第2話 最初の魔物
「まずはこのダンジョンの王から召喚して行くか。何が召喚できるかで今後の方針も変わるだろうし。」
女性の声が聞こえなくなったあと、今後の方針を考えていた俺はやはり自分のダンジョンの王がどんな魔物なのかわからなければ方針も決められないという結論に達して召喚を決意する。召喚できる魔物に限りがある以上、その召喚は慎重に判断しなければならない。
「ここまでは分岐はないはず。」
自分に言い聞かせるようにそう言って[創A]のカードを生成する。そして、[創A]と[王]のカードを使って初めての魔物を召喚する。召喚する場所を執務室かダンジョンか選べたがうちの核になる魔物なので執務室に呼ぶことにした。これから長いつきあいになるだろう魔物だ。なるべくコミュニケーションは取っておきたい。
召喚が始まると執務室は青白い光に包まれやがて光は人の形へと姿を変えていった。
「初めましてマスター。あたしは高貴なるヴァンパイアの真祖にしてアンデッドたちの王、名はルイスと言うわ。あたしにふさわしい高貴なるダンジョンを期待するわ。」
15歳くらいの見た目の少女は優雅に一礼した。
「初めまして、俺が創のダンジョンマスターだ。これから長いつきあいになるだろうからよろしく頼むよ。」
俺も少女に自己紹介する。
「それで、君がアンデッドの王ってことはダンジョンに湧くのはスケルトンってことでいいんだよね?」
ダンジョンにはAランク以上の魔物がいれば自然的にその魔物と同カテゴリーの最下級の魔物が湧くようになる。とはいえ、Aランクでは湧きづらくほとんどはSランクの魔物から湧くことになるらしいのだが。
「ルイスでいいわ。ええ、あたしのダンジョンに湧くのはスケルトンになるでしょうね。ダンジョンの魔力濃度が上がればCランクの魔物も湧くかもしれないけれど。」
スケルトンは骨でできた魔物だ。ランクは一番下のDに分類される最下級の魔物で戦闘力はそれほど高くない。その代わり、倒されたとしても浄化されない限り数日後に50%の確率で復活するのだが。
「Cランクが湧くようになるのはだいぶ先だろうね。それでルイス、君が不死身のヴァンパイアってことはダンジョンリーグでは防衛を任せることになると思う。絶対に突破されないなら負けようがないからね。」
原初のヴァンパイアである真祖ということはその力は絶大だ。防衛を彼女一人に任せられれば残りのリソースを全て攻撃につぎ込める。だが、
「誤解されがちなのだけどヴァンパイアは不死身ではないわ。ヴァンパイアの再生能力は魔力に依存するのよ。だから、再生する魔力が尽きれば倒されるわ。」
ことはそこまで簡単ではなかったらしい。
「何回くらい復活するんだ?」
「致命傷からなら7回くらいが限界でしょうね。吸血して魔力回復できなければだけど。脳や心臓といった命に関わる部分は修復に必要な魔力も多いのよ。」
意外とヴァンパイアも万能ではないらしい。
「それと1回致命傷を再生するだけの魔力を使うと回復するのにしばらくかかるわ。ヴァンパイアって魔力の回復効率はそんなに良くはないのよ。その代わりに吸血で回収するんだけど。」
ルイスは覚えておきなさいと言う。ダンジョンリーグでは関係無いが実戦では注意しないといけないか。リスク管理もダンジョンマスターの仕事だ。
「回復するのにどれくらいかかる?」
「1ヶ月はいらないと思うけどそれに近いくらいはかかるはずだからそれくらいは見てくれるとうれしいわ。」
なるほど。ルイスがギリギリで勝ちきるようなことがあったとしたら、ルイスは半年以上療養させないといけないわけか。そうならないように戦力は充実させないとな。
「あともう一つ。ヴァンパイアって魔力量は多いのだけどそのほとんどを再生に当てるからバリバリの近接種族なのよね。だから、遠距離の魔物を召喚してくれるとうれしいわ。」
確認したところヴァンパイアの能力は再生、吸血、眷属化、霧化にブラッティウェボンという血で武器を作る能力の合計5種類らしい。遠くから魔法で攻撃されるのは苦手な部類に入るそうだ。とはいえ、ヴァンパイアとは並外れた身体能力を持つ種族なので躱すだけなら問題ないらしいが。
「意外と欠点も多いんだな。となるといろいろ考えないといけないな。」
俺は少し考え込む。真祖であるルイスは間違いなく一騎当千になりうる切り札だ。しかし、他のダンジョンも同じSランクの魔物を従えてるはずなので戦力的には大きな差にはならないだろう。となると他のダンジョンに差をつけるためにはどこかで大きな利益を得なければいけない。
「生成コスト30000で生み出せるとしたらAランク1体にBランク1体かBランク5体か。」
基本的にAランクの魔物を揃えたいがAランクのカードは1枚10000ポイント必要だ。自分で使うのと交換で他の属性のカードを手に入れるのに10000ずつ使えばコストは20000。時間はかかるがBランクの魔物をAランクに育てられればポイントは14000浮いたことになる。Cランクの魔物をAランクまで育てるのはさすがに途方もなさ過ぎて現実的ではないだろう。
となると生成コストを支払わずにAランクの魔物を入手する機会は大事だ。
「なあ、ルイス。ダンジョンリーグの最初のシーズン、最下位でも良い?」
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