第10話  メル友・・・その10

さてと、夕飯の準備も出来たことだし、そろそろメールでも開いてみようかしら?

でも、今年も、もう、あと3か月。一年なんて、あっという間って感じ。

まだ10月だっていうのに、夕方になると、外は、もう真っ暗になってるし。

などと、ひとり言を言いながらコーヒーカップを左手に持ち替えて

右手でクリック、ポン!とメールを開いてみた。


お~!お~!来てる!来てる!

ってか、昼間からメールが5通も来てるんですけど。

あんたは、いったい、昼間っから、何やってるわけ?

とりあえず、昨夜届いていた3通のメールの方から順に開きましてっと。


「ねぇ~、どうして、わかったの?」


ふむふむ・・・2通目はどうかしら?


「ちょっと、質問に答えてよ?」


んで、昨夜の最後のメールはっと・・・。


「起きろ===!」


おいおい・・・。で、朝から来てるメールはっと・・・。


「おはよう~カバチ、ねぇ~起きてる?」


寝てるわよ!


「カバチ~!もう10時よ!起きてるんでしょ?」


だから、寝てるって~の!


「カバチ~!もうお昼よ!ってか、起きてるんでしょ?どうしてメールくれないの?」


だから、その時間帯は、まだ寝てるって、いつも言ってるでしょうが!


「ねぇ~、どうして無視するの?」


無視じゃなくて虫退治中よん。で、これが最後のメールね。


「無視するんなら、カバチに会いに行くわよ。いいの?」


おいおい・・・。あたしに会いに来るって、あんたは何を考えてんのよ?

さて、それでは、そろそろメールを届けてあげましょうかねん!


「昨夜は、ぐっすり眠れたかしら?」


きゃはは!あたしって小悪魔だわん!ってか、速攻でメールが返ってきたし・・・。


「ちょっと、どうしてメールをしてくれなかったの?」


「寝てたわよ」


「寝てたって、今まで寝てたの?」


「んなわけないでしょ?午後2時頃起きたわよ」


「どうして起きたらすぐにメールを返してくれなかったのよ?」


「昼間メールしたって雰囲気が出ないでしょ?」


「雰囲気って、何の雰囲気よ。ホントは無視してたくせに」


この子って、これでも、昔はあたしに従順だったのよ。むふふ・・・今は、どうかしらん?


「あんた、ずいぶんおしゃべりになったわね?」・・・ぐふふ・・・の、ふっ!


「ねぇ~、本当にあなたなの?」


あなたなの?って、あなた、じゃなかったら、メールの相手はゾンビだとでもいうのかしら?


「あたしがあなたじゃなかったら誰だっていうのよ?」


「そうじゃなくて・・・」


「そうじゃなくて?なんだって言うわけ?」


「だからね・・・わかるでしょ?」


「裕子って、モジモジするところは、昔から変わってないな」・・・ちょっと男言葉で。


むふむふ、しながらコーヒーを一口・・・二口・・・煙草をぷかりぷかりと・・・。

ん?

んんん?

おおお===っと!

またまたメールが止まったわん!

それじゃ~、ちと休憩ということで、夕飯でもパクパクしようかしらねん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る