05 回顧

 思えば、おかしいことがあった。

 俺たちSOS団は、別に大学に進学したからって、疎遠になったわけじゃなかった。

 朝比奈さんだけは高校を卒業したら『やることがあるの』と言い残して未来に帰ってしまったが、いわゆる同窓会的なことは毎年していたのである。

 しかし、なぜか俺は、当日に風邪で熱が出たり、急な用事ができたりして、参加できていなかったのである。

「それも涼宮さんのお力でしょうね」

 と、古泉は優雅にティーカップを傾けながら言った。

「涼宮さんは、長門さんが完全に変わるまで、あなたには秘密にしておきたかったのですよ。ですが、涼宮さんはイベントがお好きでしたから、同窓会は開きたかった。だから、あなただけ、当日に不参加せざるを得ない理由が毎年できていたのです」

 「ちょっと待て。その理屈で言うとお前は長門がイメチェンしてたのを知ってたのか?」

 ならなんで俺に一言言わなかった?

「涼宮さんに口止めされていまして」

 古泉は涼しい顔で言った。

「誰であろう涼宮さんの頼みなら、SOS団の副団長として、断るわけにはいきませんからね」

 そして俺は高校を卒業してやっと3年目にして長門の成長を目撃できたわけか。

 とんだピエロだぜ。

 その時、スマホに着信があった。

 他ならぬ長門からだった。

「どうした、長門」

「キョンくん、助けて……!」

 長門は、涙まじりの声で訴えていた。

「Fくんが、危ないの……!」

 ああ、長門は本当に変わったんだな、と、頭の片隅で、俺は不謹慎に考えていた。

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