第3話:再会!
「う~む……どうやら新たな地にジャンプしてきたと思うのだが……何処だろうか?」
伊400司令塔にて『日下敏夫』海軍少将は横にいる『橋本以行』先任将校に尋ねると橋本も首をかしげながらいずれ分かるかと思いますと言う。
「ま、それもそうだな? それよりシステムチェックはどうだ?」
「火器管制及び核融合システム異常認めず! 武御雷神の矛システムも良好!」
次々と入る報告に日下は頷くと偵察ドローン射出準備を命令する。
「しかし……新見君が艦を降りたのは痛い喪失だったな」
先の世界で二つの王国の争いに巻きまれた日下達は皇女と敵対する海軍との戦いで死闘を繰り広げて何とか勝利を掴んだがその過程で皇女と新見が恋に落ちて最終的には艦を降りる事になったのである。
「ええ、まあ……皇女様と結ばれて一件落着でしたからね! しかも我々にとって至高の技術を褒賞として授与されたのは最高でしたね」
同じく司令塔にいる『吉田重蔵』技術長がホクホク顔で言うと日下達も確かにそうだなと頷く。
褒賞として皇女から門外不出である“亜空間シールド”システムを受け取りその機能を装備した伊400はパワーアップしたのである。
「さあ、この話はここで終わりにしましょう! 艦長、どうやらこの世界は一度来た所ですね? どうやら例の竹島奪回作戦時の日本の世界ですね」
西島航海長が書類片手に司令塔にやってきて話すと日下はほう……と言うと西島が持ってきた経度と緯度の紙を見る。
「……ふむ、どうやらこの地点は那覇市沖だな……」
「あの女傑さん、どうなったのだろうか?」
日下がそう話した時に通信士から報告が入る。
「何……? あの潜水艦“うりゅう”から無電が? 何と言ってきたのだ?」
「あの時のお礼と再び未曽有の惨事が発生して大変なことになっていると」
「そうか、確か艦長は……富下二等海佐だったかな? では合流地点の指示をしてくれないかと伝えて欲しい」
日下の指示を聞いた通信士は直ぐに引き返して彼とコンタクトを取りに行く。
数分後、再び通信士が戻ってきてここから北東十キロ地点の海中で落ち合うことになり、伊400はその地点に向かう。
♦♦
一方、伊400が再びこの世界にやってきた時、日下達は気付かなかったがR国の超最新鋭潜水艦が海中に潜んでいたのである。
ウォーター推進ジェットシステムを搭載したステルス性が高い特殊合金で固められた原子力潜水艦で艦名は“レーニン”である。
「同志、フランスキー大佐! 二時間前に突然、発見した謎の潜水艦ですが西側は元より東側の何処にも合致しない潜水艦です。それと……その潜水艦ですがスクリュー推進ではなく当艦と同じウォーター推進ジェットシステムを搭載しているかと」
副艦長のウラジミール中佐が一枚の紙を持ってきて艦長に渡す。
「ふむ……何処の国にも存在しない潜水艦か! その潜水艦は現在、何処に?」
「……それが……凄まじい性能を誇るウォーター推進ジェットシステムで一切の無音航行でしかもステルス性能が当艦以上で直ぐにロストしました」
フランスキーはじっと暫く考え込むとモスクワにこの事を報告する事にして再び本国から指令を受けている任務に向うことにしたのである。
「……いずれ再び出会う気がするな、恐らくだが……相当、凄い男だな! 艦長は」
潜水艦“レーニン”は再び広大な海中に潜っていった。
♦♦
定刻通り、伊400と“うりゅう”は海中でコンタクトをとる。
「お久しぶりです、日下艦長! お元気そうで何よりです」
前に邂逅した時に、富下艦長に伊400とのTV通話ができるモニターを渡していたのである。
TVモニターに映る日下と富下はお互い、笑顔で再会を喜ぶ。
「富下二等海佐、貴官の時間では未だ一年ですが我々は七十五年間です。もう、時間の感覚は麻痺していますがね? 富下さんもお変わりないようですね」
「ええ、こちらは変わりないですが日下艦長は凄い体験をしているのですね? 羨ましい時があります」
二人は少しだけの間、とりとめない会話をしていたが富下が真剣な表情になると日下も表情を改めて現在の日本の危機を聞く。
その状況を聞いた日下は厳しい表情をしながらその売国奴連中を始末しなければいけない事を富下に言うと彼も又、頷く。
「笠間総理も怒髪天の如く怒り狂っていましたよ、まあ二人だけの時ですがね? しかし北海道は既に六割の土地が制圧されています。各旅団が駐留している地域は未だ制圧されていませんが時間が経てば補給路を断たれて孤立です」
日下は富下から本州・九州・四国に関しては、売国奴の九割九分は粛清されていて正常な政治が行われているという事を聞く。
「とにかく、先ずやるべきことはC国の潜水艦を始めとする艦艇を叩き潰さなければいけないな。富下艦長、海上自衛隊が保有しているC国の潜水艦の現地点と音紋を始めとする情報を提供して頂けませんか?」
日下の要請に富下は既に防衛省と官邸に連絡して許可申請を出しているとの事で後、数分で返答が来るとの事を言ってくれる。
流石は富下艦長だと日下が感心しているとそれから数分後、富下から笠間総理の許可を頂いたので今からデータを転送するとの事。
“うりゅう”からデータを転送してもらった各種データが伊400の情報分析区域で解析されてCICと同期リンク開始する。
「さあ! 反撃の始まりだ、日本本土を汚す糞共を抹殺しなくてはな」
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