第三章 雪上の足跡についての考察

第21話

 午前3時5分。


 目が覚めるとベッドの上だった。

 どうやら気づかないうちに眠ってしまっていたらしい。


 窓の外はまだ暗い。眠い目を擦りながらカバンの中からスマホを取り出すと、時刻は午前3時を回っていた。


 既に残酷館の内部は毒ガスで満たされており、部屋から出ることは不可能な時間帯である。

 行動を起こそうにも6時になるまで待つしかない。


 今出来ることは、今後の為に少しでも睡眠をとって、体力を温存しておくことくらいだろう。

 だが今から寝ようにも、もう目はすっかり冴えてしまっていた。

 ならばここは敢えて眠ることはスッパリ諦めて、今までに得た情報をもう一度整理してみよう。


 わたしは両の頬を思い切り叩いて気合を入れた。

 手始めに、冷蔵庫の中のものですぐに食べれそうなものを適当に選んで朝食をとる。それから、一度部屋の中を換気しておいた方がいいだろう。

 わたしはベッドの上に爪先立ちになりながら換気窓を開ける。


「わッ!?」


 冷たい外気が一気に顔に吹き付けた所為で、バランスを崩したわたしは思わずベッドの上に倒れ込んでしまった。

 わたしは再びベッドの上に立ち上がると、懸垂けんすいの要領で換気窓のある位置まで顔を近づける。

 今度は覚悟していたので、手を離さずに済んだ。


 窓から外の様子を伺ってみると、電灯の光とそれを反射する真っ白な雪のお陰で意外な程明るかった。

 もっと詳しく外を見る為、わたしは頭を横に向けて窓枠にねじ込む。

 すると、何とか部屋の真下を覗くことに成功した。

 そこで、わたしは事件に関わる重要な手掛かりを目撃する。


 

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