第3話 再び思いを伝えるために

月末の映画を1週間後に控えたある日、拓実は好きという気持ちをより伝えるため、就職祝いも兼ねて智花にプレゼントを渡すことにした。

去年のクリスマスの日、僕は彼女に電話で告白していて、智花も「拓実が私のことを好き」という気持ちには気づいている。もしも彼女も僕のことを好きなのであれば、プレゼントを渡すのは効果的ではなかろうか。


「うーん…何がいいのかな…」


拓実は男友達の亮介りょうすけと一緒に、近くのショッピングモールにプレゼントを買いに来ていた。


「亮介、どれがいいと思う?」

「分からないよ~自分があげるものなんだから自分で決めな」


拓実が買おうとしているプレゼントとは、「ハンカチ」だ。学校の先生になる智花にとってハンカチは毎日の学校生活で使うものになるだろう。プレゼント選びとか苦手な我ながら最高のプレゼントを選んだと思っていた。


「よし!これにしよう!」


僕が選んだのは彼女の好きなオレンジにワンポイントの刺繡が入ったハンカチだった。

(よし!これで1週間後の映画がさらに楽しみだ!)


僕たちが大学を卒業するまで2カ月半前のことだった…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る