第27話お姉様の訪問1
ソファに座り、少しボーとしていると、あふ、と欠伸が出そうなのを必死で我慢し飲み込んだ。
「お昼寝の時間ですね」
ターニャが拭き掃除しながら笑った。
「昼食を沢山食べてお腹いっぱいになったからよ。ターニャだって見てたわよね、私いつもより食べたもの」
慌てて言うと、また笑われた。
「そんな言い訳されなくても皆知ってますから大丈夫ですよ。ご主人様の帰りを待っているんでしょ?いつも遅いみたいですね」
「まだ、10日程しかお出迎えはしていなけど、早くて11時。遅い時は2時すぎていたわ」
それでも毎日待っている。
「噂で遅いと聞いていましたが、本当に遅いですね」
「食事もされていないみたいで、病気にならないか心配よ」
喫茶店に一緒に行った時から思っていたが、顔色があまり良くない。まだ、サージュ様が1日どんな風に過ごしているかはよく知らないが、あれだけ睡眠時間が少ない中、食事もたいして食べてないと聞けば、身体に悪いに決まっている。
若いながらも手腕を発揮し、莫大な財を手に入父様が言っていたが、その分仕事も大変なのだろう。
やっぱり太陽を浴びるべきよ。
また欠伸が出そうだったが我慢した。そろそろ温室に行こうかな。
「来週には新しい食器が来るんですよね?そうしたらご主人様もお屋敷で食事される事が増えますよ。だって、お2人で選ばれたんでしょ?」
「まあ、そうね。2人で選んだと言えばそうかもね。だってサージュ様も納得されたから」
昨夜、サージュ様が来週には頼んでいた食器が納品される、と教えてくれた。
それにターニャが言うように2人で選んだ、と言えばその通りだから、本当に食事を一緒に出来るかもしれない。
「私達も楽しみしてるんですよ。今のは大分使いましたからね。あれ?誰が来ましたね。今日は、お客様が来る予定は聞いていませんが」
庭から馬車の音が聞こえてきた。
「サージュ様が頼まれた方なのかもしれないわね」
「そうですね。さ、リーン様、今日はお昼寝の準備をいたしたょうか」
「ううん、要らないわ。いつもの様に庭園行ってくる」
「また、ですか?何が楽しんですか?」
「楽しいわよ。そのお陰でほらサージュ様攻略法が上手く行ってるでしょ?」
「まあ、それはそうですけど。そうだ!刺繍持っていったらどうですか?」
「うっ、それは、嫌よ」
「まあね。あの下手くそぶりでは習ってもたいしてあまり上手くなりそうにないですものね」
苦笑いしながら、はっきり言われた。
「もう少しこの屋敷に慣れたら、お母様に習うようにするわ。お母様はとても裁縫が上手なのよ」
「それは知ってます。リーン様の服の刺繍は見事ですからね」
「でしょ。という訳で、いつもの様に庭園に行って来るわ」
「分かりました」
立ち上がると、扉を叩く音がした。
ターニャがすぐに扉の方に向かい、話をしていたが、息を飲むのが聞こえた。
「・・・リーン様。レーン様がお越しとの事です」
一気に血の気が引いた。
「お姉様が!?」
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