《センディアル王国資料館・極秘ファイル》設定資料集①

王国持ち出し禁止資料きんししりょう―――――――


国家巫女こっかみことは…―――――――

通常とは異なる魔力や感覚の持ち主でレプリカント家の現当主マスティハ・レイズ・リズ・レプリカントのような、慈愛じあいという特定の神獣しんじゅうから祝福や恩恵を得る能力や未来を見通す未来予知能力みらいよちのうりょく第六感だいろっかんにより危険を回避する能力等、様々な能力を用いて国家の危機や国にとって重要な出来事を予見し、準備、回避又は余暇ならぬ方向へ行かないようにする為の重要ポジションであり、国家の運用の指針を決める組織であり、重要な仕事でもある。

ただ、国家巫女になる場合は採用試験さいようしけんは無い。領地を預かる領主や冒険者ぼうけんしゃギルド、王族貴族等おうぞくきぞくなどから噂や見聞けんぶんした事柄ことがらを下から吸い上げ国家巫女自身が巫女の素質があるかの判断をする。ある場合は本人が選択権を得る。但し、スカウトは未成年が多い為にご両親の判断かご両親の承諾を得て選択させる事が多い。

例外として戦争孤児や親に捨てられてしまった孤児の場合は王城で引き取る規則になっている。例外とは書いたが実は約五割の国家巫女達は戦争孤児又は親に捨てられた孤児が多い。


この世界の戦争孤児、孤児、孤児院について…――――――――

特に近年は帝国との小競り合いが多く帝国と隣接している村々、また魔界からは不侵攻条約は有るもののその約束を破棄し焼き討ちされてしまい、一部地域では孤児院が足りなくなる場合もある。その救済処置として王城で引き取る政策もしている。


魔界の侵攻について…―――――――――

魔界から侵略を受けていたセンディアル王国は突如とつじょして前国王が急死した際に若かりし頃の現国王が当時の《魔王》と呼ばれていた悪魔と交渉し、結果現国王が命知らず聞かん坊だった為にそれをいたく気に入った魔王が不可侵条約をその場で締結させる等、当時の魔王はそれなりに話しの分かる悪魔だったようだが、近年では虐殺や焼き討ち、人さらいや強奪等の被害が各地域から寄せられている程に被害が拡大しているようだ。


――――――――――――――

極秘ファイル①

レイズ村とレイズの森には一切の悪魔の干渉が無いと報告を受けている。慈愛を持つ領主兼レプリカント家の当主の力が強いのか…それはハッキリとした事が分からなかったが調査団ちょうさだんの半数はレイズの森には入れなかった。

男人禁制の森と言われるユニコーンの森は女性しか入れない。出来るだけ調査をしたいので現森の管理者セシリー・フォン・レプリカント殿にご同行頂き、森の案内をして頂いた。セシリー殿の後に付いて行った女性兵士であるシズル・ホンマ第二王国近衛隊隊長だいにおうこくこのえたいたいちょうと以下6名の女性隊員達の報告では森の中央部ではユニコーンは自由に遊んだり、寝転んでいたりと神獣専用捕獲鎖しんじゅうせんようほかくくさりや首輪等はしていなかったという報告があり、シズル・ホンマ第二王国近衛隊隊長だいにおうこくこのえたいたいちょうは疑問を投げかけたそうだ。

その疑問はセシリー殿はアッサリと答えてくれた。

「人も動物も鎖や首輪で管理するんでしょうか?違いますよね?では、自然のあるままに生かし、繁殖し、育て、そして死を迎えるというごくごく普通営みがユニコーンにも神から許された事実ではありませんでしょうか?」

因みに現在の飼育頭数は約二百頭程いるそうだ。

レイズの村にて我々騎士団にお茶を振る舞って下さったレプリカント家の執事セバスチャン殿という御仁ごじんは私のように魔力が少なくとも分かる程に凄まじい覇気を醸し出していた。詳しくは分からないが魔族のような雰囲気があるような気がしたが…「私はあくまで執事で御座います。そのようなご冗談はご勘弁下さいませ」とはぐらかされてしまい、付け加えてこちらが何か起こそうものなら騎士団と言えど間違いなく一瞬でやられていたと思う。

噂だがレイズの森に男性でも一人だけ許された人が居たそうだ。残念ながら当主マスティハ・レイズ・リズ・レプリカント殿にはぐらかされてしまい結局は真相は闇の中である。


極秘ファイル②

この報告書を纏めている時、時刻は既に午前零時ごぜんれいじを過ぎていた…。

気分転換にお茶を入れて窓を見ると北西方向に神獣と思われる飛行物体を確認したがあまりにも遠くを飛んでいる為、魔法強化しても目視では種類まで確認は出来なかった。しかし、国王様に是非ともご報告したいので空きページにこの文章を残しておく。


神獣ユニコーンとレイズの森とその周辺の調査ファイル

ファイル製作者 第十王国騎士団だいじゅうおうこくきしだん 騎士団長きしだんちょう ブリジッド・ブリッジ


―――――――

誰かの手記 【複製前】

もし、この手記を誰かが見つけたのなら誰でもいい…

私の代わりにこの危機を殿下でんかに―――――が来ていることを知らせて欲しい。私は――の英雄として――――――を食い止めている。レイ――は――――させはしない、ユ―ーンはレプリカント家の大事な――――――――。


私は待っているぞ―――ール――は来て下さるはずだ。


すまない、抑え込んでいた――は残念ながら間に合わないようだ…あの怪―を抑えれないようだ。

最後に生きた証にマス――ハ、愛している


別紙添付

『手帳は恐らくレイズの惨劇を抑え込んだ者の手記かと思うが、全てを解読するには修復士の魔法が必要不可欠となる為、修復士が見つかるまではこの王都十三番書物保管庫おうとじゅうさんばんしょもつほかんこにて保管する』

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