7話 継承者
狙撃がしやすいのは木の上だ。それゆえに敵にもバレやすい。だからこそ、あえて自分も狙撃しずらいが敵に気づかれない上を選ぶとは…いいセンスだ。・・・でも俺には通用しない。
「悪くないじゃないか。」
バックステップ1回で矢をかわし、そのまま着地したソフィアの首元に手刀をかざす。
「…参りました。」
「ん。なかなかいいじゃないか。これ俺が教えなくても軍に入るぐらいのふ実力はあるんじゃないか?」
ソフィアの実力なら軍で後方火力として十分機能する。最悪、近距離戦でも劣勢にはならないだろう。
「いえ。私なんてまだまだです。40弱のスキルを持つバケモn…天才に比べたら。」
ん?今『バケモノ』って言おうとした?え?泣くよ?泣くぞ?泣いちゃうぞ?
「ま、これからずっと続けていけば間違いなく常識の範囲内では強くなれるよ。規格外に。」
あれ?今言ってることおかしくね?「常識」と「規格外」って矛盾してね?まぁいいか。
「そうですね・・・これからもよろしくお願いします!」
こんな感じで、あっという間に半年が経った。その間も当然、ギルド活動や学校も両立させていた。ちなみに、途中からアリアも訓練に参加するようになった。なんでも、「ソフィアちゃんだけズルい!」とのことだ。この半年間、本気で鍛えたのもあって、俺たちのスキルは大きく成長していた。
アリア
———————————————————— HP65732/65732 MP49208/49208
スキル
『ナイフ適合Lv8』『急所突きLv6』『気配消去Lv3』『HP自動回復Lv4』『再生Lv2』
称号
・ナイフの異端児 ・不屈の戦士
————————————————————
ソフィア
————————————————————
HP59774/59774 MP68224/68224
スキル
『矢無限製造』『弓適合Lv9』『気配消去Lv6』『MP自動回復Lv3』『命中Lv3』
称号
・弓の異端児 ・百中の狩人
————————————————————
そして俺
————————————————————
HP300000/300000 MP 300000/300000
スキル
『神託』『大賢者』『重力操作』『物質支配』『千妖刀召喚』『鑑定眼』『ストレージ』『言語翻訳』『魔導の極み』『恐怖の邪眼』『呪殺の邪眼』『死滅の邪眼』『傲慢』『暴食』『スキルページ』『HP自動回復Lv10』『MP自動回復Lv10』『ステータス偽装Lv10』『炎魔法Lv8』『水魔法Lv8』『風魔法Lv7』『土魔法Lv7』『光魔法Lv5』『闇魔法Lv6』『深淵魔法Lv7』『治癒魔法Lv8』『物理耐性Lv9』『魔法耐性Lv9』『恐怖耐性Lv8』『邪眼耐性Lv9』『状態異常無効Lv7』『探知Lv8』『予見Lv8』『危機察知Lv6』『隠密Lv6』『思考加速Lv7』『薬合成Lv8』『各種武器適合Lv8』『回避Lv6』『命中Lv8』
称号
・異界人 ・神に愛された者
・重力の覇者 ・処刑人
・超越者
————————————————————
はーいみなさん立派に規格外になりました☆
俺は元々としても、アリアとソフィアの成長度合いは異常と言えるほどだった。HP、MP両方ともメチャ上限上がってるし、普通に半年でスキルを二つも得るなんて、常人では考えられない。まぁ常人じゃない人が鍛えたんだけど。
アリアに関しては完全に近距離型になった。『HP自動回復』はHPを自動で回復してくれるが傷は治らない。だから仮に、骨が折れてれば体力だけが戻っても戦えない。でも『再生』があれば傷を回復できる。HPは回復できないが時間経過で傷を治せるスキルと、傷は治せないがHPを自動で回復できるスキルを持ったアリアを一般人が正面突破するは難しい。
ソフィアに関しても圧倒的な数値だ。もともと弓の適合が高いソフィアに、『命中』が加わった。もともとの素質と合わせて、狙いを外すことはほとんどない。それに仮に接近されても、ソフィアなら格闘技で制圧できる。できれば敵に回したくない。
俺はもうそうゆうことだよ。ね?言わなくても分かるでしょ。ただ大きな変化といえば、『スキルページ』の獲得だった。
この世界では新規スキル、称号の獲得、スキルレベルの上昇により、「ギフト」と呼ばれるものが付与される。本来ならその「ギフト」を消費してランダムに新規スキルを獲得するのだが、『スキルページ』は自分の好きに「ギフト」を割り振れる。さらに俺は転生した際に大量のスキルを獲得していたため、使用していないギフトが山のようにあった。
つまり、「好きなスキルGETし放題!!」ってこと。今日の学校のつまらん座学は終わった!なかなか時間が取れなくて見れなかった『スキルページ』をやっと見ることができる!
「いやー初の『スキルページ』…なんか…量が多すぎて…わかんね…」
「どうしたの?ルイ?」
「いやーほら、最近ゲットしたスキル使ってるんだけどさ、なんか情報量が多くて…」
マジやばい。多すぎる。例えるなら、幼稚園児に2分で元素記号を全て覚えろと言うぐらい多い。
「『ギフト』のやつ?私なら、とりあえず実用性の高い『回避』と『命中』のレベルを上げるかな。」
確かに…この2つは他のスキルと組み合わせるとかなり強い。よほどイレギュラーでもない限り盤石になる。
「そっか…ありがと!とりあえずそうしてみる。」
さぁ、やってみるか。『スキルページ』のウィンドウを開いてそのスキルをタップ。そしてレベルアップを選択して…よし。これでどうだ!
〈熟練度が一定に足しました。スキル、『回避Lv6』が、Lv10になりました。熟練度が一定に足しました。スキル、『命中Lv8』が、Lv10になりました。〉
よし!成功だ!こんな感じでやるのか。
「ありがとうアリア。とりあえず、その2つをLv10にしてみたよ。」
「いきなりLv10!?さすがだね…でも、役に立てたならよかった!」
〈スキル『回避Lv10』と、スキル『命中Lv10』を統合して、新規スキルの獲得が可能です。スキルを統合しますか?〉
スキルの統合?まぁ…統合するからには強くなるんだろう。やってみるか。
《統合してくれ。》
〈条件を達成しました。スキル『回避Lv10』と、スキル『命中Lv10』を統合して、スキル『
エキゾチックスキル!?確かに、Lv10のスキルを統合させたからには、そこそこ強いのではないかと思っていたが、エキゾチックスキルに化けるとは思っていなかった。
この世界では、『重力操作』や『物質支配』などのLv表示のないスキルを『エキゾチックスキル』と呼ぶ。
戦闘系のエキゾチックスキルは1つあるだけで軍の大隊レベルの戦力となる。そんなエキゾチックスキルに変化するとは…まぁもともと俺は大量のエキゾチックスキルを持ってたわけだけど。とりあえず、このスキルを試してみたい。
「アリア、新しいスキルを試してみたい。ちょっと相手してくれないか?」
「いいよ!じゃあ…ギルドの闘技場でどう?」
「分かった。30分後にそこで。ソフィアにも伝えとくよ。」
「分かった!」
ソフィアは今、弓を新調しに武器屋へ赴いている。一気に成長したのもあって、弓を引く度にミシミシと音が鳴るそうだ。最近、ちょっと難易度高めの依頼を受けていたのもあって、連泊代を除いても、一人一人に結構な貯蓄があった。
「只今帰りました。」
噂をすれば。なんか…えらい立派な弓を買ってきたな。
「おかえり。スゴイの買ってきたな。」
「はい。以前見かけたときより安くなっていたので。」
「そっか。俺の新しいスキルを試したいから、30分後にギルドの闘技場まで来れるか?」
「わかりました。では、私は新しい弓の調整をしておきますね。」
30分後、俺たちはギルドの闘技場にいた。
「俺は木刀だけで戦うから、安心してくれじゃあ…始め!。」
さぁ、早速試してみるか。
『
「ハッ!」
早速ソフィアの狙撃。同時に四本の発射。俺の逃げ道を無くした。
弾くしかないと思ったが、結果は予想外だった。
「!」
俺の体を矢が避けた。意味がわからない。物理に反している。だが…考えている暇はない。
後ろからアリアが近づいてきている。先手必勝。
「アリア!まだ甘いな!」
「クッ!」
アリアは俺の攻撃を躱した…はずだった。
「キャ!」
アリアは身を捩ったはずなのに、俺の攻撃が当たった。
俺の剣先は、完全に虚空だった。なのにアリアに当たった。
「そこまで!ありがとう。二人とも。お陰でこのスキルの能力がわかったよ。」
大賢者には、
〈このスキルは1を100に、99を0にする〉
とだけ言われ、意味がわからなかった。
だが、今の戦闘で完全に理解した。例えばソフィアの狙撃。確率論だが、あの状況でも俺が矢を躱す確率は、いくら小さくても存在していた。
このスキルは、その“確率を100%”に変えた。
アリアへの攻撃だって、あの状況では99%かわされてた。
しかしその確率を0%に変えた。
つまり乱数調整。もっと簡単に言うと、
絶対 攻撃
と
絶対 防御
そう。最強。
この事実を2人に伝えた時、冷静な表情で言われてしまった。
「「私は勇者の仲間なんてごめんだよ。」ですよ?」
はい。ごもっともです。
「いや…こんなスキルだと思わなくて…称号の欄に『ナンバーズの継承者』ってあるんだが、ナンバーズってなんなんだろうか…」
「「ナンバーズを知らないの!?」ですか!?」
え?そんなすごいやつなの?ナンバーズって。
「ナンバーズといえば、600年前、攻撃と回避を極めて、生涯一度も攻撃を外したことはなく、攻撃されたこともないって伝説の国王じゃん!!」
そんなのあったの!?じゃあ俺はその伝説の国王の継承者ってことね…それは…なんというか…どうしよう。
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