第39話:千島列島奪回完了! そして……

「日下艦長、伊400はどんな感じかな? それと皆は元気かね?」


 朝霧の質問に日下はあれから7名が各転移先の世界に残りましたが祭主様の報告によるとしっかりと元気でやっているとの事と数々の平行世界を旅している過程でSFにしか出て来ないような数々の兵器や日々に役立つ機械を手に入れたことを話す。


 そして現在、複雑に絡まっている混沌とした世界にいて最悪な事に伊勢神宮内宮が何者かに放火されて転移不能の実情を話すと朝霧翁はそうかと言い、ある事を話す。


「いずれ近い内にある人物と邂逅するであろう。彼に我が朝霧グループが開発したある物を預けた故、彼と邂逅したら受け取るがよかろう」


「……彼ですか? それはどういった方ですか?」


「ふむ、日下艦長が最初からいた元の世界の者で令和××年からこちらの世界に転移して朝霧造船所が開発した最新鋭艦の艦長としてある平行世界に旅立っていった者だ」


「……日本を救う為ですね?」


「いや、彼の目的は歪められた日本史・世界史を正常に戻す為だ。詳細は彼に聞くと良かろう! そちがいた1999年8月以降の世界情勢や日本情勢を知ることが出来るだろう。そろそろ通信時間終了だな、吉田君にもよろしくと伝えてくれ。次に話せるのは300年後かな? それまで健勝あれ」


「……分かりました、最後にその彼の名前と最新鋭艦を教えていただけないでしょうか?」


「うむ、彼の名は『富嶽武雄』で艦長をしている。乗艦している艦は、熱核融合機関を搭載した駆逐艦“雪風”だ。一から建造した船だぞ? 楽しみにしておくがいい。では、これにて失礼するよ」


 そう言うと立体映像通信の電源が切れて只の鉄の箱になったのである。

 すっかり冷めたコーヒーを口に運んで一気に飲み干すと質素なベットに寝転んで目を瞑る。


「富嶽武雄……俺と同じ世界にいた者か、そして……雪風か、朝霧グループが建造した船ならとんでもない性能だな」


 日下は知らずの内に睡眠の世界に入り込んだのである。


♦♦


 占守島を占領した第四艦隊は南下をしながら各島を制圧していた。


 旗艦“ふそう”艦橋では田端が満足そうな表情をしながら各報告を聞いていてこのままうまくいくといいなと言う。


 その時、副官の山口がやってきて釧路港から輸送艦“おおすみ”しもきた“が出航して択捉島に向ったことを言う。


「よし! 恐らく択捉島・国後島・歯舞群島・色丹島には露助軍が駐留しているだろうから本腰を入れていかないといけないな?」


 田端が予想した通り、サハリン区の一つであり最重要拠点であった為、かなりの防空体制を整えていたが全世界規模で発生した通信障害で全ての防衛機構が麻痺していたのである。


 それ故、島内は大パニックになっており復旧を試みている時に沖合に日本艦隊を発見した事が伝わると激しく狼狽する。


「ヤポンスキーめ! 力づくで制圧しに来たのだろう! 島内全域に警報を鳴らして臨戦態勢だ!」


 4島を統括する『グレリコ・ルーチェ』大将は恨めしそうな表情で沖合の日本艦隊を睨むが本部とも連絡が取れないので独自に動くしかなかったのである。


 南から輸送艦“おおすみ”“しもきた“が北からも”さがみ“が陸上部隊を積んで迫ってきていたのである。


 “ふそう”からこの時の為に格納庫に待機していた戦闘ヘリ“アパッチ”“コブラ”が快調なローターを回しながら甲板から離艦して行く。


 そして輸送ヘリ“チヌーク”二機も陸上部隊を載せて離艦していく。

 積めるだけ積んだ結果、何とか格納できたのである。


 既に戦闘ヘリを認識しているロシア軍部隊であったがレーダーは元より誘導ミサイルも使用不可能なので日本に一切被害無く空からの侵入を許したばかりか海上からも輸送艇による上陸が行われて24時間後には遂に北方領土4島がロシア国旗の代わりに日章旗が翻ったのである。


 降伏した各島の駐留軍は中古の客船で順次、ウラジオストック港へ武装解除後、撤退していったのである。


 日本国が千島列島全域を奪回した翌日、電離層が自然復旧していきやっと世界規模での通信障害が治りつつあり一斉に全世界中でありとあらゆる無線等が飛び交わる。


 日本本国では各ゼネコンに千島列島守備に必要な設備の建設を依頼して特に占守島の防御施設は堅固にするよう要請する。


 今まで世界規模でのウイルス騒動等で経済が落ち込んでいた時なのでこぞってゼネコン各社が手を挙げて採用されることになったのである。


 市ヶ谷国防省は無線障害が無くなったと同時にロシアが本格的に奪回する為の軍を動員する過程で態勢を整えていたが非難するだけで軍事行動は一切、行わなかったのである。


 勿論、カムチャック半島からの占守島攻撃も予想されていたが何も起こらなく反対に何か策謀でもあるか? と判断して警戒を強める。


 それは伊400でも同じで“大鷲”を通じて情報を分析しているがロシア海軍は日本海に一切存在してなくほぼ全軍が東シナ海に集結してることをキャッチする。


「奴等の目的は何でしょうか?」


 地図に記されたR国やC国の艦船等の位置を見ながら橋本が日下に質問するとそれは台湾侵攻しかないだろうと言うがC国とR国が共に手を組んで侵攻するとは思っていなかったのである。


 それから三日後、伊400は神奈川県沖合に達した時に急報が入る。


「……C国とR国連合軍が金門県に殺到して圧倒的な火力の前に駐留部隊が全滅して制圧された?」


 100年前、蒋介石率いる国民党と毛沢東率いる中華人民共和国が派遣を掛けて戦ったが蒋介石は敗北して台湾に逃げ込むがそれを追ってきた中華人民共和国を反対に迎撃成功した場所である。

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