん神様の暦だな。

 気にしなくて良いだろう。


 下には獲得履歴が載っている。

 『2023年1月13日』と日付があって、広告表示PV、アドスコア、広告リワード、ギフト数、ギフトリワードとある。

 広告リワード、ギフト数、ギフトリワードは無しだ。


 悲しいな。

 いや、埋めていく楽しみの方が勝る。

 何時か獲得してやるぞ。


 荷馬車は進んで行く。

 隣に積んであるキャベツの山が青臭い。

 こんな話の展開じゃPVを貰えない。


 何か面白い事をしないと。

 と言ってもなぁ。

 恋愛事情でも考えるか。

 考えればカキヨミ・スキルで記した事になる。


 村の恋愛事情は世知辛い。

 もてるのは村長一族、次に長男、次男以下はお察しだ。


 有望株と結婚出来ない女の子は街に出る事が多い。

 なので女の戦いは熾烈しれつだ。

 男の奪い合いで、取っ組み合いになる事もしばしば。

 ああいうのを見ると恋心も失せる。


 街に行ったら可愛い娘と恋愛したい。

 でも、ないない尽くしじゃどうにもならないだろうな。


 今のままだとただのゴブリンさえ討伐できるか怪しい。

 みんなの気に入るか分からないが、ゴブリンの情報を考える。


 ゴブリンは緑色をした人型の臭い奴で、俺の胸ぐらいの身長しかない。

 だが、魔力を持っている。

 それで腕力を増しているようだ。

 俺の腕より太い棍棒を軽々と扱う。

 侮れない相手だ。


 ただ、馬鹿なのと、食い意地が張っているので、罠には簡単に掛かる。

 準備すれば恐ろしい相手ではない。


 この辺りだと、人里に近い所に出る敵はゴブリン、ウルフ、スライムだ。

 ウルフは強敵なので敵わない自信がある。

 スライムは武器が痛むので遠慮願いたい。


 あと、ダンジョンがある。

 ここに出るモンスターは恐ろしい奴ばっかりだ。

 オークに出くわしたら漏らす可能性大だ。

 糞を漏らすかも。

 それぐらい恐ろしい相手だ。

 ダンジョンの深層にでるオーガだと指一本使われただけでやられる自信がある。


 とにかくまずはゴブリンを退治出来るようになろう。

 それが第1歩だ。


 ここまでの事を『第2話 荷馬車の上で』というエピソードタイトルで記した。

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