第32話 戦いの成果
勝負を終えたルイスは翌日、実験に使うと言っていたファイアーバードを進化させて眷属化したフレアイーグル、スライムから育てたコピースライム、そしてこちらもスケルトンから育てたリッチにも自分を倒させてそれぞれフェニックス、アルティメットコピースライム、エルダーリッチと進化させてからエリクサーを使った。
「やっぱり不死の属性を付与するとフェニックスに進化するのね。」
フレアイーグルがフェニックスに進化する条件はどうやら超低確率とかでは無く、特定の属性を持つことだったらしい。とはいえ、一度産まれた魔物が後天的に何か属性を新たに持つことは非常に珍しく、そもそもこのダンジョン以外でAランクに進化すること事態が割と条件が難しいことから今まで解明されていなかったらしい。
「これでエルダーリッチは3体目、1体は育成用にしても良いかもしれないわね。」
このダンジョンがこれだけの育成環境を整えられた理由、それが絶対に復活するアンデッドたちだ。しかし、すぐ翌日に復活するDランクの下級スケルトンと違いCランクの上級スケルトンたちは復活に2日かかるし、リッチに進化すると1週間待たなければいけない。その分、経験値もおいしいのでより上位の魔物を育てるためにはより上位のアンデッドが必要不可欠になる。
「元からそのつもりでエルダーリッチを選んだんじゃないのか?」
「まあ、そうなんだけどね。」
他にもキャノンダイルやブリザードウルフを進化させるなど選択肢があった中であえてコピースライムとリッチを選んだのはダンジョンの戦力増強を優先した結果だ。つまり、これは俺に対する育成に回すけど良いよねって確認なわけで特に俺が拒否する理由は無い。
「まあ、その辺はルイスに任せるよ。それでそのエルダーリッチたちだけどなんでノルンと戦ってるんだ?」
ダンジョンでは朝からノルンがエルダーリッチを始めとしてその進化前のリッチやキャノンダイルたちとひたすら連戦させられていた。しかも、エルダーリッチは2体、リッチやキャノンダイルにいたっては5体でノルンの相手をしている。
「あの子、回避が未来視頼りなのよ。だから、立ち回りがグチャグチャで燃費が非常に悪い。そんなわけで魔力が尽きるくらいまでひたすら戦わせて未来視を使わなくてもある程度回避できるように特訓してるわけ。」
一応、クイーンドライアドに回復してもらいながらだがこれだけ複数対1を連続でやってるとすぐにバテてしまいそうだが。
「ノルンって身体能力そんな高くないよな。特訓したくらいでそんな変わるのか?」
俺が知る限り、身体能力を飛躍的に伸ばすことはかなり難しいはずなのだが。
「あの子、能力におごって成長を放棄してたようなもんだから伸びしろはあるのよ。刻の能力さえ使えなくなってしまえばBランクにも勝てないくらい。ただし、今はだけど。あの子、眷属になったし身体能力はこれからいくらでも伸びるわよ。」
ヴァンパイアは強靱な肉体を手に入れる。その権利を手にしたノルンはもっと強くなれるとルイスは考えているようだ。
「それでノルンは次の試合で使うのか?」
リーグで使って実戦経験を積ませるのもノルンにとっては大きな経験になるだろう。
「使えるわけないじゃない。あの子が出てったら他のダンジョンなんて瞬殺よ。調子に乗るからしばらくはこのままダンジョン内でいじめさせてもらうわ。」
なんだかんだルイスはノルンのことを高く評価している。そうで無ければこれだけ手間をかけて育てたりしない。ルイスはこのダンジョンで一番忙しい存在なのだから。
第2節成績
地●vs創○
聖●vs海○
鋼●vs炎○
獣●vs邪○
空●vs氷○
前回と同じように敵を誘い込んで洗脳する作戦で連勝を飾った第2節。変わったところで言えばゴブリン部隊にキャノンダイルを混ぜることで圧力を上げたことと最後の制圧部隊がフェニックス2体にホーリーフレアイーグルとさらにパワーが上がったことくらいだろうか。
「なんなんですか、あの最後の鳥たちは。特にホーリーフレアイーグルなんてあれ1体で十分でしたよ。こっちは先に水属性も失って打つ手無しなのにフェニックスを護衛にまでつけて。」
地のマスターが愚痴るために通話してくるくらいにはホーリーフレアイーグルの対面制圧性能はかなり高かった。上空からの絨毯爆撃は地のダンジョンにトドメを刺すには十分だった。ちなみに2種類揃えて判明したことだがフェニックスはより空中戦に特化しており、ホーリーフレアイーグルほどの対面制圧は行えない。
「まあ、おかげで対炎の遠距離砲の必要性に気がつけたわけですけど。ってことで序盤の撹乱に使うくらい余ってるならキャノンダイルこちらに売っていただけないですかね。」
もはや半分自棄になった地のマスターがキャノンダイルを要求してくる。バレットダイルのタマゴは20個もあったらしくキャノンダイルも数に余裕がある。出すのは問題ないが問題は対価だ。
「出すのは構わないけど対価として何が払える?」
「Bのカードをつけてくれるなら次のドラフト指名権を出しますよ。」
Bランクの魔物にBのカードで生成コスト9000分で対価がAランクのカード。悪くない提案だ。
「それでも良いんだけどゴブリンジェネラル1体引き取ってくれない?」
ゴブリンは成長が早く海のダンジョンにも渡したのにもかかわらずゴブリンジェネラルはあっという間に7体目が誕生した。これからリッチやブリザードウルフ、キャノンダイルと数が増えていくとうちのダンジョンでのゴブリンジェネラルの需要はどんどん落ちていく。
「それはこちらにとっては願ったり叶ったリですがゴブリンジェネラルまで余るとか何をしたらそうなるんですか、あなたのダンジョン。」
地のダンジョンからすればゴブリンジェネラルはゴブリン部隊を束ねる存在であり、貰えるなら欲しい即戦力だ。断る理由は無い。これで俺は新たな指名権を手に入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます