第11話 朝の行動【7月19日】

♪ミーンミンミンミンミンミンミンミーン(ミンミンゼミが鳴く声)


 午前7時半、僕が起きると、今日子さんは夕ご飯の準備が終わったところだった。


「晩御飯はいつもどおりでお願い。もう出かけるから、あとはよろしくね。」

 そう言って今日子さんは足早に出かけて行った。

 よほど急いでいたのか、今日は『訂正』を受けることはなかったし、昨日のメッセージについての追撃もなかった。

 最近は、流行りのウイルス病で人手が足りないようで、休みが以前にも増してなくなっている。大変なのは理解していているつもりだけど、僕も無感情ではないので、折り合いをつけたいところだ。


 寝ている未来を起こして、朝ごはんを用意する。

 朝は、ゼリーがお気に入りのようで、毎日味の違うゼリーを逆手で持ったスプーンで一生懸命ひろって食べている。うまく口に運べないこともあるけど、自分で手を動かさないと上手くならないので、基本的には放任している。


 ゼリーを食べ終えた未来に、

「おしっこ行ってみる?」

と聞いてみたけど、あまり行きたそうな顔ではなかった。トイレトレーニングは、まだまだ時間がかかりそうだ。


 未来が朝の子供番組を見ている間に、オムツを変えて、保育園の体操服に着替えさせる。

 今見ている番組は、昨日、色葉さんが髪につけていたウサギのキャラが遊んだり踊ったりする内容だったけど、未来は夢中でテレビを見ていた。やっぱり、カワイイは正義なんだろうか。


 午前8時15分、準備が終わって外に出る。朝だというのにミンミンゼミが元気よく鳴いていた。今日も暑くなりそうだ。

 僕は、未来に帽子をしっかりと被せて、保育園に向かい、未来を預けた。


「さて、今日はどうしようか。」


 いつもどおりノープランだったけど、昨日の由依さんの、また、という言葉が気になっていた。

 今日も図書室に彼女はいるんだろうか。気になった僕は、いったん家に帰り、食器を片づけて、洗濯を干し、コーヒーを一杯(ブラックはまだ苦いのでカフェオレで)飲んで、学校に行くことにした。

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