第39話 トレード祭り
第7節成績
炎●vs創○
海●vs氷○
邪●vs地○
鋼●vs獣○
空●vs聖○
トレードデッドラインが直前に迫った第7節を終え、プレーオフを目指すダンジョンにとってはここが最後のチャンスになる。
「最悪よ、まさか氷のダンジョンにまた負けるなんて。いろいろ対策したのに。」
オフシーズンに補強に動いた海のマスターであったが結局、氷のダンジョンには勝てなかったようだ。
「氷のダンジョンも対策の対策はしっかりしてるってことだな。」
地のダンジョンから補強の情報は入っていたようだがそれをうまく活用することはできなかったようだ。
「こっちの対策がBランク1枚に対して向こうはAランクで対策してたからうまくいかないのは当然ではあるのよね。」
取り直した海のマスターが冷静に分析する。氷のマスターが弱点を対策できるように手助けしたのは俺だがその情報をあげる必要は無い。というか今言ったら確実にやぶ蛇だ。
「とはいえ、邪のダンジョンが負けて3敗になったから最後に空のダンジョンとの対戦を残すわたしたちのプレーオフ進出はほぼ確実。そこに向けて準備しないといけないわね。」
既に6勝目をあげた地のダンジョンがプレーオフ確定。そして、海のダンジョンも自身で言ったように空に番狂わせで負けない限り確実だろう。
「なら、プレーオフに向けてアースリザードをレンタルしないか?」
ルインが来たおかげで龍系統の成長速度が速まり、空のダンジョンからトレードで入手した分のギタイトカゲは全てアースリザードまで進化した。とはいえ、他のBランクがかなり育ってきてるのもあり、アースリザードを全て使えるほどの枠のスペースは無い。というか遠距離砲の枠は子供を育てられるようになったことでキャノンダイルがいっぱいいるのでそちらも余り気味なのだ。
「アースリザードなんてBランクの中でもかなり上位じゃない。そりゃ貰えるなら欲しいけど、Bランク1枚しか出せないけどそれでいい?」
どうやら他にも補強に動いているらしく生成コストに余裕は無いらしい。こちらもアースリザードに実戦経験を積ませることが目的なので問題は無いが。
「わかった。」
こうして駆け込みのトレードが1つ成立する。
炎が負けたことでわずかに可能性が残るダンジョンにもまだ望みは残っている。
「わずかにでも可能性が残るダンジョンには積極的にトレードを申し込みに行かないとな。」
将来的に損失が無いレンタルトレードであればなおさらだ。
「まずは1件成立だな。」
Bランクのスカルナイト、キャノンダイル、ドライアドのレンタルにゴブリンセイバー1体を譲渡のトレードで邪のダンジョンからBランクのカード3枚のトレードを成立させる。パッケージとしても前衛、後衛、ヒーラーが1体ずつとバランスの良いトレードパッケージは対価の重さを除けば欲しいパッケージだっただろう。
「それでもこれで応じるのは邪だけだろうね。」
聖と獣のダンジョンは既にドライアドをレンタルしてるため残念だが他のパッケージを画策しないといけないようだ。そう思っていたら炎のマスターから連絡が来る。
「ゴブリンジェネラルをレンタルじゃ無くて保有したいか。なるほど、俺が他のダンジョンにゴブリンジェネラルを配りまくったから数で押されるようになったのか。」
炎のダンジョンはAランクの魔物を3体抱える一方、Bランク以下の戦力層はかなり薄い。そこが穴だと感じているのかもしれない。その結果がゴブリンジェネラルを中心にしたゴブリン部隊らしい。
「それなら、こういうトレード案はどうだ?」
炎のマスターにゴブリンジェネラルにゴブリンセイバー、ゴブリンアーチャーの譲渡とスカルナイトのレンタルを含めたトレードを提案する。対価は炎のAランクのカード。
「よし、成立だな。」
しばらくして炎のダンジョンから同意のメッセージが届く。これで新たなAランクのカードが手に入った。
「この炎のカードはどこかで海のダンジョンにトレードに出しても良いかもしれないな。」
トレードの手続きをしながら先ほどの悔しがっていた海のマスターを思い浮かべながら想像を膨らませる。
「もう1件くらい動きたいか。」
聖と獣のダンジョンにスカルナイトとキャノンダイルのトレードを持ちかける。そうすると聖のダンジョンからすぐに同意のメッセージが届く。これでBランクのカードが2枚か。
「これだけ動けば十分かな。」
獣のダンジョンからはまだ返事が来てないが既にかなりの対価が得られた。損失はほとんど無い。と思っていたが獣のマスターから返事が返ってきた。
「追加でCランク1枚出すからゴブリンソルジャーとゴブリンアーチャー1体ずつ譲渡して欲しいか。」
成果的には十分なのでゴブリン2体の分は拒否しても問題ない。
「でも、持ってたからって使わないんだよな。」
既に戦力をBランク以上に置き換える作業はほぼ終了し、ゴブリンジェネラルですら枠が怪しい。そして、ゴブリンはどんどん進化するため俺のダンジョンでは活躍の場がほぼ無いに等しい。
「向こうのダンジョンに行けば活躍の場はあるだろうし、あげてもいいか。」
ゴブリンたちのためにもトレードに応じることを決めて獣のマスターに連絡する。こうして、今シーズンもトレード市場は閉まるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます