第4話:反撃開始!
一年前に日下が日本に引き渡した技術は順調に日本全土に展開していて殆どのC国艦船の位置を把握できていたが未だ稼働していない機能もある。
「富下さん、当艦が把握しているC国潜水艦ですが原子力を含む二十隻がこの海域に潜んでいますね? これを全隻撃沈しようと思いますがいかがですか?」
「それは……凄いですね? 是非、こちらもやりたい限りですが……未だ先制攻撃することは憚るので……C国との全面戦争は避けたいのが国の考えです」
富下は悔しそうな表情で答えると日下も頷いてその気持ちは分りますと言い、C国潜水艦殲滅はこの伊400単艦で実施しますと言うと富下は吃驚した表情になるが直にそれが一番いい方法だと思い頷く。
「日下さんの伊400は何処の国にも属していませんし……C国も勿論、把握出来ていないでしょう。ちなみにC国潜水艦全隻には米国潜水艦が監視をするために張り付いています」
富下の言葉に日下はゆっくりと頷くとそこは問題もないし遠方から一方的にC国潜水艦のみを撃沈すると言うと富下は呆れた表情になるが直に真剣な表情になりお手並みを拝見させて頂きますと言うとお互い敬礼をして通信を終わる。
「……さてと、諸君! 殲滅の時間だ! これより伊400は東シナ海を中心とするC国潜水艦二十隻を撃沈する!」
日下の言葉に橋本は総員戦闘第一級態勢のベルを鳴らす。
艦内全域にベルが鳴り響くと非番や休憩を取っていた乗員が飛び起きて各持ち場に飛んで行くように走り込む。
僅か数分で戦闘配置が終了して各区域から配置完了の報告が入る。
「……先ずは……晋級長征11号~18号の8隻を仕留めるぞ、一番から八番まで五十三式誘導魚雷を装填! 詳細な位置を確認して座標を魚雷管制室に転送! 一斉斉射だ!」
魚雷格納庫から艦内クレーンによって誘導魚雷が出されて自動で魚雷発射管に装填する。
魚雷管制室では送られてきた座標を各魚雷にインプットしていく。
インプット作業を終えた事をCIC区域に送られていきそれを確認した徳田大尉は日下艦長に報告する。
日下は頷くと右腕を上に伸ばすと数秒間そのままだったがゆっくりと右腕を90度降ろすと発射命令を出す。
「全弾発射!」
その言葉を聞いた徳田はタッチパネルに表示されている各一番から八番の魚雷の形をしたシンボルの横にある一斉発射の箇所をタッチする。
伊400艦首の魚雷発射口が一斉に開口すると同時に誘導魚雷が凄まじい威力で海中に押し出される。
それと同時に魚雷機能が作動して一瞬で最高速度三百五十ノットまで増速して獲物に驀進していった。
日下は時計を見ながら呟く。
「最初の命中まで二分二十四秒だな、最終は五分三十八秒か! 次弾装填!」
♦♦
伊400から魚雷が発射される三十分前、先島諸島南沖に展開するC国原子力潜水艦“長征11”から“18”はICBM弾道弾を積んでいて既に日本各地の都市をインプットしていて命令が出た瞬間、発射する事になっていて海中に潜んでいた。
「艦長、未だ本国から命令が来ないのですか? 小日本に天誅を下してやりたいのですが?」
晋級“長征11号”ではいついかなる場合でも弾道ミサイルを発射できる態勢にしていて本国からの命令一つで発射する事になっている。
「まあ、本格的な全面戦争は北京も嫌だろう。小日本の後ろには忌々しい米国の存在もあるからこれからどうなるか分からないな?」
「しかし、陸では既に先島諸島は制圧しているのですね? 沖縄も間も無く手に入ると聞いていますが?」
艦長が副長に対して何か言おうとした時に突如、彼らに災厄がやって来たのである。
凄まじい爆発音と震動がしたかと思うと船底から海水が濁流のように押し寄せてきて一瞬で船体は真っ二つに割れて爆発と共に海底に沈んでいった。
伊400が放った誘導魚雷は無音航行と共にステルス機能がついていてソナーにもレーダーにもキャッチする事も出来ない超最新鋭のホーミング魚雷であったため、彼らは何が起きたかわからないまま海底に沈んでいったのである。
魚雷は次々と命中して僅か五分後には八隻の晋級原子力潜水艦が撃沈されたのである。
全隻の潜水艦の乗員達は何が起きたか一切、分からずに天に召されて行ったのである。
「ふむ、上々だな!」
司令塔にて日下はC国潜水艦を示す八個の光点が消えたのを確認すると満足そうに頷く。
既に次弾も装填されていていつでも発射可能であった。
「艦長、いつでも発射命令を!」
徳田大尉の言葉に日下は頷くと「撃て!」と発すると再び八発の誘導魚雷が放たれてロックオンした獲物に向って行く。
航続距離千二百キロを誇ると共に深度数百メートルを三百五十ノットの高速で驀進していく誘導魚雷を阻止できる存在は皆無であった。
その八本の魚雷はC国が誇る最新鋭攻撃型原子力潜水艦八隻に次々と命中すると同時に大爆発を起こして船体を真っ二つにして海底に沈んでいったのである。
勿論、一瞬であった為、無線等を発する事も無く破壊されたのである。
残りの四隻も又、彼らと同じ運命を辿ったのである。
「艦長! 敵潜水艦二十隻を全て撃沈完了です!」
「うん、流石だな! よし、この結果を富下さんに伝えるとしようか?」
伊400は通信可能な深度まで浮上すると富下艦長にコンタクトをとる。
直ぐにモニターに富下が映ると日下は東シナ海や琉球諸島・先島諸島沖に潜んでいた潜水艦全隻を始末したと伝えると案の定、富下は呆れた表情をするが直にお礼の言葉を言う。
「伊400単艦で世界中の軍隊と敵対しても完勝できますね? しかし本当に有難うございます。これで安心して陸上自衛隊特殊部隊を展開出来ます」
富下の言葉に日下は前から考えていたことを説明すると富下の表情がみるみる笑顔になっていく。
「光学迷彩・ステルス機能が付いた装置を二十人分、貸与して頂けるのですか?」
「ええ、喜んでお貸ししましょう! まあ、流石にこの装置は差し上げる事は出来ませんがね? 動力として超マイクロ核融合炉チップが組み込まれていてメンテは伊400艦内でしか出来ませんので」
日下の言葉に富下は頷くと直ぐに総理を始めとする幕僚本部に知らせますと言う。
返答があった時点で再び通信を行う事を確認した日下は敬礼をして通信を終わる。
「さて、引き続き監視体制を敷くとしよう!」
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