学校

 ――ふぅ――

 俺はなんとか教室までたどり着けた。

 教室の中は少しうるさいくらいでほぼ大体の人は揃っている。

 学校に来たんだな、と実感する。

 ちなみに俺は二年生になってもまだ全員の名前を覚えきれていない。

「よぉ十三!今日はやけに遅かったな!ナニしてたんだ?」

「ナニもしてねえよ!」


 顔面がうるさいこいつは下川大介。俺の中学の頃からの友達だ。

 ギャグと下ネタが大好物なので全校の女子にめっちゃ嫌われている。

 あだ名は下ネタ大魔王で最初聞いた時あだ名の由来があまりにもそのまますぎて笑ってしまった。

 口を開けば下ネタ、名前も、下ネタ言いすぎてなんだか『下ネタ大好き』に聞こえてくる。

 まぁ気さくで話しかけやすいのが取り柄で俺はこいつといると楽しい。

 

「十三、なんだか気分が悪そうだな?大丈夫か?」

「いや、大丈夫だ問題ない。あんまり心配しなくて大丈夫だぞ」

 俺、朝のあれで疲れてんのかな……。

「ん、そうだ!今朝考えてきた俺のスーパー下ネタギャグで元気出させて…」

「やめろおおおおおお!耳が腐る!!!!!大丈夫だから!!!やめてくださいいいいいいい!!!」

 こいつのギャグは『寒い』『つまらん』『しょうもない』の三拍子だ。

 正直、めっちゃ反応に困るんだよな……。

「お、おお……そんなに嫌なのか……」

 大介はショックを受けたようで少し悲しそうな顔をする。

 その後『あ!そういえば』と話を変えた。

「3年生にめっちゃ可愛い女が転校してきたらしいぞ!俺もちょっと見かけたがあれは俺の好みにどストライクだった!」

 拳を突き上げて『彼女にして〜』と呟いていた。てか一切お前の好みは聞いてない。

 ふーん……転校生、ねぇ…。あ!木葉姉さんのことか!

 でもこいつにバレたら後で色々面倒になりそうだから話さないでおこう。

「あ~あんな彼女欲しいな〜」

「整形したらできるんじゃね?」

「流石にひでぇよ!!」

 お前は女子に相当嫌われてるから整形しても難しそうだけどな。


 ”ジロッ”

 ん?今となりの席の人に見られた気がするけど気のせいか?


 ”キンコンカンコーン”

 ホームルーム開始のチャイムが鳴ったとほぼ同時に”ガラッ”と前側のドアが音を立て、向こう側からゴツい先生が入ってくる。

 賑やかだった教室は気づくと静かになっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る