第4話始まりの村(3)

まだ夜が明けきらず薄らと辺りが明るくなった頃微妙な音が聞こえてきたの、眠い目をやっと開けて音の方を見る「何もなかったな、眠いだけだぜ」ゲンブがスクワットをしながら自分の情報を見ている、「この程度の筋トレじゃ数値は増えないね、やっぱ魔物を倒さないと、でも何処にも小型の魔物の影さえ見ませんがね」大胸筋にオイルを塗り始めた。

そうなんだ、よく寝ててわかんなかったけど一晩で一匹も遭遇しないなんて、この辺りが元々魔物が少なかったのか誰かの持ち物で魔物忌避の装備効果があったかもしれないわん。

「心配ないって黙って俺に付いてこい」アラタはメンバーの様子を確認することも無くいきなり歩き始める、ちょっと待ちなさいよとっても少し心配だわ。

荷物は昨夜纏めてあったので歩くことそれ自体は問題は無かったけどまだ目覚めきっていない者もいたので不満なそれ、方角は昨日見た煙の方。

まだ朝なのでなんとか暗くなるまでには着けるはずだわ、本当なら獲物を捕らえて朝食を取りたいとこなんだけど動物一匹も見当たらないし。

アラタが足元の輪廻草を毟って口に入れ噛みだした「この草は食えるから噛みながら行こう、味は・・良くないが空腹はしのげる」

「キシャー、俺たちゃウサギかよレロレロオオオ」めいめい拾っているかと思ったけど草食ってるのは男だけだよ、女子チームはちゃんと非常食を確保しているから草食ってるふりして隠れてちょい食べしてる。

「俺たちのレベルが(一時的)に落ちたので無ければまた最初からやり直しだよ。」

「ところで昨日から考えていたが、ここはエウイネ、始まりの村ではないのか?」ねえねえアラタさん、まだ村に着いてませんけど。

「始まりの村・・ってゲームみたいだね」ミネバが足を伸びしてる、かっわいいいっ、賢者なのにベルトの沢山付いた黄色い短めのスカートがよく似合うんだよ、ここからすこーし下がるとパンツ見えるかな、私しゃがんでみる。「もうちょっと、おしいん」でも諦めた、なんか歩き方が上手だな。でもミネバちゃん悪戯っぽいウインクをしてくれたので私満足。

「ゲーっむ?板の?年寄りとか子供がやっている魔王城攻略のかシャー?」とシャラが舌なめずりしてる、癖だからしょうが無いけど下品で好きじゃ無いなあ。

「いやまあそうじゃなくて、うまく説明できんが、そうだとするとレベル上げにまた10年掛かるのかと」とアラタ。

「う・・ううと・・ア・・ラタさん・・俺たち今何歳・・ですか?」呟いたのはタンクのシンデレだけど体大きいのに声ちっさ、タンクって戦士だよね?。

そうよ、なんで年齢なの?記憶では確かに準備に10年かかってる、でも・・アラタは25歳なら15歳から冒険者、まあ判るよでもね。

「私、設定20歳みたいだけど今12歳よ」うんうんミネバちゃんは2歳から冒険者・・っってホントに?「早熟なのね」あ声出ちゃったわ。

「俺はたぶん16歳、これ実年齢のことだよね?」

「いやいやゲンブの実年齢って何のことだい、実も何も無いだろう」

「ああ記憶の欠落かな」アラタはため息をつき深刻そうにく眉間にしわを寄せる。

「俺、今まで何の疑問も持たなかったんだが、このレベルダウンと同時にいろいろ忘れているんじゃ無いか、何か違うんじゃ無いかと思うようになったんだ」

「うんうん君は人生に疑問を持ったんだね、若者にはいいことだよ、ボクがこの有能な聖女ヒナタが君を診断してあげよう」いつの間にかアラタの後ろに回り込んでいた黒長髪キュロットの影がおもむろに手をかざす。ボワーッと黒い霧が手にまとわりつく。

「ちょやめろ!君はマイナスバフの聖女だろうが!」アラタは慌てて胸の前で十字を切る、いやあ、私思うにこの世界違うなんか違うと思うぞ。

「失礼な、ボクは弱体化や呪いのほかに魔物召喚だって出来るんだから!」ヒナタは自分の両胸を両手で掴み魔物召喚の姿勢になっていた、もちろんこれで正式な召喚なんだけど板みたいな胸を掴むのは大変そう、てへ。

「余計悪いだろよ、とにかくやめろ!」アラタのショルダーアタックで姿勢が乱れて召喚が阻止された。

「ちっ、肝っ玉小せえな」舌打ちをしてる。

「でだな、俺は、ぼやーっと思い浮かんできた、25歳ってことになってるが、たぶん75歳みたいだと・思うんだそんな気がする」

「ウソだ、あんたを見ているととても年上とは思えない、いつも俺より馬鹿だし」

「そうじゃろ若いじゃろイエイ」両手を上に上げゆらゆらさせるアラタは少しやけくそだった。

ゲンブが地面に手をついた「いやいや若いってのは違うんだよ、そういうんじゃないんだよ、なんかもうこの先心配しか無いよ」

涙目でる。

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