愛して欲しいと言えたなら
猫の雪遊び
メル友
第1話 メル友・・・その1
それは、あるメル友サイトで知り合った女性との何気ない会話から始まった。
「私ね、初体験の相手と知り合うきっかけがね、ちょっと変わっててね」
「変わってるの?」
「そうなの、私が高校1年の時だったんだけど、しかも12月だったのよ」
「冬の出会いなんて、ちょっとロマンチックじゃない」
「そうなのよ。とは言ってもさ、もう30年以上も前だけどね」
「あんた、いま、いくつなの?」
「私?今年で、もう50歳になるわ。早いもんよね~」
「それじゃ、あたしと2つ違いじゃない?あたしは今年で28歳になるのよ」
「うそ?ってか、どこが2つ違いなのよ?」
「あはは!確か、去年も28歳だったと思うわ」
「何、それ?で、ホントは何歳なの?」
「あんたと2つ違いで52歳よ」
「私より年上なんだ。そういえば、あの人も2つ上で、確か、学年が3年だったわ」
「へぇ~、なんか良い感じじゃない?」
「私が住んでいた所は田舎だったから、余計にドキドキしちゃってね」
「あんた、田舎は何処なの?」
「うんとね、〇〇県で〇〇市って街よ」
「あら?偶然ね?あたしが住んでる所じゃないの?」
「うそ・・・?ホントに?」
「本当よ!」
「じゃさ、どこか街の地名言ってみてよ」
「いいわよ、それじゃこんなのはどうかしら?神尾町、竹野原町、それから南愛町なんてどう?」
「うそ?ホントに私の住んでた街だわ。ってか、ちょっと信じられないけど」
「あたしも、ビックリだわよ。確かに、メル友とか探してれば、いつか、もしかして?とは思ってたけどさ」
「私は、もっと、ビックリ。だって、まさか、私の住んでた街のオカマとメル友なるなんて思ってもみかったわよ」
「だから、オカマじゃないってば!あたしゃ男には興味ないし」
「あはっ、そうだったわね。オカマじゃなくて女装家だったわね」
「違うわよ!女装家じゃなくて女性化よ!」
「あはっ、どっちでも同じようなもんじゃない?でも、写真を見ると、どう見ても女性にしか見えないわよ」
「でしょ?でしょ?あたし綺麗でしょ?」
「あはっ、それを自分で言わなければね?」
「いいのよ!誰も言ってくれないんだから!」
「でも、ホントにその恰好で普段から生活してるの?」
「そうよ!」
「お買い物とかに行くときも?」
「そうよ、だって、あたしスカートしか持ってないし」
「マジ?」
「マジ!」
「ちなみに、カバチはどこの高校だったの?」
このカバチと言うのは、ネットで使うハンドルネームみたいな感じである。
「それは、内緒よん!」
「え===っ!ケチなんだから」
「それよりさ、あんた高1の時のその男との出会いのきっかけって何だったのよ?」
「教えな~い!」
「あら?さっきのお返し?もう、この子ったら」
「ねぇ~当ててみてよ!とは言っても、絶対に当たらないと思うけど!」
「ん・・・?絶対に、当たらないの?」
「そうよ、彼との出会いのきっかけって、絶対にありえないような出来事だったのよ」
「ありえない出来事?絶対に?それじゃ、当ててみようかしら?」
「いいわよ!それじゃ、当ててみて!」
「500円玉?」
ん?メールが止まったわね・・・。
あれ?という事は、もしかして、当たったのかしら?
この文字を送ったあと、次のメールが届くまで少し時間が止まってしまったみたいである。
なので、のんびりコーヒー作りタイムを楽しんでいるとメル友からメールが届いた。
「ねぇ~?なんで分かったの?」
「もしかして、当たった?」
「だから、なんで分かったの?って、訊いてるでしょ?」
「あっ、お隣のおばあちゃんが遊びに来たみたいだから、続きは、また今夜ね」
「ちょっと!こら===っ!」
と、メールを閉じて、おばあちゃんとお茶のみタイムのあたしなのでありんす!
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