第3話  エイミーは町のみんなに知られてる

 いきなり幼児にされて湖と森しか見てなかった俺。

 冒険者たちに拾われて、町に連れて行ってもらう道中ちょっと小物感のある魔物を退治する姿を見て興奮!


 一回休憩した時に皮の水袋と干し肉と固そうな兵糧みてさらに興奮!

 漫画の世界だ!!

 子供の歯じゃ食べれない硬さだったぞ。すげ~な。そしたらクララが木の実採ってくれた。優しい。


 やっと町の門に出て、ここでもゲームみたいだなぁって見てたらイカつい門番が、

「お、エイミーついにやっちまったのか!!」

って、エイミーそんなに怪しまれるほどショタなのか?鉄板ネタ?


 犯罪者弾きの魔道具もあったよ。もちろん犯罪者じゃ無かったから入れる。


 身分証代わりにギルドカード作ろうってリックに抱き上げられたけど

「ぼうけんちゃ、10ちゃいから?ぼくは5ちゃいだかりゃなれにゃい・・・」

 見事に全部噛んでる。もう知らん。


「訳ありは情報確保のために登録するから。親が見つかるとか犯罪情報が入るとか有るからな!お手伝いくらいなら仕事もできるぞ」

  


 説明聞きながら町の中進んでいくと

「エイミーついに」「エイミーやっぱり」

って通りすがりに言われてる。どんだけー!


 やっと目的の冒険者ギルドに到着!

 酒場併設の場末感。コレコレー!


 受付のお姉さんがリックに近づいてきて

「この子どうしたの?無茶苦茶可愛いんだけど!エイミーやっちゃった?」

「なんもしとらんわぁーーーアホー」

 ついにキレちゃったよ。

 リックの腕の中から頭ポンポンしてやる。

「ッア“ッーーーーーーーッ」

 エイミーが鼻血出して御臨終です。南無ー。興奮しすぎだよー。


「とりあえずコイツのことと依頼のことで相談があるからギルド長に会いたい」



 リックに二階に連れて行かれてちょっとマッチョの渋かっこいい頬に少し傷のあるオジサンがソファにデーンと葉巻片手に仕事してた。ヤサグレ感!!


「おう!リック。なんかようか?」


 声も渋い!藤○さん!!


「ジャックさん、コイツ森ん中で1人で居たらしいんだよ。エイミーたちが拾った」

「あぁん?1人で?エイミーがやらかした訳じゃないんだな?」

 ってエイミーさんっ!!!信用ねぇ!


「コイツが言うにはこのパルーと人買いに捕まってたらしい」


「貴族のガキと希少獣?きな臭いな」


 おおおぁ、なんか大事件ぽくなりそうでやばい。


「きじょくちあう。ぼくはちゅばしゃでしゅ」


「そんな良い服来て良いバッグ持ってるガキンチョが平民な訳あるか!」


 ジャックさんが頭ガリガリしながら、もう一方の手で俺の頭をワシワシ。


「とりあえず鑑定させてもらうぞ」


 え?転生者バレちゃう?

 なんか色々つけてもらったのでヤバくね?

『隠蔽・ステータス簡易化』

 ヒョウガがサクッと処理してくれた。

 さすがエンファスさまが付けてくれた雷獣。有能だ!!


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ツバサ 5歳8ヶ月  人族


体力 20/100 魔力30/100


スキル  火魔法  


属性   火 


出身国 不明   家族 無



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 出身国と家族って普通出るんだ?


「家名なし、身内無し、国分からず・・・か」


 あからさまに怪しい!!!

 ジャックさんとリックさんが考え込んでるぞ!


「かなり遠くから運ばれて来たって言ってたな、手掛かりなしか」


 リックが痛ましそうな顔をする。


 異世界転生ワッショーイ!なノリでいたからゴメンって気持ち。

 こんな幼児になったのは予定外だったけど、そりゃ大人からしたら5歳児が1人でいたら大問題だ。


 転生者だって言う方が良かったかなぁ?


「見つからんだろうが近隣のギルドに人買いが出たってのは回すぞ。チュバシャはワケアリかも知れんから当面は秘密だな」


 ぐぼぉ!何も言わなかったから通じたと思っていたのに!

 って言うか鑑定で名前見たよな?


 ニヤニヤ笑うな!オッサン!!


 爆笑しているリックの腕からゲシゲシとオッサンに蹴りを繰り出すが当たらず。


「じゃここでギルド登録と従魔登録も済ますか」

ってオッサンが人呼んで道具持ってこさせた。


 チクッって針刺してドッグタグみたいなのに血を垂らす。アニメで見たーーー!

 冒険者としては見習いだけど住民登録なんだって。

 ヒョウガには俺の血を付けた魔石飾りを付けさせる。今は首輪。石を付けていれば好きなのにして良いらしい。


 タグには保護者としてリックが記載されてる。いつの間に保護者に?!


 10歳以下の子供には保護者がいないと孤児院の管轄になるらしく、こんな貴族っぽい子供を預けるのは何か問題があるらしい。


 くぅここにも10歳からどじって5歳にされた弊害が!


 あのクネクネめぇ!まつ毛引き抜くぞ!


 たまたま(エイミーたちが)拾ってきた子供を預かってくれるなんて何て良い人なんだ!!


 俺やっぱりリックみたいなイケメンになりたかった。


 一階に戻って報告と魔物の買取を済ませてたメンバーと合流して軽く俺を預かることを説明。


 ララァとクララに咽び泣きながら引き摺られていくエイミーにバイバイってお別れ。

 同じ町にいるからまた会えるよ。


 リックに担がれて彼ら≪竜の瞳≫の棲家に行くことになった。


 


 


 


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