第5話始まりの村(4)

会話に詰まって皆が見つめあっていくらの時間が過ぎたのだろうか、しかも無言で。

なんて言ってる場合じゃないよ。

とにかく交代で寝ずの番どころか全員押し黙ったまま一睡もできずに朝を迎えちゃったわよ、朝帰りとは夕べはお楽しみでした、してないわよ!。

突然ついと立ち上がって杖を上に捧げ日の出に向かってアラタが両手を拡げた、「太陽よ俺に力をくれ、吠えるぜ」。

いや何言っってるかわかんないよ、あんた勇者じゃなかった?。

「先に確認しなけりゃならん事がある、つまりは俺たちは始まりの村に行かなけりゃならんのだと思ってる」ご老体のアラタはしょぼしょぼのクリッとした眼差しでメンバーを見回した。眠そうだなおい。

「リーダーはあんただ、腹括ってくれたらそれでいい、俺たちは従うぜ、キシャー」

「ゆうべ始まりの村の話したよね、方向あっちだよね、早く行って寝ようよ、寝不足で肌荒れしちゃうわ」音程が低くなってヒナタは不満そう。

「俺の記憶が正しければ」アラタが歩みを止める。

「皆覚えているか?なぜ始まりの村から冒険に出たかを。」

「みんな幼なじみだったから」にっこり。

「でもよく考えると幼なじみにしちゃあ年齢が違いすぎるんじゃ無いか?」

「もちろん旅の途中で出会った仲間でしょ?」

「魔法学園で出会ったのよ」

「俺剣士だけど」

「農家で」

「悪役令嬢で」

「出会いが無い、出会いが無いんだ。」シンデレは涙目ですね、地面に突っ伏してる。

「あれえ?少し呪いの匂いがするわ、何で今まで気がつかなかったのかしら。」イクが綺麗な形の高い鼻をヒクヒクさせてる、これはこれで・そ・そそるわ。

「俺・・臭う?。」アラタとシンレが気にしている。

「これは加齢臭のことじゃないです、そっちも臭うけど。」

私は考えた、これは決定てきい!だよ、皆の記憶がおかしい、のか、元の記憶がおかしいのかどっちかだもん。

「このまま村に行くのは不味い気がする。」一番賢いミネバちゃんが言う。

「本当はここで話をするのも不味いんだけど、今急いで何がどうなってるのかをね、確認したいの。共通の記憶って有るのか、実名と実年齢、能力は何なのか、みんな今までの記憶に違和感あるよね?」

「ミネバがそう言うのなら勇者の俺は拒まないぞ・・だが聞いたからって引くなよ。」

「ひくううー。」と言ってみたみた。

「おい!」

「あまり時間ないので真面目にお願いします!。」

ミネバちゃんに怒られた。

そんなわけで自己紹介タイムに突入~。


「俺は皆も知ってのとおり、勇者であるしスキルまあいろいろ、この世界ではアラタ・ニホムネとの名前を貰った、本名は仁木荒太、男、転生時は実は75歳でね、このように若返って体が軽いのがとても嬉しい、出来れば危険無く第二の人生を楽しみたいし、どうして命がけで魔王を倒そうと思った思いだせんのだが。」うん見た目は25歳で若がえりっとすげえ。

「私、賢者、ここではミネバ・サウト向こうでは佐藤美祢、まだ12歳の女の子です、冒険のこと思い出してみると全員年少の私より馬鹿なの?馬鹿な大人って修正したいわ。」設定20歳で8歳プラスと。

「ミネバ・・ちゃんは僕より年下だったのか、僕は重剣士ゲンブ・トウザだよ、東陽介16歳男、転生したら憧れの筋肉付いちゃってたまらないっす。でも僕は筋肉戦士じゃない、頭脳派なんだ間違わないでほしいな。」ええと見た目・・何歳なのよ?。

「ボク、じゃなくて私は聖者よ、スキルはさっき見たほかにゴニョゴニョ、ヒナタ・カゲと呼んでよね、神宮司綾だよ29歳女、Cカップおっとキモいなんて言わないでよ、ボクッ娘コスが好きだからってまさか自分が低身長胸無しになるなんて屈辱よ。」

「うふふ、浄化の聖女よ、どんな弱った男も元気に出来るわよ、イク・セジョウ、水沢茜26歳女。

男なんてあっちが元気になれば攻撃力だって上がるわよ、私そっちが得意技なの、本職なんだから~ほら転生前より育っちゃって自慢の巨乳でしょ、金髪長髪ウエーブもお気に入り、テクニシャンよ。」

「私言ってること分からないです。」

「ぼくはタンクなんだよな、どうして引きこもりがタンクなんてさせられるの、シンデレ・タマルなんて変な名前いやだ、だって高橋丈二の名前があるのに28なのに いやだ死にたくない。」また地面と仲良くなってるシンデレってそうなの?よく今まで生き延びたね。

「キシャー槍使いだぜ、突撃、向こう見ず、鉄砲玉のシャラ・バキャ、だぜ、闇雲激って言いますのでえーと35歳の男です。

ひゃーはあ、てめえは俺の槍の餌になりたいってかキキキッ、おりゃあもう止まらねえぜえ!っていうのが夢だったんですよ。」

あんた痛いわなんかいたいわ。


それにしても転生してから10年、皆見た目は10年前のままなのもおかしなことだわさ。


ミネバちゃんがじっとこっちを見て何か言いたそうにチラチラとイクさんを見てる。そのとき彼女が動いた。

「あらあ、モフちゃんの自己紹介は?しないのかな?」

「き、気ガツチャイマシタカ、イクさん」

「えとヒーラー(聖者)ですう、モフ・ヨウムですう、私にはお母さんなんかいないんだから、ほんみょうと年齢不詳でお願いしたいんですけどお。」

「ねえモフちゃん、そんなことを言ったらあなたのお母さんきっと泣くよ、お腹を痛めて産んだ子にそんなこと言われたら。」

女子では実年齢最長のイクさんが珍しく真面目に向き合ってきた。

まずいわ、言わなきゃ駄目なの?本当のことは多分不味い【転生前がフエルト人形】だなんて、人間どころか生き物でも無いなんて。どうやって誤魔化そう。

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とてもかわいいフエルト人形(私)を召喚したからってなめんじゃないわよ!ヨタクなんかに負けないんだから!! 猫3☆works リスッポ @nekosanworks

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