第15話 第8節
空のダンジョンとの第8節は一方的な展開になった。というのも獲得してる経験値がずば抜けて高いダンジョンと低いダンジョンの対決なのだ。俺のダンジョンは既に初期のBランクであったキャノンダイル、ドライアド、コピースライムがそれぞれ進化してストームキャノンダイル、クイーンドライアド、アルティメットコピースライムと全てAランクになった。さらにスケルトンウォリアーはのスカルナイトに進化し、スケルトンメイジはリッチへと進化しBランクの層も厚くなっている。結果的にSランクの相手のドラゴンを含むは飛び交う魔法による対空攻撃で地上から遠ざけられ地上はあっという間に制圧されダンジョンコアの間までほぼ一直線でたどり着く事態となった。
「あたしの出番が無いじゃない。」
結果、リーグデビューとなり本陣最奥で待機していたルイスは何も仕事が無くご機嫌斜めである。
「まさかここまで一方的になるとはな。俺もここまでとは思わなかった。まあ、次は出番あるだろうし、切り替えていこう。」
最終戦はこんな簡単にはいかないとルイスをなだめるが、
「無いわよ。ストームキャノンダイルを相手のSランクにぶつければ属性有利、アルティメットコピースライムをストームキャノンダイルに変身させてクイーンドライアドで援護すればまず負けないだろうし、Bランクのコピースライムもみんなストームキャノンダイルに変身させればこっちの魔力が切れる前にAランク以下なんて制圧できる。これのどこにあたしの出番があるって言うのよ。」
と反論されてしまう。実は俺のダンジョンはすでに登録枠の半分近くがBランク以上の超強力ダンジョンと化している。だからこそ、ゴブリンを売りに出せるわけだが。
「いや、そんな作戦通りにうまく行くわけ無いだろ。バックアップは全てルイスに任せるからうまくどうにかしてくれ。」
とはいえ、俺はルイスを信用しているので何かあった時の対策は丸投げだ。
「まあ、必要ないでしょうけど何かあってもあたしがあんたを勝たせてみせるわ。」
第8節成績
空●vs創○
炎●vs海○
獣●vs地○
鋼●vs聖○
邪●vs氷○
暫定順位
1位タイ 6勝2敗 炎海
3位タイ 5勝3敗 地聖
5位タイ 4勝4敗 獣邪
7位タイ 3勝5敗 空鋼氷
最下位 1勝7敗 創
「初勝利おめでとうって言えばいいのかしら。
」
恒例となった海のマスターとの報告会で開口一番そう言われた。
「ありがとう。まあ、相手は落ち目の空だし今さら勝ったとこで最下位はすでに確定してるけどな。それを言うならそっちだろ。トップ浮上おめでとう。」
スタートでくじけた影響でなかなか追いつけなかったトップの背中に海のダンジョンはようやく追いついた。
「ありがとう。ようやく追いついたわ。でも、勝負はここからよ。リーグを1位で終えてプレーオフで優勝する。ここはまだ通過点でしかないもの。」
5位のダンジョンと2ゲーム差ついているためこの第8節終了時点で海と炎のダンジョンはプレーオフ進出を決めた。
「まあ、頑張れよ。俺はゆっくり観戦しながら分析させてもらうよ。」
プレーオフは、参加しないダンジョンマスターの観戦が認められているため、プレーオフ進出チームは戦力を丸裸にされる。とはいえ、リーグは総当たりなので相手の実力はある程度わかっているし参加する大きなデメリットはこれくらいなので参加できることのメリットの方が大きいのだが。
「正直、来シーズン。あんたのところが一番怖いのよね。Sランクはここまで隠し続けて不明。トレードでかなり儲けてて育成力もおそらく全ダンジョンで一番上。今になってわかるわ。あんた、最初からこのシーズンは捨てて必死に戦ってるわたしたちから利益を得ることを目指してた。」
さすがにもう隠し通すことは難しいだろう。というかバレたところで既に目的は達しているし、俺の企みを阻止する手段は無かったはずだ。
「まあ、うちのSランクにも最初は反対されたけどな。でも、これで来シーズンはプレーオフ進出チームに負けないくらい戦える。ああ、そうだ。最終戦は今の俺たちの全力で戦うよ。」
先に海のダンジョンには宣言しておく。
「相手は今シーズン最強の炎のダンジョン。あんたのとこの実力を測るにはちょうどいい相手ね。もし、あんたたちがそこで勝てるようなら現段階で一番の戦力を持ってるのはあなたのところよ。そこがAのカード2枚手に入れるのなら来シーズンはあなたたちが頭一個飛び抜けてることになるわね。」
自分たちは相性差と借りた魔物で勝っただけで持ってる戦力は向こうが上だったと海のダンジョンはあっさり認める。
「まあ、やってみないとわからないさ。次の試合も来シーズンも。」
始まってみないとわからないこともある。例えば、俺のような企みが他のマスターたちがしていないとも限らないし、ヴァンパイアの検証のような新発見を他のダンジョンがすれば戦況が一気に変わることもあり得る。ルイスが最終節に自分の出番がないとか言っていたが何が起こるかわからないのが戦いだ。俺たちにできることは勝ちに向かって全力を尽くすことだけだ。
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