第24話 嵐の後
朝起きてリックの寝床から這い出て下に降りたら、ガルムがすでに朝食を作ってくれてた。
今日はもうそれぞれの体調次第で動くらしくみんな朝寝坊気味だ。
「起きたのか?ツバサも無理せず休んでて良いんだぞ」
「ガルムこそ寝てれば良いのに」
「俺はそこまで疲れてないしな」
出来上がってたスープとパンを食べて外に行くことにした。
「ガルム、俺手伝えること少ないけどギルドに行ってきゅる」
「ん?」
瓦礫の撤去や家の修繕は無理だけど炊き出しとか怪我人の治療くらいなら出来るしな。
「おお、それなら俺も行くぞ。みんなの分の食事を作っておくからすこし待っててくれ」
「わかった」
俺は動きやすい服と靴、ミカエラが用意してくれた防御力高めのポンチョを着込んで待つ。
その間にマジックバッグに中にアク○リもどきとか兵糧を詰める。
あれだけ町が荒らされたから食材も期待できないだろうから、貯蔵庫から放出って装って出すかな。
「ツバサ、待たせたな」
「おい、俺もいくぞ」
ガルムがキッチンから出て来たらリックが起きて来た。
荷物を見て外に行くのがわかったらしい。
「じゃご飯食べてから来て」
ガルムと連れ立って外に出ればやっぱり瓦礫やなんかで埃っぽくて焦げ臭い。
魔獣の死骸は処理されたみたいだけど腐敗臭まではいかなくても臭い。
「ガルム、魔獣と戦ったあとこんな臭いになるのか?」
「そうだな、町中は石材や木材があるからいろんな匂いが混じるが森や岩場なんかだと戦闘も遠慮なくやれるからもっと血生臭いかもなぁ」
うえぇ!冒険者向いてない気がして来た!
「魔獣によっても臭いが違うからなんとも言えん」
崩れた家の中から家財を取り出したり、建材をまとめたり、瓦礫を一箇所に集めたり、それぞれ隣近所合同で作業してるみたい。
ギルドに着くと冒険者達に仕事の割り振りをしてた。
冒険者達の給料は普段の依頼より安めだけどギルド予算と領主からの見舞金で支払われるらしい。
この町を拠点にしてる連中なら自分の住まいだから給金でなくてもやるんだろうね。
「おぅ!ツバサ来てくれたのか?」
ギルマスが気付いて近寄って来た。
「怪我人の手当か炊き出しを手伝おうと思って」
「そうか!助かるぞ」
そんな感じでガルムは外の瓦礫撤去に行き、俺はまずは調理場に行く。
簡単スープに今日もポーション薄めに入れれば多少治りも早くなるだろうし。
他のおっちゃん達はチビが料理してるのをハラハラ見守ってくれてるのはわかってるけど、手を動かせや!!!
腹持ちが良いのがいいはずだからリゾットに近い雑穀スープにする。コメ入り。
「手際良いな~」
どうやら料理やれると認定された。
「怪我人のってたくさんいるの?」
「まぁいるわなぁ。どの道軽傷でも疲労が激しいからとにかく食わせないとな!!」
それもそっか。治療は医者と治癒師に任せて体力つけさせないとだな。
下級ポーションを鍋に一本。これで「あれ?なんか体が楽になった」くらいで誤魔化せるだろ。
出来上がった鍋をおっちゃんが運んでいく。
「おう、ぼうず!お前の作ったスープみんな喜んでるぞ。うまくて元気が出るってな!」
「良かったな!」
こういうノリ好きだな。俺に中身がおっさんだからだろうけど。
3時間くらい作ってたら、子供がずっと働きっぱなしはダメだと帰るように言われた。
うー。たしかにチビすぎて虐待っぽく見えるかも?
気を使わせてたんだと思い当たって諦めて帰る事にした。
途中でガルムやリック、ミク、リドルが撤去作業を手伝ってるのを見かけた。
多分サイラスたちも出てるだろう。
みんなが帰ってくるまでに食事でも用意しておくか。
「あれぇツバサくん1人なの?」
エイミーたちが半壊の家から出てきた。荷物の移動を手伝っていたらしい。
「うん、炊き出し手伝ってたんだけど子供だから働きすぎはダメだって」
「あー、それは仕方ないね。幼気な子コキ使えないよ。平気でコキ使ってたら悪魔だよ」
ララァが俺の頭を撫でながら頷く。
確かにそれもそうだ。ってこの世界に悪魔いるの?
「しばらくは町もこんなままだろうから退屈だろうけど子供は無理しないようにね」
クララも頭を撫でてくれた。
エイミーは俺と会った瞬間から俺を抱き上げてくんかくんかしてるけどな。
「ふぁぁ!癒されるぅうう」
「こら!エイミーいい加減離しなさい。片付け進まないでしょ!」
散々嫌がられたがなんとか剥がしてもらった。
商店街も結構やられてて買い物は出来ないと思ったら、平置き台みたいなの出して少ないけど売ってた。
「俺たちゃ商売人だ。いつでもどんな時もお客のニーズに答えるもんさ」
お値段もいつもと変わらず。多少鮮度が落ちてるのは仕方ない。
その心意気!買ったァ!!
「おっちゃん、買う!」
釣りはいらないぜってやりたいとこだがガキがやってもオマケが増えたりしちゃうからな。
野菜と肉を買って帰った。
時間ができちゃったからビーフシチューでも煮込むか。
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